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詩と小説

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ぽつりぽつりと落ちた言葉を集めては歩く。 かたりかたりと睡魔の声で紡がれる物語。
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2019年3月の記事一覧

短編小説『 読書家の夫婦 』

ダイニングの椅子で向かい合って小説を読んでいた妻が、パタンという音と共に深いため息をついた。

「ダメね。私、不感症になっちゃったんだわ。」

俺は手元のミステリ小説から目を離さず、ソファの背もたれ越しに生返事をする。
今、ちょうど良いところなんだ。

「ねえ、ちゃんと聞いてよ。私が2年前くらいに読んだ小説、あったじゃない。ほら、“蟻がナントカ”っていう。」

「“蟻が溺れた日”?」

「そう、そ

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隣のテーブル

「まま ストレートってなに?」
「クッキーのこと?」

「紅茶」

ただそれだけの短い会話。

noteとかInstagramって、同じ日に何度も投稿するもんじゃないのでしょう?

それなのにひとつ投稿する度、足りない!もっと言葉を紡ぎたい!って胸が高鳴ってしまう。

だけど、それって、跳ね回れるくらいには心の奴が元気な証拠だから。
おまえは今日もやんちゃだね、って笑うの。

ワクワクで眠れなくなっちゃった!
こんな夜は一杯、シュワシュワなレモネードが飲みたい