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『筋肉女子 in JPN vs. USA』

Quarantine 15という言葉があります。コロナ禍に置いて使われるquarantineは自己隔離を意味します。つまり、在宅勤務になり、遊ぶ先も閉鎖され、自宅にこもってじっとしているうちに、15ポンド(7キロ弱)太る、という話。

もとはFreshman 15と言う言葉をもじったもの。アメリカでは大学に入学すると寮に入るのが普通なのですが、1年生(freshman)は15ポンド太ると言われてます。

在宅勤務も3か月が過ぎ、ワタクシも同僚も、みんな「うわ、これやばいわ・・・」という事態になりました。どこにも行けず、ウダグダ・鬱鬱してはいるものの、同僚とウェブ会議をするついでに互いを励まし、ランニングと筋トレだけは頑張っています。そして思う。「なんでアラフィフになってワタクシ筋肉を鍛えようなんて思うかねぇ」と。なので『筋肉女子 なぜ私たちは筋トレに魅せられるのか』を読んでみました。

さて、昨今のアメリカでは、リッチな人たちは宝石や時計、ブランドのバッグでなどぱっと見でわかる有形財からは離れる傾向にあり、代わって「母乳育児(最長3か月で育児休暇が終わってしまうので、粉ミルク率が高い)で子どもを育て、ヨガクラスに通い、オーガニックフードを食べ、老舗新聞NYタイムズが掲載するベストセラー本を読む」らしい。これ、すんごくよくわかります。何年か前ヨガクラスに通ったことがありますが、アップルウオッチの装着率がやたらめったら高くてびっくりしました。つまり、リッチな人とはかねがね教育水準が高い人であり、彼らは健康重視で社会意識が高い行動をとる。だからお値段高めのアップルウォッチをつけてヨガクラスに行き、帰りはオーガニックスーパーで新鮮な野菜を買って帰るわけです。健康的な体形や、それを維持できる行動が新しく豊かさのシンボルとなってきたのですよね。

日本でもそうなのか?だから筋肉女子がはやるのか?そう思って読んでみたのですが、結論は、まあ、そうとも言えるし、そうじゃないとも言える、ってとこ。

この本が言いたいのは、女性が「男性から可愛がられる私」から「自分のことが好きな私」に変わってきたということでした。筋肉とは「自分で管理してなんとかなるもの」なんですよねぇ。持って生まれた容姿やスタイルは努力をしても限界がありますが、なんせ「筋肉は裏切らない」。つまりは幸せになるために「王子様から選ばれるのを待っている私」ではなくって、「自分が自分を好きになれるように頑張る私」を選択できるようになったということ。女性が経済的に自立できるようになった一方、依存できるほど男性に経済力やリーダーシップがあるわけではなくなってきた結果、「自分で自分を幸せにしよっかね」ってことなんだな、と。社会的なお金持シンボルという話ではなく、もっと手前の個人の視点の本でした。

さて、じゃあワタクシはなぜ走ってるのか in USA。

コロナによる健康リスクや、不況やらで、よいニュースがまったくなく、先行きは不透明この上なし。隔離された生活なので、友人と不安を共有することも難しい。結局頼れるのは自分の意志と肉体ってことで、そこにすがって走り、筋トレしてるのかもね。「走れる自分がいれば大丈夫」と。

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