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#52. これから先の英会話


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ときは 2075 年
「おばあちゃん、どうしてそんなにお外に座ってるのが好きなの?」
わたし「こうすることが、法律で禁止されていた時代があったのよ」

世界の人口の 1/3 がなんらかの移動制限下にあると紹介したのは月曜日だが、それから 4 日が過ぎた今日。とうとう「人類の半数がロックダウンの制限下にある」ということを記事で知る。

前回の記事の冒頭部でも説明したが、コロナウィルスは、人類の住む世界を変える。

この嵐が過ぎ去った後、ぼくらは一体どのような世界に住んでいるだろう。たしかなことは、まだまだだれにもわからない。

ただ、オンラインでする授業やミーティング、飲み会などが、今後ますますそのシェアを増すのはほとんど間違いないだろう。

コロナウィルスによっていま脚光を浴びているソフトに Zoom というものがある。オンライン上で大勢を集め、遠隔でコミュニケーションをとることが可能になる。

時代の流れには乗らねばなるまい。

そこで今日は初めて、Zoom を使って meetup に参加してみた。

普段なら、都内のカフェやパブなどで開かれる言語交換(Language Exchange)イベントが、感染防止のためオンラインで無料開催されることになった。

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(このときはまだ参加者は 9 人)

ぼくが退室するまでの時点での最高人数は 11 人で、日本人 7 人+外国人 4 人という感じだった。

画面中央下段の男性がイベント主催者。彼も今回 Zoom を使ってのオンライン開催は初とのことで、全員が探り探りの中で、しばらく英語での会話を楽しんだ。

面白かったのは、セッションが始まるやいなや、みんなどーっとコロナについて話し出すので、主催者の彼が "I have a suggestion"(ちょっと提案があるんだけど)と言ってすぐさま "Let's not talk about the corona because we've talked about it a lot"(コロナについては話さないことにしようよ。もうさんざん話してきただろうしさ)と切り出したことだ。

まあそりゃそうですよね、という感じで全員その提案に笑って同意。YouTube で観た面白い動画や最近 Amazon で買ったもの、(なぜかヨガをする人が多かったので)ヨガの話をするなどしつつ、お酒を片手にしばらく他愛のないおしゃべりに興じた。

ちなみにそういうくだらない話をしていてもやはり、アメリカの男性が「 YouTube なら、ぼくは最近志村けんのコメディを観てる」と言ったりすることで、どうしてもコロナの話題に数分おきに戻ってしまい、「ああまた結局コロナだね」とか言って笑っているのも楽しかった。

コロナの話を禁止したことで、しばしの間、暗闇から目を背けられたし、結局そこに戻ってきてしまったとしても、なんだかそれすら笑いの種になった。「コロナ」というワードを吐きながら口角が上がっていたのなんて、もうずいぶん久しぶりのように感じた。

今回はじめてあのような形で集団で英語を話してみて、個人的にいくつか感じることがあった。きっとこういう手段を使ったミーティングも、今後ますます増えていくだろうから、初回で得られた感想を 3 つ、ここに書いておこうと思う。

1. 普段よりゆっくりはっきり話した方がいい

これはおそらく参加した人全員が即座に感じたことだろうと思う。Zoom のオーディオのクオリティにはなんら問題はなかったが、それでも対面で聞く生の音にはどうしたって敵わない。

電話越しに聞くような感じで相手の声が入ってくるので、確実に相手に伝わるようにするには、いつもよりゆっくり、かつはっきりと英語を発音する必要があるだろう。

オーガナイザーの男性も(彼のナチュラルスピードを知っているが)今回かなりこの点に気を遣っているようだった。

2. 難しい単語や文構造は控えた方がいい

とくにさまざまな英語レベルの人が混在しているような場合は、全員が全員知っているわけではなさそうな単語や、構造が複雑で長い文は極力避けた方がいい。わからない人が置き去りになる時間が長くなってしまう。

聴き手の数が多くなると、だれかが「いまのはどういう意味?」とか「もう一度説明してくれる?」と聞き直してくれる可能性が上がると思うかもしれないが、

少なくとも今回の体感では、起こることはむしろその逆であり、多くの聴き手がいるからこそ、「他のみんなはわかっているかも」とか「その中で自分が聞き返すことで場の空気を止めてしまいたくない」みたいな心理が働いているようであった。

なので、なるべく大勢を巻き込んで盛り上がりたいのであれば、わかりやすい単語と文構造を心掛けるべきかもしれない。

3. 話したければ積極的に切り込んでいくしかない

ふつうの meetup であれば、4 人か 5 人のグループに分かれて会話するので、話が均等に回りやすいし、また「まだ話してない人」がいないか、みんなある程度気を遣っている。

ただ今回のような一斉に行われる会話の場合、英語力のある人はガンガン前に出て話し続けるし、またそうでない人は永遠に後手に回り続けて一言も話せないというようなことがあるので、話したいなら勇み足でも、会話に切り込んでいく方がいい。

もちろんこれは、オンラインでの集団英会話に限らず、どんな会話の状況だろうと程度の差はあれ起こることだが、今回のようなケースでは、人数が増えれば増えるほど一人当たりに気を配る量が少なくなるので、回ってくるターン数の違いが顕著になるという印象だった。

ターンを「回ってくるもの」と捉えるよりも、むしろ「自分のところに持ってくるもの」のように捉えた方がいいかもしれない。

ただ上で書いたように、こういったオンラインでする会話では、全員がゆっくりはっきり喋り、難解な単語や文も抑える傾向にある(ように感じた)ので、たとえ英語がたどたどしくても、(対面でする会話ほど)目立たないのではないかと思う。

以上が初めてオンラインでした集団の英会話で感じたことだが、それ以外にも気をつけておかねばならないことは、きっとたくさんあるだろう。

最後に、ここ数日で見つけた、オンライン・ミーティングで起きた珍事件動画を 3 つ紹介して終わりたい。

まずは、オンラインで何人かの生徒に向けて授業をしている先生(画面右下)に起きた事件。

彼は自分の背景を高層ビル(Empire State Building)にし、それを使って「たとえばこんな風にそこから落ちるフリをすれば......」と言って後ろに身体を倒した結果、本当にイスから転げ落ちてしまい、生徒たちは爆笑。立ち上がった後もポーズをとって、ひょうきんな先生である。

さて、次はこちらの動画。画面中段左にいる金髪の女性に注目。なにやら移動しているようだが一体どこに向かっているのだろうか。

彼女のとなりに映っている女性が真面目な話をしている最中に、他の全員がププッと笑い出してしまう。それもそのはず、彼女はみんなが観ている中で、トイレに行ってしまったのである。これには男性も "I saw nothing"(ぼくはなにも見なかった)。

そして、最後も少し似ているが、ミーティングが終わったところで気が抜けたのか、中継を切り忘れて席を立つ男性(画面左上)に注目。ぜひ最後まで観てほしい。

電話で「見えている」ことを伝えられた後、とっさに逃げる男性がとても面白い。ミーティングが終わったら、カメラを切るのを忘れずに。


どんなに暗い世の中であっても、やっぱりどこかで面白いことは起こっているものなんだなあ。


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