開化と閉漬 ~チェンジとピクルス~
日本史は「開化」と「閉漬」の反復横跳び。
仮に、そのような視点で考えてみます。
開化(かいか)=オープン&チェンジ。
閉漬(しめづけ)=クローズ&ピクルス。
日本は島国で、海で囲まれていますよね。
「港」という出入り口を
開くか閉めるかで、変わってくる。
…「開化」と言えば、文明開化ですよね!
明治時代に欧米(風)の文化を取り入れた。
福沢諭吉は、その著書で「文明開化」という
言葉を使い始め、これがバズっています。
これに対して「閉漬」。しめづけ。
「開化」に対してつくってみた造語です。
クローズして、ピクルスにする。
「閉めて」「漬物をつくる」イメージ。
これを一番イメージしやすいのは
江戸時代の「鎖国」でしょうか?
前置きはこのくらいにしましょう。
本記事ではこの視点から日本史を概観します。
(私の主観で、適宜、取捨選択しました)
まずは、目次を掲げます。
この六人に沿って、書きます。
◆開化:聖徳太子(仏教の本格的な導入)
厩戸皇子、と書いたほうがいいかもですが、
通りが良い「聖徳太子」で表記します。
「遣隋使」「法隆寺」「憲法十七条」など。
「仏教」という、インド生まれの教えを
本格的に日本に導入したのが聖徳太子。
もちろん彼の時代だけで普及はしませんが、
そのうち、全国各地に「寺」ができていく。
国分寺、国分尼寺なんてのもありましたね。
「奈良の大仏」も、できる。
奈良時代は「国際化の時代」。
古代の都は中国の都市がモデルでした。
「律令政治」なんてのもあった。
政治の仕組みまで、外国のものを取り入れた。
政治をするには言葉が必要ですから、
「漢字」を使って表現する。
◆閉漬:菅原道真(遣唐使の廃止)
…これが平安時代になりますと、
だんだんウチに籠っていきます。
894年「ハクシに戻そう、遣唐使」。
907年には中国の唐が滅亡しますので、
「もう学ぶものはない」という感じで
遣唐使をとりやめていく。閉める。
取り入れた「律令政治」も
日本の実情に合わなかったところが出てくる。
ですので「令外官」(律令の外)といって、
「日本独特」の官職を作っていきます。
摂関政治の「摂政」「関白」など。
検非違使(けびいし)や、征夷大将軍もそう。
仏教も、次第に昔からあった神社と合わさる。
「神仏習合」などと言われます。
言葉も、漬物が熟成するがごとく、変わる。
漢字から、ひらがなやカタカナの
「かな文字」が生まれてくる。
一言でまとめれば「国風文化」です。
◆開化:織田信長(キリスト教の保護)
その後「武士の世の中」となりまして、
平清盛の「日宋貿易」や
足利義満の「日明貿易(勘合貿易)」などの
貿易が行われたりします。
平安京の「京都」や貴族たちが
いわゆる「日本の文化」を代表するものを
漬けこんで形作っていったとするならば、
「鎌倉」などの地方に興った武士たちは
フロンティア、外とつきあって、力をつける。
(足利幕府は京都に入りましたが)
その代表的な人物が、織田信長と豊臣秀吉。
京都から見れば地方、尾張の出身です。
積極的にポルトガル人やスペイン人たちと
つきあい、堺の港から海外の文化を取り入れる。
鉄砲とか、キリスト教とか…。
商業、貿易を盛んにするんですよ。
入れるだけでなく出て行ったりもする。
「日本人町」が東南アジア各地に
できたりするのも、この頃ですよね。
◆閉漬:徳川家光(キリスト教の弾圧)
そんな「オープン&チェンジ」を
再び「クローズ&ピクルス」にしたのが
江戸幕府、ではないでしょうか。
三代将軍の徳川家光の頃には
「島原・天草一揆」もあり、キリスト教厳禁。
いわゆる「鎖国政策」が進んでいきます。
…ソトからの刺激が少なくなれば、
ウチで漬け込まれ、独特の風味が出る。
平安時代の頃と同じく、
「日本独特の文化」が栄えたのはこの頃です。
「浮世絵」などは、その代表ですよね。
◆開化:福沢諭吉(文明開化)
それをまた打ち破ったのが、
地方の藩が打ち立てた明治政府なんですが。
牛鍋など、衣食住も含めた
文明開化の時代!
しかし福沢諭吉については
本記事では割愛します。
先日、記事を書きました。
リンクからぜひ…(笑)。
◆閉漬:池田勇人(加工貿易)
…その後、色々と紆余曲折がありまして、
明治政府の「富国強兵」「海外進出」は
挫折するわけですよね。
日本は、再び、日本列島だけの国になる。
大戦後の世界は、冷戦構造。
日本は「西側諸国の一員」として
再び「ウチ向き」になる。
池田勇人総理は、工業化、加工貿易路線を
押し進めて、経済大国への道を開いた。
資源は外から買う。加工して、売る。
一見すると「開化」に見えますけれど、
見方を変えれば「内職」ということ。
ウチに引きこもり、日本独自の
「モノづくり」に専念する…。
外に積極的に出ないから、外貨もたまる。
「カイゼン」などの方法も、注目された。
ジャパンアズナンバーワンともてはやされた…。
その一方で社会は漬物化、つまり
「ガラパゴス化」していく。
『昭和元禄』とは言い得て妙で、
例外はありますが、全体的には
国際的なものに疎い、江戸時代の「鎖国」に
近いような状況が広がっていった。
英語は勉強するのに、スピーキングは弱い。
「世界を知らない」「島国根性」「平和ボケ」
などと揶揄されがちですよね…。
最後に、まとめましょう。
本記事では「開化」「閉漬」という視点から
日本史の概観について書いてみました。
つい、序列をつけがちですけれど、
日本が世界に誇る文化、というものは
「クローズ&ピクルス」の際に醸成され、
独特の風味を醸し出す。アニメや漫画など。
もちろん「オープン&チェンジ」の時代にも、
それまでの文化と合わさって
独特の風味が生まれたりしていきます。
どっちが上でどっちが下、ではない。
牛鍋も漬物も、どちらも良い味。
並び立つ。反復横跳び。
化けても漬けても、変わることに変わりはない。
では現在、未来は、どちらの時代なのか?
「冷戦構造」は既に無くなりました。
「コロナ禍」も収まっていくとすれば
「オープン&チェンジ」になりそうですよね。
ただ、世界の情勢からすれば
各地域、各ブロックに分かれていくような
「クローズ」な世界になる、かもしれない。
不透明な先が読みにくい時代。だからこそ、
(そのまま当てはまるわけではありませんが)
自分なりに解釈して、自分の言葉で、
歴史を「参考にしていく」ことが
必要ではないか、と私は思うのです。
本記事は、私が自分なりに書いたもの。
さて、読者の皆様はどう考えますか?
皆様の組織では、どうですか?
ガラパゴス化、ローカル言語、使ってませんか?
チェンジしますか? それともピクルス?
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