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facilitate。ファシリテート!
最近よく聞くカタカナ英語ですよね。

ファシリテーター=ファシリテートする人。
ファシリテーション。名詞。
みんな「ファシリがち」で、
その意味がよくわからないままに
使われている、ということもあります。

私も、きっちり理解しているとは言い難い。

そこで本記事ではファシリテートについて、
教育現場とビジネス、両方の視点から
考えて書いてみます。

ここでなぜ教育現場を挙げたか、というと、
「令和の日本型学校教育」の構築を目指す
2021年の中央教育審議会の答申において、

教師に求められる資質・能力の一つとして
「ファシリテーション能力」
挙げられているから。

…先生と言えば「一斉授業」で黒板を背にして
一斉に同じことを教える「ティーチング」、
また、個別の子どもに応じた
「個別指導」「個別支援」などを
行うイメージがあります。
(小・中・高・大や、学校/塾によって
スタイルは千差万別ですが。
「授業をしない塾」もありますよね!)

ただ、このファシリテートとは、
この三つとはまた違ったスタイル。

◆「一斉授業」は、集団に対して指導する
◆「個別支援」は、個人に対して支援する
◆「個別指導」は、個人に対して指導する


「ファシリテート」は
集団に対しての「指導」ではなく、
「支援」をしていくやり方
だそうです。

…うん、わかるようでわからない。

教師なのに「指導する」ではない?
「支援する」、しかも集団を?

これはビジネスシーンと対比させて
浮き彫りにしたほうがいい。

例えば「会社」においては、
一人の社長さんが自ら会社のすべての実務を
行うわけではありません。

経営者、雇用者は従業員、被雇用者に
仕事を「してもらう」のが仕事。
もちろん小さな会社なら
経営者兼プレーヤーということも
多いかもしれませんが、
基本は誰かに何かをさせる。
外注先もうまく使っているかもしれない。

しかし、ただ自由奔放に
好き勝手にさせるわけではない。
会社の論理や前提、利潤の追求があります。
会社の業務においては、
社風、ビジョンやルール、仕様を踏まえて、
快く仕事をしてもらうことが大事。

「…ええ、会社においてはそうでしょう。
でも教育現場とは前提が違いますよね?
お金も(そんなに)絡まない。
会社には雇用・被雇用や契約の関係があり、
対等なこともあるが上下関係もある。
教育現場で、それはないでしょう」

そう思いましたか?

ただ、教育現場において、
教師と子どもが対等で上下関係が無いとは
必ずしも言い切れないのでは?
「教える側」が上で「教えられる側」が下。
そのような関係は無かったと言い切れますか?

「…まあ、それはそうですが、
子どもに『仕事』をさせるわけではない。
あくまで『教育』ですから」

確かに。学校での学習と会社の仕事は違う。
しかし先生が子どもに『ワークブック』などを
『強制してやらせる』こともあったはず。
この意味において、教育現場では従来の
「一斉授業」的な「集団への指導」により
「上下関係に基づく指導」が行われがちだった…。

ファシリテートとは、これとは
「根本的に」違います。

まず語源を確認。
facilitateはラテン語で「実行できる」の意味。
ファシリテーターとは、
直訳すれば「実行できるようにする者」
「議論の促進者」のニュアンスでよく使われます。

「潤滑油」ともよく言われますね。
歯車と歯車がそのままかみ合ったのでは、
錆びついたり引っかかったりしがちです。
それを、滑らかに回す。

ファシリテートで大事なのは、
「自分がプレーヤーではない」という認識。
空気を読み、傾聴して、
「議論を活性化させる」のが大事…。

「…今までの『先生』とは真逆ですね!
先生は、好き勝手に自分の話したいことを話し、
子どもからの発言も聞き過ぎず、マイペースで、
議論ではなく講義をすることが多かった」

…そういう先生や指導が多かったのは確かです。
ましてや「ゆとり教育」でなくなって、
「教える内容」が増えてきている昨今ですから。

ただ、そもそも、先生と一口に言っても、
様々な役割を担っています。

◆リーダー・講師(一斉授業の主)
◆コーチ(コーチングで自発性を促す)
◆ファシリテーター
◆メディエーター(仲介者)
◆カウンセラー(相談役)
◆コメンテーター(必要に応じてコメント)
◆観察者(観察はするがコメントはしない)
◆不在者(その場からいなくなる、自習)

…どうでしょうか、読者の皆様が
受けてきた学校教育の中では、
どんな先生が多かったですか?
読者の皆様が働いてきた職場では?

「コーチやカウンセラーならともかく、
『不在者』なんて職場放棄ではないか」

そう思いましたか?
でもあえて不在になり、権限移譲することで
残された人が自立することもあります。

現在の先生方も教育現場においては
従来の「リーダー・講師」型の指導者が多く、
今まさに「ファシリテーター」型の指導を
模索している最中の方が多いと思います。
これからの教員の資質として
「ファシリテーター型」が
大事だ、と言われているのですから…。

ただ、「全く教えなくていい」
「リーダー・講師型を滅亡させよ」
という極端な意味ではありません。

ファシリテートのためには、うまく
ケースバイケースで使い分ける必要がある。
「さあ、議論、探究学習!」と言っても、
何の知識もない、何の前提もない
子どもたちにそれを強いたところで
支離滅裂になるのは火を見るより明らか…。

◆土台となる基本知識を「教える」
◆探究の共通のヒントを「伝える」
◆整理や分析の方法を「学ばせる」


こういう時には「リーダー・講師型」が有効。

それがゆえに、それ「以外」の場合では、
「自分から学ばせる」
「興味関心を引き出し、促進させる」
ことが大事になる、とのこと。

一つの事例としては『外部講師』を招き、
先生もあえて
子どもと対等な『学ぶ側』となって、
子どもと一緒に学び考えるスタイルを
取ることもあるようです。

最後に、まとめます。

本記事では「ファシリテート」について
考えてみました。

将来的に社会に出てくる子どもたちは、
こんな指導を受けていきます。
それを踏まえていま、
読者の皆様の職場はどうでしょう?

◆リーダー・講師(ダマッテツイテコイ的な上司)
◆コーチ(こうしたらいいよ、のコーチ的な上司)
◆ファシリテーター(潤滑油)
◆メディエーター(「つなぐ」役割に徹する)
◆カウンセラー(相談に乗ってくれる)
◆コメンテーター(必要に応じて口出し)
◆観察者(観察はするが、見ているだけ)
◆不在者(良く言えば信頼、悪く言えば丸投げ…)

どんな人が多いですか?

どんなスタイルで働いていますか?
あなた自身は、他人に対して、どうですか?
業務は円滑に促進して/されていますか?

※こちらの記事を参考にしました↓

※中教審答申の
「令和の日本型学校教育」については
こちらの記事をぜひ↓

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