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物語詩「月に満ちる金木犀」

たわわな金木犀の枝を手折り
鏡映かがみうつしの僕が言う

「夜空の月のうろの中には
金木犀が咲くんだよ
月光の流れのせせらぎと 空からこぼれる花の甘さで
天使を魅入らせ閉じ込めるんだって」

沈む望月にかざす朝焼け色の香り
同じ香を持つ月へとつながり
僕らを天使に会わせてくれると
君が抱く儚い希望
僕の胸と通じ合う
そっくりの兄弟
互いのことは何だって知ってる


神様は僕らに試練を与える
神様の愛を知らしめるために
僕らのことを愛しているから

神様が君を連れ去ったのも
僕に対する試練だろうか


君は太陽 僕は月
君が消えれば 僕は暗いまま
僕の中心に金木犀があるのなら
君を手繰り寄せ連れ戻してみせろ

金木犀が色褪せる
朝焼けの夢が醒めるように
残される色は君の白骨

神様は善い人間を連れていくらしい
ならこの世界はオーディションだ
無理難題を上手くこなせば
神様のそばに招いてもらえる
4つの花弁が指す個性
90°回せば皆同じ
差をつけるのは神様の気まぐれ


君が知らないこと1つ
金木犀の誘惑の香り
僕は大嫌いなんだ

神のおわす金木犀の園
白く硬く朽ち果てるように
紺碧の空の満月に呪いを

君の魂の解放を

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