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ひしのこの春のうた

ひしのこは春に生まれた
窮屈な殻を内側から割って出てから見た景色は
青い色と優しいピンク色だった
キラキラ光って混ざるようだったのを覚えている
青い色から小さな丸いピンク色のものが
ひらひらくるくるいっぱいいっぱい降ってきた
それは、さくらのはなびら、というらしい
ピンク色の、さくらのはなびら、の絨毯を進むときはすごく柔らかかったね
それにすごくきれいだから、絨毯がどこまで続いているか見回した
そのとき、僕の背中のピンク色が、さくらのはなびら、の絨毯と一緒になって溶けているのに気づいたんだ!
いつもみんなは、ひしのこはどうしてそんな色でしましまなの?って言うよ
でもその時は僕が赤色だけになったみたいで不思議だった
それは僕には半分ということなんだけれど
すごくきれいだったから、さくらのはなびら、に、半分は溶けたまんまでもいいかなとその時思ったんだった
今、とてもとても優しいきぶん
ひしのこは春に生まれた


ひしのこは、まだ誰にも打ち明けたことはないけど、
自分こそ幻のつちのこなのではないか?
と、毎日密かに思っている。


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