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余計なお世話か、それとも…

ここ最近の話。

普段利用している駅の階段下。
駅と外の入り口出口になっている広間に、1羽の燕がじっとしていた。
一瞬何かわからなかったのだが、よく見たら1羽の燕。
辺りにはそのご家族かお仲間なのか、数羽の燕が飛んでいた。

じっとしていた燕は、近づいても微動だにしない。
しゃがんで覗いてみても、人間におびえているのか少しも動こうとはしなかった。

しかし近づいてわかった。

けがをしているのであった。

警戒心が強いと言われている燕なので、人間が近づいてもどこにも飛ばないのは、まぁけがか何かあったのだろうと予想はついていた。
普段なら何もできずにただ見て見ぬふりをしているところだったが、人がよく通る場所にポツンと置物のように居座っていては、また事故を招きかねないし、ここ最近の悪天候で雨に濡れて衰弱してもかわいそうだ。


そんなことが頭をよぎり、ひとまず近くのスーパーで水と3枚切りのおいしそうな食パンをなんとなく購入し、「ご自由にお取りください」と積まれていた段ボール(小)を買い物袋代わりにと手に取り、再び燕さんのもとへ駆けつけた。


戻ってきても、一ミリも微動だにしていなかった燕。ひとまず、怖い思いをさせてしまうだろうと思いながらも、一時休息所として持ち運んできた段ボール(小)の中に移動させようとした。
少し指を近づけても動こうとしない。しかし、怖がってるのは伝わっている。少しだけ許しておくれとつぶやきつつ、段ボール(小)の中に移動させ、人目の余りつかない場所に避難させた。


とりあえず少しは安心できる場所に移すことはできた。しかし、これ以上は何ができるのだろうか…
時刻は19時を過ぎ、どこかに助けを求めようとも誰に言えばいいかわからない、ましてやこんな夜遅くに対応できる人はないだろうと。


周りには見守る燕が数羽。
ヘタに何かをして、この命に責任が持てるかどうかと自問自答をした結果、あとは周りの燕たちに任せようという決断に至った。
これ以上、何も知らない鳥の世界に首を突っ込んでも余計なお世話になるだけだろうと。


翌日飛び立ってくれることを願いながら、少しパンをちぎって段ボール中において帰宅した。




駅のホームで手を洗い、ちょうど帰りの電車が到着したころだった。こんな経験は初めてだったので、帰りの電車の中で燕の保護について調べてみた。
何個かサイトを閲覧していると、「野鳥のヒナは保護しないでください」「人間が正しく判断することはほぼ不可能」といった記事文章が目に映った。


やはり、自分がしたことは余計なお世話だったのだろうか…

幸いヒナとかではなく成長した燕だったのだが、すごくもやもやした。


人間以外の生き物に手を差し伸べる。
果たしてこれは親切なのか余計なお世話なのか。


一日フル稼働で使い果たした頭の中にわずかな雨雲が残り、晴れないまま常に不安と心配の雨を降らせながら、一日が終わった。



(たぶんつづく)


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