未来は楽観的に、現実は悲観的に
楽観的に描く未来像がイノベーションの起点となる
"未来"というものは、我々がどれだけ想像力を持っているかを示す鏡だ。未来という言葉には、夢や希望が宿っている。人は楽観的でポジティブな未来を思い描くことで、新しい可能性やチャンスにワクワクし、それを追い求める。
ビジョンは、未知の領域を探求するための羅針盤だ。それが新しいプロジェクトやアイディアの原動力となる。ビジョンを持つことで、困難な状況においても前に進むことができる。
スティーブ・ジョブズは「将来をあらかじめ見据えて点と点をつなぎあわせることなどできない。できるのは後からつなぎ合わせることだけ」といった。つなぎ合わせる点は経験だ。将来を見据えて積むべきものではなく、今を精一杯生きることで得るべきもの。
過去の経験を繋ぎ合わせるのは、楽観的な未来へのビジョンなのだ。それによってビジョンへの具体的な道筋が見えてくる。
現実を悲観的に分析することで、歩むべき道が見えてくる。
しかし、夢だけを心に描いているだけでは、具体的な形にはなっていかない。ビジョンへの道筋が正しいかどうかはいつまで経ってもわからないのだ。
マイケル・ジョーダンは「努力だけではダメだ。正しい方向に努力することが大切だ」といった。その「正しい方向」とは、現実のデータとロジックによって選ばれる。
現実をしっかりと正確に捉える。データや事実に基づいて、冷静に現状を分析する。それをしてはじめて夢を現実のものとするための戦略やプランを練ることができる。
冷静に見るために、悲観的である必要がある。目の前に提示された事実を、都合の良いように捉えてはいけない。逆に都合の悪いようにすべてを捉えるべきだ。そうすれば次に確認すべき仮説が自ずと浮かび上がる。それが夢を現実のものとするための道筋の輪郭をはっきりとさせる。
楽観と悲観の絶え間ない螺旋の中でイノベーションは成されていく
偉大な哲学者フリードリヒ・ニーチェは「命の重みを持つ者だけが、命の軽さをも知る」といった。
この言葉はイノベーションのプロセスにも当てはまる。楽観的な未来のビジョンと悲観的で冷静な現実分析。これらは表裏一体であり、互いに矛盾するように思えるかもしれないが、その2つともイノベーションを生む鍵だ。
未来を楽観的に描き、それを悲観的に冷静に現実に落とし込む。これを螺旋的に実行していくからこそ、イノベーションは成し遂げられる。
イノベーションを追求する全ての人々へ。夢を失わずに、未来を描き続けよう。しかし、その夢を現実のものとするためには、現実としっかりと向き合う必要がある。未来の楽観と現実の冷静さ、この二つをバランス良く持ち続けることで、新しい価値を世界に届けることができるだろう。
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