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『大統領選と言う名の祭(の後)-7: dead on arrival』

いやいや、何があって負けを認めんぞ!

と、トランプはまだ踏ん張っています。11/7にバイデンが勝利宣言のスピーチを出し、マスコミ、経済界、外国政府も「次の大統領がとるであろう政策」に関心を移しているのに、いまだに落選を認めてません。

いつまで、続けるん?と思いますが、彼の周囲を固める大物共和党議員もトランプの肩を持っていますし、しばらく膠着状態かもしれないですねぇ。

選挙に敗れた州にて不正投票を訴える訴訟をトランプはいくつも起こしていますが、明確な証拠がないため「訴ったえたところで、裁判所に着くや否や敗訴決定」Dead on arrival (DOA) とみる専門家が多いですね。

Dead on arrival: having died before getting to a hospital, emergency room, etc.  Often used figuratively.

「救急車で病院に搬送された時点ですでに死亡している状態」を比ゆ的に使った表現です。

Legal experts say Trump's lawsuit challenging election results is dead on arrival.
トランプの選挙結果に異議を申し立てる訴訟は、すでに負けることがわかっていると、法の専門家は言っている。

「とにもかくにも負けず嫌い」と言われるトランプ本人ならまだしも、大物共和党議員まで肩を持つのはなぜだろう?と不思議でした。トランプ自身は「殿ご乱心」状態としても、周囲の政治家たちは?アメリカの政治家ってほとんど弁護士資格を持ってますから、負け戦とわかってやってるはず。

潔く負けを認めない人は、Sore loser(直訳はイタい負け犬)と呼ばれ軽蔑されます。国民投票で決まった結果に抵抗を続けるなんて、今度はモラルを疑われないか?評判を落とさないか?と思っていましたが、「1月に行われるジョージア州での上院議員選挙が残っているから、トランプファンを当てにして、周囲の大物議員がまだトランプを支持してるのだ」という解説をニュースで小耳にはさみ、なるほどね~それあるかもね〜と思いました。(後は、バイデンが就任したとしても、一部有権者に正真正銘の大統領ではないと信じ込ませ支持せないための行為だと言う説もあり。)

11/3の大統領選と同時に、上院・下院議員の選挙も行われていましたが、ジョージア州の上院議員選ではどの候補者も過半数を獲得できなかったため、1月に再選挙となりました。ジョージア州で選挙に勝つには、まだまだトランプ人気に頼るしかないということでしょうかね。

この再選挙で民主党候補が勝てば、上院で民主党が優位となりバイデン政権の政策案が可決されやすくなり、民主党寄りの大胆な政策がとれるようになります。逆に共和党候補者が勝てば、彼らが過半数の席を占めるので提案をことごとく却下される可能性が出てきます。つまり、バイデン政権の成果を左右するものすごく重要な選挙ってこと!

The new tax proposal will be dead on arrival if the republicans win the majority of senate seats.
もし共和党が上院の大多数の席を獲得すれば、新しい税案は提出次第すぐに否決されるだろう。

トランプがごねたところで、本当に効果があるのか?と私には疑わしく思えるのですが、それはそのうちわかることでしょう。

これだけ変化が激しい時代ですから、トランプへの興味をメディアが失うのも早い。コアなトランプファンは、大統領選には嬉々として一票を投じたでしょうが、上院議員選挙のために投票所に足を運ぶだろうか、というのも気になるところです。

ちなみに、ジョージア州は伝統的に赤い州、つまり共和党支持者が多い州でしたが、今回の大統領選ではバイデンが勝ちました。「その陰にステイシー・エイブラムスあり」と言われています。

エイブラムスはジョージア州の黒人女性政治家です。2018年の中間選挙でジョージア州知事に立候補しましたが、ライバルの投票抑制活動などもあり、落選しました。本人曰く “I sat shiva for 10 days. Then I started plotting.”(10日間は嘆き悲しんだが、その後で、どうするか作戦を練り始めた)と。それから、投票権の重要さを訴える活動を地道に続け、この2年間ほどでヒスパニックなど民主党の党員登録数を大きく伸ばしました。そのかいがあって、今回のジョージアは赤い州から青い州(民主党を支持)になったのです。彼女なしにはバイデンはジョージアを取れなかったでしょう。

トランプファンの共和党支持者と、エイブラムスの活動の結果増えた民主党支持者と、どちらが多く投票するのか、まだまだ目が離せません!

「政治家なんて嘘つきばかり」とアレルギーを持つ人もいるかと思いますが、大河ドラマをリアルタイムで見てると思えば、ちょー面白いですよ!

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