見出し画像

【気になるスタートアップ5選 №16】 #サラダ #リアルエンターテインメント #スモールビジネス #教育 #AI

サラダのサブスク「CRISP SALAD WORKS」 #食品 #D2C

新サービス「CRISP REPLENISH(クリスプ・リプレニッシュ)」は、週単位で自動継続される定期配送型サブスクリプションサービスだ。当初は東京都港区全域と一部の周辺エリアが対象となる。ユーザーが専用アプリから1週間で食べたいサラダの種類、数量、配送の曜日や時間帯を選んでクレジットカード決済すると、毎週サラダが自宅へ届く仕組み。もちろん、注文の変更もキャンセルも随時可能だ。
まず1つ目が、どのサラダを選んでも価格が同じという設定だ。「店舗利用者のデータ分析をする中で、1つのサラダを食べ続ける人よりも、いろんなサラダを試してくれる人のほうがLTV(顧客生涯価値)は高まることが分かった」
2つ目は、月単位ではなく、週単位の契約である点だ。健康のために定期的にサラダを食べようと決めた人でも、月単位の契約では続けられるかどうか不安になるし、毎月の支払額も大きく見える。これに対し、CRISP REPLENISHは週単位で、かついつでも変更・キャンセル可能な設定なので、“サラダ生活”に挑戦するハードルは低くなる。
3つ目は、配送無料を実現するためにCRISPが自前の配送網を構築している点だ。「他社に委託すると、その分のコストを上乗せする必要があり、魅力的なサービスにはならない」
「顧客が繰り返し来店してくれているのに、毎回『知らない人』の扱いをしているのは飲食店だけ」と宮野氏は話す。この不自然な状態を解消しようとCRISPが進めてきたのが、キャッシュレス化による顧客データの収集だ。現金払いは一部の店舗しか対応しておらず、その比率もすでに全決済の僅か2%しかない。
「我々がデータを取得するのは顧客体験を上げるため。多少不便になっても、提供するサラダに魅力があれば顧客は来てくれる。また、データ活用でそれ以上の価値を返せると判断し、大きくかじを切った」
顧客データが蓄積され、あらかじめ一人ひとりの好みが判明していれば、「この前は満足いただけましたか?」「次回はいつもと違うこんなカスタマイズ試してみませんか?」といったコミュニケーションも可能になる

本来ビジネスは、新規顧客よりも既存顧客の方が圧倒的に収益に貢献する。なのに新規顧客ばかりに広告宣伝費が注ぎ込まれてきたのが昭和だ。

デジタルで顧客と接点が構築できる令和には、Customer Successこそ、すべてのビジネスのコアになる。

極端な例のようにみえるが、CRISPのようにデジタルで接点の作れない顧客は切り捨てて、ターゲットを絞り込むことで圧倒的な体験価値をどう作るかが、今後のブランドのコアバリューを形成する。

お化け屋敷・ホラーインベント「怖がらせ隊」 #リアルエンターテインメント

苦境下で、コロナ対策を施したお化け屋敷を考案し、話題になり続けている人物がいる。お化け屋敷やホラーイベントの制作会社「怖がらせ隊」で、お化け屋敷プロデューサーを務める岩名謙太だ
岩名の快進撃が始まったのは、2020年の夏。クルマに乗ったまま恐怖体験ができる、「ドライブインお化け屋敷」を編み出したのがきっかけだった。
日本で初めてホテルの結婚式場をお化け屋敷に活用した、宿泊型のイベント「禁じられた結婚式」を開催。「不謹慎かもしれませんが、平時にはお化け屋敷にできない場所を利用できる今は、我々にとってチャンスになっています」と岩名は明かす。利用者が減った交通機関や各種ホテルなどからも相談が舞い込んでいるという。
常に新しい体験を提供するためには、「ルールを作らないこと」が重要だという。「成功経験を基に得意なジャンルを決めてしまうと、同じパターンの繰り返しになってしまう。毎回、少しでもいいから1歩前進することを肝に銘じています」と岩名は言う。
商機を見いだすべく、他社の施設を視察して回った。もともとお化け屋敷市場には、10社未満の業者しか参入していない。それでも予算が潤沢でないテーマパークやショッピングモールの仮施設などに、面白さとコストとのバランスが取れていないものが多いことに気づき、そこに狙いを絞った。
「『プレイステーション』や『Xbox』などの高価で高品質なものではなく、『ゲームボーイ』を目指したわけです。グラフィックが劣っていても、面白ければ支持されます」。例えば、暗いお化け屋敷の中では、必ずしも制作費の高い精巧な人形は必要でなく、光の当て方などを工夫すれば、安い人形でも怖く見せられる、といった具合だ。

好きを突き詰めれば突き詰めるほど、既存の業界の「当たり前」となっているが、UXを阻害する要因となっているものが見えてくる。細部に神は宿る。既存のレッドオーシャンにみえるようなマーケットも、細部にこだわればこそのイノベーションはまだまだある。

街の中小企業の守りのDX「Service Titan」 #スモールビジネス #DX

ソフトウェアスタートアップ「ServiceTitan」の評価額が83億ドル(約9120億円)に達した。
住宅の補修工事などを行う業者が、自社の事業を管理するためのSaaSツールを提供している。
「住宅や商業施設向けの補修サービスは、派手さはないが、重要度は非常に高い。パンデミックを受けて、自宅における健康や安全の重要度が高まる中で、当社のサービスの需要は伸びている」
「我々は、住宅サービスを手掛ける業者向けのオペレーティングシステムを構築し、全ての職人を管理することができ、あらゆるニーズに応えるサービスを提供したい」

デジタル・トランスフォーメーション。特に業務効率化・合理化・平準化のための「守りのDX」は、すべての業界業種で起こる。

しかし1つ1つの規模が小さいからと見過ごされている領域はまだまだ多い。ほとんどの中小企業でDXは勧められていない。

何せ世界の99%は中小企業なのだから、そこにビッグチャンスは間違いなくある。「住宅サービス」などのように、領域をバーティカルにセグメンテーションすることで、より高い価値を創出できるはずだ。

AI教材「atama+」 #教育 #AI #予備校

学習塾大手の駿台予備学校は2021年4月から、タブレットやパソコンで勉強できるAI(人工知能)教材「atama+(アタマプラス)」を導入した。AIが一人ひとりの学習でつまずく原因を特定し、その生徒専用のカリキュラムを作成するという教材だ。高校の数学、英語、物理、化学、生物のほか、中学校の英語、数学、理科、社会、今年からは小学校の算数も加わった。
アタマプラスを使った学習は、ただ単に生徒が黙々と教材を進めるだけでなく、講師などがコーチングすることも特徴だ。指導者向けのアプリが提供されており、一人ひとりがいつどれくらい勉強したのか、単元をどれくらい理解しているかといったデータを得られる。これらを基にすれば、生徒にきめ細やかなアドバイスができる。
成長をより加速させるべく、同社は7月21日、約51億円の大型資金調達を発表した。教育系ベンチャーとしては過去最大規模とみられる。金融機関からの融資を含めると、これまでの累計調達額は約82億円となった。
教育テックの分野は国の補助金に頼っていては短期の成長が難しく、ベンチャーとしてのハードルが高い。だがアタマプラスはお金の集まる塾・予備校に目をつけた。少子化の中でも個別指導の需要が高まる一方で講師が足りない。教育テックの中でも抜群に面白いポジションだった
駿台では2020年4月、既卒生(浪人生)向けに、カリキュラム全体の3分の1をアタマプラスを活用した演習、3分の2を講師による講義とするコースを新設した。すると同年5月、7月の模試における数学の平均偏差値上昇幅が、アタマプラス未活用の生徒は3ポイント前後だったのに対し、同じレベルの新設コースの生徒は5ポイント以上となった。物理や化学でも同様の効果が見られた。
データを用いた指導を方法論として定め、指導が属人的にならないようにした。ビデオ会議のZoom(ズーム)が普及したことで、生徒1人ひとりと頻繁にやりとりできるようになったことも大きい。講師の人件費削減では?と言われることもあるが、むしろ講師のなり手が減っている中、指導の質を落とさないために有効だ
「基礎学力の習得にかかる時間を短くして、浮いた時間は社会で生きる力を身につけるのに使ってほしい」。稲田氏は会社のミッションをそう話す。

「社会で生きる力を身につける」という社会課題を解決するミッションの実現に真正面から向き合えば、顧客がお金を払うモデルを仕立てるのは難しい。

顧客が何にお金を払うのかは最初のピースに必要不可欠。そこにフォーカスできるかどうかは非常に重要だ。

工場労働者のスーパーマン化「Drishti」 #AI #行動認識

自動化が進む製造業だが、ものづくりには人の力が欠かせない。行動認識技術とAI技術を使い、ラインで働く人々の活動を測り、作業を科学的に分析することで、生産性を向上し、自動化に対する労働者の競争力を高めるDrishti。
製造業において自動化が進み、人ではなくロボットが製品を作っていると誤解している人がいるかもしれません。しかし、実際は多くの場合、工場労働者が部品を手で組み立てています。製造業のラインで働いている世界人口は約3.5億人、製造業で使われているロボットの数は約150万台です。
 しかし、人はミスをする可能性があり、欠陥品が市場に出回ると、消費者に危害が及ぶ可能性や、大規模リコールに発展すれば企業は数十億ドル規模の損失を被る場合があります。こうした問題は、110年前にヘンリー・フォードが自動車の大量生産を実現した時代から存在しています。
 労働者と製造ラインの間にあるインタラクションにおいて、変則的な動きがあればそれに気づき、作業に影響がなく正しく行われたか把握する必要があります。これを実現するために当社は行動認識技術(Action Recognition)を使っています。ラインにカメラを設置し、労働者の作業を動画で撮ります。動画は後で見て分析に使うこともできますし、リアルタイムでミスを見つけることも可能です。
例えば、製造ラインで4つ目のネジを締め忘れたら、Drishtiが「4つ目のネジを締め忘れているよ」と教えます。すると、労働者はその場でミスに対応できます。作業の質が上がり労働者の評価も高まります。欠陥がない製品は消費者も喜びますし、会社の評価も上がるでしょう。皆がハッピーになる、これもDrishtiがもたらす価値の一つです。

オペレーションは人間よりロボットやAIの方が得意だ。それでもいまだに人間が対応せざるを得ない領域は必ず残る。その時に、完全に人間の代替としてAIがあるのではなく、AIが人間をスーパーマン化させる領域はまだまだチャンスがありそうだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?