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ふゆのころ

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あのころの回想エッセイ。
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二 不登園児は語らない(けど水鉄砲は好き)

二 不登園児は語らない(けど水鉄砲は好き)

 私は幼稚園が好きではなかった。
 というか、家が好きすぎるあまり、外に出るのが嫌いだった。

 少しずつ自他境界が見え始めた頃の私にとって、家というのは、自分をこの世界の全ての不安から守ってくれる唯一の場所だった。

 家に居れば、何の心配もない。
 その一方で、ひとたび家の外に出ると、いいようもない不安の霧が私をとりかこんだ。

 家は私の母国だった。
 家の外に一歩踏み出せば、そこはもうよそ

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一 安定世界神話

一 安定世界神話

 「ふゆのころ」では、あなたにとって全くどうでもいい事柄のひとつであろう私のバックグラウンドについて、心底うざったいくらいに懐古していく。

 私は、社会的な意味を持たない事柄が好きだ。
 もしそんな私と同じように、あなたが利益的でないものごとをこよなく愛する方であるなら、もしかすればこの連載は、あなたにとってわずかながらでも極めて個人的な意味を持つことになるかもしれない。
 そうであるなら、私に

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