編集者は眼の前にある文章のすべてを疑う
コロナ禍になってから、弊社ではリモートで仕事することが当たり前になっていますが、僕はほぼ毎日出社して仕事しています。仕事をするうえではコミュニケーションが重要だと思っているので、出社をすれば雑談の機会も多くなるだろうということで、雨の日でもしっかり出社しているのです。
なので、コミュニケーションの一環として、同僚と「今度ランチいきましょう」とか「あの店行きたいですね」といった話をしているんですが、どういうわけか、実際に誘ってみると結構な確率で断られます。「ちょっと今日は忙しくて…」とか。
いや、ほんと忙しいんだと思いますよ。でも、何度も断られたり、誘われなかったりすると、「何も信じられねえな」と思ったりするわけです。
今回はそんなお話(ちょっと違うかも)。
思い込みを排除するためにすべてを疑う
ネットワークセキュリティには、「ゼロトラスト」という考え方があります。情報へのアクセスについて、何も信用せずに安全性を検証するという考え方です。以前は、例えば社外と社内の境界を越えることに対して防御するという考え方でしたが、どこからのアクセスであっても信用せずに検証するゼロトラストが主流になってきています。
文章作成においてもその考え方が大切で、書かれていることはすべて信用せず、ファクトチェックをするのが基本だと思っています。他人が書いた文章を編集したりチェックしたりするときでも、自分が書いた文章を自分で見直すときでも、書かれていることは信用してはいけません。眼の前にある文章のすべてを疑いましょう。
常識だと思っていることや、自分が勉強したことであっても、意外と間違って覚えていることがあるものです。自分が知らないことは当然のこと、頭に入っている知識でも、疑って読み直すようにしましょう。
例えば、「情けは人の為ならず」という言葉がありますが、本来の意味と違った意味で理解されている言葉として結構有名です。本来は「人に親切にすると、いつかよい報いとなって自分にもどってくる」という意味ですが、「人に親切にすると、その人のためにならない」という意味で理解している人も多くいます。
なので、本来とは違った意味で理解している人が、「情けは人の為ならず」という言葉が入った文章をファクトチェックせずにスルーしたら、間違った文章が世に出てしまうことになります。
こういうことって、意外と多いんですよ。こういう間違いを防ぐためには、書かれていることすべてファクトチェックするのが大切です。「すべてファクトチェックしてられないよ」と思うかもしれませんが、それでもやるんです。どこに間違いがあるかわかりませんし、ファクトチェックしまくることで自分の知識も増えます。
遠回りだと思うことが近道だったりするので、文章のクオリティを上げたいと思ったら、何も信用せずにすべてファクトチェックするようにしてください。いくら文章が読みやすかったとしても、情報が間違っていたら意味がありませんよ。
さて、今日のランチは誰を誘いますかね…。
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