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戦後日本の音楽史をおもしろく解説

はじめに

今回の記事では、「戦後日本の音楽史」についておもしろく、分かりやすく解説していきます。

簡単に概要

戦後の日本において、音楽にはいくつかの重要な動きやジャンルがありました。混乱期には、音楽は国民の心を癒す手段として主に昭和歌謡や民謡が人気を博しました。その後、1950年代には、西洋のジャズやロックンロールが導入され、若者たちの間で人気が高まりました。1960年代にはフラワーパワー運動が起こり、フォークソングやプロテストソングが盛んになりました。1970年代にはロックやポップスが大流行し、アイドル歌手やバンドが現れました。そして1980年代以降、J-POPが登場し、アイドルグループやシンガーソングライターなど、多様なジャンルが存在します。また、日本のアニメーションやビデオゲームの音楽も世界的に有名になり、日本の音楽は国際的な注目を集めるようになりました。

1950年代の音楽

戦後初期の音楽

1950年代の日本音楽は、戦後の混乱期にあった国民の心を癒す手段として、昭和歌謡や民謡が主流でした。この時期には、アメリカ軍によって西洋音楽も日本に持ち込まれ、若者たちの間でロックンロールやブルース、R&Bなどが人気を博しました。また、ハワイアン音楽も流行し、ハワイアンギターなどを用いた楽曲が多く制作されました。

以下に1950年代に流行した音楽ジャンルを紹介します。

  • 歌謡曲: 日本の伝統的な音楽の要素を取り入れ、ポピュラー音楽として発展したもの。

  • ジャズ: アメリカから輸入された音楽ジャンルで、リズムや和音の進行が特徴。

  • フォークソング: アメリカの民謡やプロテストソングから影響を受け、社会派の歌詞や単純なメロディが特徴。

  • ロックンロール: アメリカから輸入された音楽ジャンルで、エレキギターやドラムを使ったアップテンポな音楽。

  • 歌唱曲: クラシック音楽の一種で、ピアノ伴奏に歌唱する曲。

代表的な歌手

花子さん:「可愛い花」
美空ひばり:「愛燦燦」「リンゴの唄」
坂本九:「上を向いて歩こう」


坂本九

1960年代の音楽

1960年代には、日本でもフラワーパワー運動が起こり、若者文化が盛んになりました。この時期には、フォークソングやプロテストソングが人気を集め、社会的なメッセージを伝える歌詞が重要視されました。また、洋楽の影響を受けたロックやポップスも広まり、音楽の多様性が増しました。

多様化する音楽ジャンル

1960年代の日本の音楽は、社会的な変革や若者文化の影響を受けて多様なジャンルが生まれ、盛んになりました。以下に代表的なジャンルや動きを紹介します。

  • フォークソング: ギターやバンジョーを使ったアコースティックな音楽が広く愛され、プロテストソングと呼ばれる社会派の歌詞が注目されました。

  • グループ・サウンズ: 洋楽のロックンロールやビートルズの影響を受けたバンドが多数結成され、その中でもザ・タイガースやザ・スパイダースなどが人気を博しました。

  • ジャズ: 1950年代に導入されたジャズが、1960年代にはより広く認知され、日本のジャズシーンも発展しました。

代表的な歌手

ザ・スパイダース:「あなた」(1967年)
ザ・タイガース:「なにをしているんだろう」(1968年)
北島三郎:「男の舞台」(1969年)


ザ・スパイダース

1970年代の音楽

ロックやポップスの流行

1970年代には、ロックやポップスが日本でも大流行し、アイドル歌手やバンドがたくさん登場しました。この時期には、多くの歌謡曲やポップスが作られ、「歌謡曲ブーム」と呼ばれる時期が訪れました。また、フォークソングも人気を集め、社会的なメッセージを込めた歌詞が注目されました。この時代の音楽は、若者文化の象徴として、多くの人々に愛されました。

以下に1970年代に流行した音楽ジャンルを紹介します。

  • シティ・ポップ: 都会的なサウンドが特徴で、テクノロジーや消費社会をテーマにした歌詞が多く見られた。

  • フォーク: アコースティック・ギターを使ったシンプルな楽曲で、社会派の歌詞が多かった。

  • ロック: アメリカやイギリスから影響を受け、ヘヴィなギターサウンドが主流となった。

  • アイドル歌謡: 若者を中心に人気を博し、軽快なメロディと可愛らしい歌詞が特徴的だった。

  • ニューミュージック: 独自の音楽スタイルを確立し、ソフトロックやジャズ、ファンクなどの要素を取り入れた洗練されたサウンドが特徴的だった。

代表的な歌手

キャンディーズ: 「あなたに夢中」(1974年)
ピンク・レディー: 「ペッパー警部」(1976年)
サザンオールスターズ: 「勝手にシンドバッド」(1978年)
荒井由実: 「ルージュの伝言」(1975年)
ゴダイゴ:「銀河鉄道999」(1979年)


ゴダイゴ。「西遊記」の主題歌も務めた。

1980年代前半の音楽

J-POPの誕生とアイドル歌手の全盛

1980年代は、日本の音楽産業が急速に発展した時期で、J-POPという独自の音楽スタイルが登場しました。J-POPには、アイドルグループやシンガーソングライターなど、多様なジャンルが存在しました。この時期、アイドル歌手やバンドが現れ、彼らの音楽は若者を中心に人気を博しました。また、日本のアニメーションやビデオゲームの音楽も世界的に有名になり、日本の音楽が国際的な注目を集めるようになりました。

この時期に生み出された音楽ジャンルは現代でも通用するものとなっています。

  • シティ・ポップ:都会的な音楽スタイルで、シンセサイザーを多用したダンサブルな曲が多かった。

  • J-POP:日本独自のポップミュージックジャンル。アイドルやロックバンドなど、様々なアーティストが活躍した。

  • テクノポップ:シンセサイザーやドラムマシンを使ったエレクトロニックな音楽スタイル。日本のテクノポップは、後のアイドルグループやJ-POPにも影響を与えた。

  • ヘヴィメタル:英語で歌われるハードロックやメタル音楽が盛んになりました。

  • アイドル歌謡:若手女性アイドルグループが多数登場し、一大ムーブメントとなった。

代表的な歌手

小泉今日子:「夢で逢えたら」(1984年)
近藤真彦:「抱きしめてTONIGHT」(1985年)
チェッカーズ:「Julia ni shoshin」(1983年)
中森明菜:「少女A」(1982年)
松田聖子:「赤いスイートピー」(1982年)


松田聖子。80年代を代表するアイドル歌手。

バブル期の音楽

豊かさを求める音楽とユーロビート

1980年代後半から1990年代初頭にかけての日本の経済成長をバブル期と呼ばれ、この時期には多くの音楽が生まれました。バブル期の音楽は、豊かさや派手さをイメージするものが多く、キャッチーでポップな曲や、ディスコティックなダンスミュージックが主流でした。また、歌詞にも豊かさや恋愛が描かれることが多く、若者たちの間で人気を博しました。

また、バブル期の日本の音楽は、ユーロビートという音楽ジャンルに影響を受けました。ユーロビートは、1980年代初頭にイタリアで生まれ、ヨーロッパで広く愛されたダンスミュージックです。
バブル期の日本のユーロビートは、明るく軽快な曲調が特徴的で、エレクトリックなサウンドと、派手な衣装、振り付けによって、ダンスクラブやファッションショーなどで人気を博しました。

代表的なアーティストや曲

  • 中森明菜:「DESIRE -情熱-」

  • TM NETWORK:「Get Wild」

  • 荻野目洋子:「ダンシング・ヒーロー」

  • 石井明美「CHA-CHA-CHA」

  • 小田和正:「ラブ・ストーリーは突然に」

  • 尾崎豊:「I LOVE YOU」

  • サザンオールスターズ:「真夏の果実」

  • 米米CLUB:「君がいるだけで」

  • 光GENJI:「パラダイス銀河」

など


小田和正。『ラブストーリーは突然に』は、「東京ラブストーリー」という
ドラマの主題歌であった。

バブル崩壊後の音楽

さらに多様化する音楽と小室哲哉

バブル崩壊後の日本音楽は、徐々にロックやパンクなどの洋楽の影響が強まり、さまざまなジャンルが登場しました。1990年代には、J-POPが確立され、歌手やアイドルグループが人気を博しました。また、日本の音楽シーンは、ダンスミュージックやテクノポップなどの電子音楽の影響を強く受けるようになりました。

小室哲哉は、1990年代における日本の音楽シーンに大きな影響を与えました。小室は、テクノポップユニットのTM NETWORKを始め、多くのアーティストのプロデュースや楽曲提供を手掛け、J-POPやダンスミュージックの進化に貢献しました。また、小室がプロデュースしたglobeというグループは、1990年代後半には大ヒットを飛ばし、J-POPシーンにおける電子音楽のトップアクトとして知られるようになりました。

小室がプロデュースしたアーティスト

安室奈美恵:「TRY ME ~私を信じて~」、「CAN YOU CELEBRATE?」
TRF:「GOING 2 DANCE」、「BOY MEETS GIRL」
globe:「DEPARTURES」、「FACES PLACES」
hitomi:「CANDY GIRL」、「LOVE 2000」


安室奈美恵。当時、アムラーと呼ばれるファッションが流行った。

2000年代の音楽

グループアイドル時代

2000年代の日本音楽は、J-POPが主流でした。この時期には、多くのアイドルグループが結成され、特に女性アイドルグループの人気が高かったです。

その中でも、SMAPは1990年代からの活動を続け、2000年代にもその人気を維持しました。また、1999年に結成された嵐は、結成当時から爆発的な人気を誇り、多くのヒット曲を生み出しました。さらに、AKB48やモーニング娘。などのアイドルグループも誕生し、若者たちの支持を集めました。

この時期には、ロックやヒップホップ、R&Bなどの音楽も人気がありました。BUMP OF CHICKENやRADWIMPS、スピッツなどのロックバンド、倖田來未や宇多田ヒカルなどの女性シンガー、m-floやRIP SLYMEなどのヒップホップグループ、CHEMISTRYやJUJUなどのR&Bシンガーなどが活躍しました。

代表的なアーティストと曲

SMAP「世界に一つだけの花」
嵐「One Love」
Mr.Children 「HANABI」
宇多田ヒカル「Automatic」
EXILE「Ti Amo」
サザンオールスターズ「TSUNAMI」

など


嵐。2020年度末をもって解散した。
各メンバーそれぞれの人気も高い。

2010年代以降の音楽

技術と音楽の融合

2010年代の音楽は、音楽制作技術の急速な進化とともに、技術と音楽の融合が進んだ時代でした。コンピューターや音楽ソフトウェアの普及により、自宅での音楽制作が容易になり、多様な音楽ジャンルやサブカルチャーが生まれました。また、ネットワーク技術の発展により、音楽の配信やストリーミングが一般化し、音楽業界に大きな影響を与えました。これにより、従来のCDや音楽配信サービスとは異なる新しいビジネスモデルが次々と登場しました。また、音楽イベントやライブ配信においても、高度な映像技術やライブストリーミング技術が導入され、よりリアルな音楽体験が可能になりました。このように、音楽制作や配信、ライブ演出など、音楽制作のあらゆる段階において、技術と音楽が融合した2010年代の音楽が生まれました。

以下は、2010年代の音楽における技術と音楽の融合の例です。

  • Vocaloid: 人工音声合成ソフトウェアを使用した歌声を主体とした楽曲が制作されるようになり、ボーカロイドと呼ばれる歌唱ソフトウェアが一般的になりました。

  • EDM: 電子音楽を主体としたダンスミュージックが、コンピューターで生成されたサウンドやエフェクト、シンセサイザーを多用した作品が多くなりました。

  • スマートフォンアプリ: 音楽を再生するアプリや、音楽制作のためのアプリが多数開発され、スマートフォンを使った音楽制作や共有が一般的になりました。

  • ミュージックビデオ: コンピュータグラフィックスや映像制作技術が進化し、音楽ビデオの制作に使われるようになりました。また、YouTubeなどの動画共有サイトを使って簡単に音楽ビデオを共有することができるようになりました。

代表的なアーティストと曲

  • 米津玄師 「Lemon」

  • RADWIMPS 「前前前世」

  • あいみょん 「マリーゴールド」

  • ONE OK ROCK 「Wherever You Are」

  • BABYMETAL 「Gimme Chocolate!!」

  • Perfume 「ポリリズム」

  • AKB48 「恋するフォーチュンクッキー」

  • SEKAI NO OWARI 「RPG」

  • Vocaloid「千本桜」

など

まとめ

戦後の日本の音楽は、アメリカからの影響を強く受けていたが、徐々に独自の音楽文化が形成されていった。1960年代には、フォークソングやロックが盛んになり、社会的なメッセージが込められた歌詞が多く生まれた。1970年代には、ニューミュージックが現れ、シンガーソングライターが多数誕生した。1980年代には、バブル景気とともにポップスやアイドルグループが台頭し、1990年代にはJ-POPが全盛期を迎えた。2000年代には、テクノロジーの進化によりデジタルサウンドが多用された音楽が増え、アイドルグループも再び注目を集めた。2010年代には、バラエティに富んだ音楽ジャンルが存在し、テクノロジーを駆使した音楽制作が進化し続けている。

最後に

今回は「戦後日本の音楽史」について解説しました。
1980年代以降は音楽ジャンルが多様化し、全てを説明しきることができなかったため、時代の影響を受けた/時代に影響を与えた特に重要な音楽の動きをピックアックして解説することとなってしまいましたが、おもしろく読んでいただけましたら幸いです。

好評であればさらに詳しい音楽の歴史なども、今後書こうかなと思っています。

今後も様々なジャンルに富んだ面白い歴史を解説しますので、「スキ」と「フォロー」をよろしくお願いします。



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