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ひるのしじま
2019年6月3日 12:20
私には透明な妹がいる。姿は見えないし、何歳なのかも分からない。ときどき、名前や存在を忘れてしまうことさえある。ただ確かなのは “ 妹が最近産まれた ” ことだけ。いつの日にも “ 最近産まれた ” と思っているせいで、今でも妹を0歳だと思ってる。でも、もしかして、もう幼稚園に上がるくらいにはなったのだろうか?それともまだ、言葉も覚束無いよちよち歩きの女の子なのだろうか。他にも一
2019年3月25日 23:43
ダイニングの椅子で向かい合って小説を読んでいた妻が、パタンという音と共に深いため息をついた。「ダメね。私、不感症になっちゃったんだわ。」俺は手元のミステリ小説から目を離さず、ソファの背もたれ越しに生返事をする。今、ちょうど良いところなんだ。「ねえ、ちゃんと聞いてよ。私が2年前くらいに読んだ小説、あったじゃない。ほら、“蟻がナントカ”っていう。」「“蟻が溺れた日”?」「そう、そ