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『大統領選と言う名の祭-5: Blue Wall, Red Mirage, Blue Mirage, Blue ShiftそれからBlue Wave』

今はアメリカは、宴もたけなわ、選挙戦も大詰めの11/4の夜です。昨日の火曜日11/3が投票日でした。

ちなみにアメリカの投票はいつも火曜日。というのは、遠い昔、日曜は礼拝の日で投票はできないため、月曜になって遠く離れた投票場所に向かって馬車だか馬だかで移動を開始したからとか。一体どれだけ遠くに投票場所があるんねん、と言う話ですね!

さて、選挙にまつわる英語表現のご紹介。

Blue WallRed MirageBlue MirageBlue ShiftそれからBlue Wave。 

<Blue Wall>
Blue Wallというのは、歴代民主党(党のテーマカラーは青)が勝ってきた州のこと。Blue States(民主党が強い州)が太平洋にそった西海岸州、五大湖周辺の数州、東海岸北部の州で固まっているので、壁を作ってるように見えるからですかねぇ。共和党が越えられない「青い壁」となってきたわけです。とはいえ、青い壁の州であった、ペンシルバニア、ウィスコンシン、ミシガンなどは、前回の2016年の投票でまさかのトランプが僅差で勝ったため、アメリカ人も結果にどびっくり!でした。

今回も、これらの激戦地をめぐってバイデンとトランプが大きく争っています。ウィスコンシンとミシガンはバイデンが取り返しましたが、いまだペンシルバニアの結果は確定せず、宙ぶらりんです。落ち着かない~!

<Red Mirage>
ペンシルバニアでは、投票所に直接足を運んだ人の票からカウントが始まります。コロナを軽視してきたトランプに従い、共和党支持者はコロナをものともせず、直接投票所に足を運ぶ人が多い。だから始めは共和党の得票率が伸びる。それがRed Mirage(赤い蜃気楼、赤は共和党のテーマカラー)。が、その後に遅れて郵便投票のカウントが始まります。すると、コロナ感染を恐れ郵便投票をした民主党支持者の票が伸びていくと言われてます。

<Blue Mirage>
また郵便投票のカウント準備を早くから整えていた州もありました。そういった州では、まず民主党の票が先に伸びる、つまりBlue Mirage(青い蜃気楼)が起きます。

<Blue Shift>
投票数の差があまりにも僅差ですと、条件付きの票をカウントし始めたり、また一から新たに数えなおしが始まります。条件付きの票とは、登録していない投票所で投票したり、身分証明書を忘れてきたり、署名をしなかった人などの票。投票慣れしていない若い人や移民に支持者が多い民主党支持者に条件付きの投票数が多いと言われます。なので、最後になって民主党の得票数が伸びるのをBlue Shiftと呼びます。

<そ・・・それで、その後は!?>
それでも勝敗が決まらなかったり、あるいはどちらかが「その結果は認められない」と訴えたりすると、今度は裁判で結果を争うことになります。

州の裁判でお互い納得すればよいですが、おそらくそうはならず、連邦最高裁まで行くでしょう。実際トランプはそれを狙う気満々です。

実際2000年に、アル・ゴアとジョージ・W・ブッシュの大統領選では接戦となり、勝敗はフロリダ州の結果で決定となるはずが僅差であり、また投票用紙に不備があったため、最終的には連邦最高裁にて争われてブッシュ勝利と判定されました。その時の判事は、保守派が多数を占めてました。

今年の9月には、リベラルの連邦最高裁判事であったRGBこと、ルース・ベイダー・キンズバーグ氏がお亡くなりになり、その後トランプは保守派のエイミー・コニー・バレット氏を後任者として超特急で指名しました。これにより、連邦最高裁の判事はリベラル派3名保守派6名となりました。厳しい移民政策、中絶違法化や銃を持つ権利など保守派が訴えてきたアジェンダをかなえるためだけではなく、今回の選挙で結果がもつれたときに、トランプ有利の判決をだすであろうと狙ってのバレット氏指名です。

ちなみに、この判事の任命については、めっちゃ民主党議員は怒っています。というのは、2016年2月オバマ政権最後の年に保守派だったアントニン・スカリア判事が亡くなった時、共和党上院院内総務のミッチ・マコネルは「選挙直前の後任判事任命は控えるべき、選挙で民意を問うべき」と主張してオバマの指名したメリック・ガーランド判事の承認手続きを拒否しました。なのに今回はあっさりとマコネルが「トランプは今すぐ後任を指名すべき」として、スピード任命にこぎつけたため、民主党議員は「自分の党に都合いいことばかりやりおって!(怒)」となったわけです。また、バイデンが勝利したら、連邦最高裁の判事数を増やすのでは?という憶測がありました。(が、バイデンは明言を避けています。)

<Blue Wave>
今回、世論調査では、バイデン有利との下馬評でした。現在、上院は共和党が過半数を、下院は民主党が過半数を取っていますが、今回の選挙では上院・下院ともに民主党が過半数を超える座席を取ると、民主党ウハウハな予測がありました。それがいわゆるBlue Waveです。青い波がざっぱーんと押し寄せてきて、議員の席を青に染めていく感じですかね。が、1/4時点、それは幻想でした・・・世論調査を裏切り、共和党議員強し。民主党の捕らタヌでした。

個人的には最高裁にいかずにささっとけりがつけばいいなと願っておりました。やはり国民投票ではなく、数名の最高裁判事で大統領が決まってしまうというのは(どれがどんなに合憲で合理的な話であっても)、民主主義としてあまり喜ばしい話ではないように思います。が、トランプはしぶといし、勝つための手段を選びませんからね・・・。

「もう投票数をカウントするのはやめるべき」などトランプは訴えていますが、民主主義の象徴たるべき大統領がそういうこと言うのってどうよ?(現在、カウントをやめなければならない正当な理由はないのです。)

今回の選挙では、トランプは「郵便投票は不正が多い」など、自ら意図的に間違った情報を流し、投票させまいとしてきました。(不正があるという証拠はないとすでに調査結果が出ていますし、これは共和党派の選挙管理委員も認めている事実です。)一度政治不信になると回復するのは難しい。大統領自らが民主主義を根本から揺さぶることするなぁと思い、暗くなるわけであります・・・。

あー、どうなんだろ・・・早く結果でてくれないかしら・・・胃が痛い・・・。


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