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NHKの有名番組「チコちゃんに叱られる」

あれ、面白いですよね。
「ボーっと生きてんじゃねーよ!」
叱られるのが、お約束。
ハマる人も、続出している。

本記事では、
「そこにある日常を再発見」
することについて、考えてみました。

私たちは、身の回りの
モノ、コト、ヒトのことを
「知って」いますよね。
大人になればなるほど、
色々なことが「分かって」いきます。

しかし、チコちゃんに言われるまでもなく、

その「知っている」「分かっている」ことが、
「知ったつもりになっている」
「分かっているつもりになっている」

に過ぎないことも、うすうす気づいています。

そこをごまかさず、ズバリ指摘するからこそ、
チコちゃんも人気なのかもしれません。

すでに知っていることを、
「既知」(きち)と呼びます。
これに対し、まだ知らないことを
「未知」(みち)と呼びます。

この「既知」と「未知」をキーワードとして、
デザインを通して、私たちにわかりやすく
教えてくれる番組が、ありました。

NHKの「デザインの梅干」

番組の進行役は佐藤卓さん。
「デザインあ」という子ども向けの
教育番組にもかかわり、
有名なところでは、あの「ロッテのガム」や
「おいしい牛乳」などのデザインを
手がけたグラフィックデザイナーさん。

この番組の第1回目では、
バーバーポール(理髪店の目印のサイン)などを
取り上げて、日常に溶け込んでいる
「既知」のものについて
「未知」であることを説明し、
日常生活のいたるところに
デザインやデザインの考え方が
存在することに気付かせてくれました。

佐藤卓さんはこう説明します。

(ここから引用)

『人間は、人間特有の知覚世界をもって
生活していて、その主体として
発想し行動している。
言うなれば、あらゆる生き物はみな、
独自の環世界を作りながら、
その中に浸って生きている。

主観である環世界に浸り込んでしまわず、
そこから脱出
できれば、
新たな発想をつかむプロセスを
手に入れることが
出来ることに気づかせてくれる。』

(引用終わり)

…まあ、そうですよね。
人間はどうしても「主観」にとらわれます。
「環世界」に浸り込んでしまいます。

いわゆる「自分の世界」です。

そこからいかに意識的に脱出するか
「ボーっと生きてるんじゃないか」
という気付きを、いかにするか。
新鮮な5歳の子どものような視点で、
日常の物事を見ることができるか。

佐藤卓さんは、さらに、このように
デザインについてまとめていました。

(ここから引用)

『キーワードは「既知の未知化」。
物を見る目を養っていくことが
大切なわけだが、自分は何でも分かっていると
思っていて、そう思うと、
知りたい気持ちがなくなってしまう


デザインを学ぶということは、
日常の生活のなかで、いかに
知らないことばかりなのかと
思うことから始まる。』

(引用終わり)

デザインのみならず、
新しい発想をしたり、
自分の能力をブラッシュアップしたり
する際には、この「日常の生活のなかで、
いかに知らないことばかりなのかと思うこと」
「既知の未知化」が重要だ、と思います。

いわば、自分の頭の中に、
チコちゃんを一人置いておき、

わかったつもりになっていることに対して
「ボーっと生きてるんじゃねーよ!」と
「一人ボケツッコミ」するようなもの。

既知を、ちゃんと未知にする。
未知を、ちゃんと既知にする。


その繰り返し、ではないでしょうか。

…そこで有用なのが「アウトプット」
だと思うんですよね。

アウトプット。インプットの反対。
外に出す。

外に出すためには、まず、
頭の中で整理する必要があります。
次に、表現していく中で整理する必要があります。
その「整理」の過程で、何となく
あわあわして分かったつもりになっていることが、
だんだんと結晶化していく。

他人に、わかるようになっていく。

「こうすれば形になるんだな」と、
自分の中で実感でき、
形にするやり方が身に付いてくる。…はず。

ところが。

いざ外に出してみるとですね、
受け手から意外な反応が返ってきたりします。
自分の渾身の表現が、伝わらない。
力を入れたところが、スルーされる。
「え、そこですか?」という
細かいところの食いつきが良かったりする。

ズレてしまう。

このあたりは、主観と客観の違い
また、自分の主観と他人の主観の違い
自分では良いと思っていても、
他人にはなんのこっちゃ、のところです。
逆に、自分ではどうでもいいところが、
他人の心にヒットしたりもする。

…このズレをどうすればいいか?

アウトプットしては反応を見て、
さらに良いものにしていく、しかない。
インプットし直して再構築して、
アウトプットしては計算違いをまた修正する。


「校正」の反復横跳び
その繰り返しです。

インプットばかりでは
「既知の未知化」はしづらい。
もちろんアウトプットばかりでも難しい。
バランスが、大事ですね。

何千年も前に、中国の思想家の
孔子はこう言ったそうです。

『子曰く、学びて思わざれば則ち罔し(くらし)、
思いて学ばざれば則ち殆し(あやうし)』

(口語訳)孔子先生はおっしゃいました。
「学んで、その学びを
自分の考えに落とさなければ、
身につくことはありません。
また、自分で考えるだけで
人から学ぼうとしなければ、
考えが凝り固まってしまい危険です」
と。

インプットしてアウトプットして、
さらにインプットする。
未知を既知化して、既知を未知化して、
さらに未知を既知化する。

「学習する生き物」である人間にとって、
このサイクルは不可欠…!

いつのまにか自分の世界に
浸り込んでしまわないように、
いつのまにか他人の考えを
コピペするだけにならないように、
気を付けるべきところなのかな、
とも思います。

それを意識して行動することを通じて、
己を知ることができます。同時に
己を知ってくれる人、
つまり「知己」ができていく。
「知り合い」も、
増えてくるのではないでしょうか?

最後にまとめます。

今回の記事では
「すぐそこにある日常を再発見」すること、
既知の未知化、インプットと
アウトプットなどについて考えてみました。

なお、「他人に伝わる」デザインや
グラフィックについては、
西野杏さんのこちらの漫画
参考になりますので、よければぜひ。

※本記事は以前に書いた記事のリライトです。
引用元記事に載せております↓
『チコちゃんと既知ちゃんと
未知ちゃん ~アウトプット戦略~』

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