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新規事業の"失敗"の活かし方 〜「マツコ会議」の裏で話したこと・考えたこと(前編)

こんにちは。ピンキーです。

先日、日本テレビの『マツコ会議』の「副業で稼ぐ会社員集う交流会に潜入!夢の年収1000万…副業のススメ?~」という会に出演させていただきました。

多くの人に観ていただいたようで、ビジネスからプライベートの知り合いまで多くの方にメッセージをいただきました。ご視聴いただき、本当にありがとうございます。みなさまに少しでも楽しんでいただけたのならよかったです。

まあ面白おかしく取り上げていただき、マツコ・デラックスさんの鋭いツッコミもあって、コンテンツとして面白い仕上がりになっていたのではないかと思います。

また、テレビ制作の「演出」と「編集」のプロフェッショナリティを久々に感じることができ、それはそれで貴重な機会となりました。

本稿では、編集でカットされた話も含め、その裏側で考えていることなどを記します。

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複業「新規事業コンサルタント」

今回は「副業で稼ぐ会社員」というテーマだったわけですが、僕自身はどちらかというと副業というより複業をしています。

サラリーマンとして、個人として、一言でいうならば「大企業の新規事業のお手伝い」をしています。

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もう少し細かくいうと、新規事業のディスカッションパートナーから、アイデアの評価、承認プロセスの設計、事業創造のプロセスマネージメント、組織や体制作り、新規事業人材の育成研修などを生業としています。

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成功体験のない「新規事業コンサルタント」

番組の中では相当面白おかしくまとめられてしまいましたが、新規事業コンサルタントを生業としていながらも、自身に新規事業において際立った「成功体験」がないのは事実です。

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スタートアップを転々とし、様々なポジションや責任範囲、役割で新規事業に携わってきましたが、語れる「失敗体験」は数多くあります。

・社長の妄想を形にすることばかりに力を入れた結果、存在しない顧客に対してサービスを提供してしまい爆死したこと

・逆に顧客に寄り添うことを意識しすぎ、顧客が言うことを受け入れすぎた結果、「みんなにとっていいものは、みんなにとってどうでもいいもの」になってしまったこと

・新規事業の仕込みがうまくいき、さあまさにこれからだ!というときに、先を読む力が甘く、市場環境の変化によって何もできずに撤退せざるを得なかったこと

・莫大な予算を使わせてもらったのに、形作るだけで終わってしまい、売上をほとんど立てることができなかったこと

・チームメンバーのモチベートを考えずに、ビジョナリーな戦略をぶち上げたら社内の評価は高かったが、チームとしてはバラバラで全くチームのレバレッジがかからなかったこと

などなど。

Pinky - 自己紹介



失敗体験はいくらでも、なんなら本1冊書けるほど語れるのですが、自慢できる「成功体験」は持ち合わせていません。

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※ 一応念の為補足すると、成功体験がないのは「自慢できる」成功体験がないだけで、ユーザーを5倍に増やしたり、売上を10倍に伸ばしたり、継続率を10pt以上引き上げたり、過去最高売上を6ヶ月連続で叩き出したりなどなど、もちろん施策ベースでの成功体験はありますw 流石に全く成功体験がないと、失敗体験から学びを抽象化することも難しいですから...。

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「生存者バイアス」と「失敗体験」

しかし、ボクの「成功体験のない新規事業コンサルタント」は、失敗ばかりしているが故にアドバイスできるのです。

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よく戦闘機の話に例えられる「生存者バイアス」の話をご存知でしょうか?


「生存者バイアス」とは、戦場から墜落せずに戻ってきた戦闘機の損傷をみて、その損傷した箇所を補強すれば強い戦闘機になる、と勘違いする行為のことです。

それはあくまで生存した戦闘機のみを対象にした調査であって、墜落した戦闘機を対象に入れておらず、そもそも調査として成立していないのですが、人間は「生存者」の意見に左右されがちです。

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スタートアップにしても、新規事業にしても、生存者=成功者の成功談をよく記事などで目にすることも多いでしょう。その話を真に受けたとして果たして成功することができるのでしょうか?

「生存者バイアス」によって表出するのは、あくまで致命傷には至らない軽傷の穴だけです。その穴を埋めたところで、致命傷に至る可能性のある部分を補強することはできません。



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本来埋めるべきは、戦場から墜落せずに戻ってきた戦闘機の「穴」ではなく、戦場で墜落した飛行機に空いた「穴」なのです。

その穴が致命傷になって墜落した可能性が高いということであり、その穴を埋めれば落ちない飛行機ができあがります。

であるがゆえに、ボクの「成功体験のない新規事業コンサルタント」は、失敗ばかりしているからこそアドバイスできるのです。

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「失敗を科学する」

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私は、この世に成功確率をあげる方法はないと思っています。成功は「運」の要素が非常に大きいから。世の中の事業の成功のそのほとんどは「運」でしか説明はできないのです。

逆に失敗確率を下げる方法はあります。それは失敗事例から学ぶことです。失敗を科学すれば、失敗確率を下げることができるのです。

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科学とは「再現性のある仕組み化」です。

科学は大きく分けて、社会科学、自然科学、人文科学の3つに分かれます。

社会科学=近似の科学、自然科学=分解の科学は方法論を導き出します。しかし大前提として、それを行うためには、人文科学=体験の科学が必要になるのです。

創造のためには、方法論そのものを学ぶのではなく、事例によって疑似体験を積み上げること、そして自らの実践によって経験を積むことだけが「科学する」ために必要なのです。

自分が探求しようとしている分野について深く知り、その知識を通じて正しい努力をし、その体験を通じて「何が失敗しやすいか」という直感を得ることができるようになります。

私は私の失敗体験をもとに、失敗の疑似体験を提供したり、正しく行動し正しく失敗することをリードしたりと、失敗をファシリテーションすることで失敗確率を下げることをお手伝いしているのです。

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と、マツコさんのお墨付きもいただきました。良いオチもいただきましたがw

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令和時代に「コンサルタント」は存在し得ない

ちなみに本編では「コンサルタント」を名乗りましたが、最近はコンサルタントを名乗ることをやめており、「事業創造"失敗"ファシリテーター」と名乗っています。

(もちろん、わかりやすさを重視して「コンサルタント」と名乗ることはまだまだ多いわけですがw)

コンサルタントという職業は「企業の様々な課題を明らかにして解決・助言する」ことが仕事です。

しかし、令和時代、VUCAの時代には明確に「決まった解決法や決まった答え」というものは存在しません。「答えのない問いを定義することから始まり、答えのない問いに答えを探す旅路を共にする」ことがコンサルタントの新しい仕事となります。

となるとそれはつまり「コンサルタント」ではないのです。「コンサルタント」という概念自体が令和時代にはそぐわないものなのです。

だからボクは「ファシリテーター」と名乗っています。決まった答えはありません。企業の数だけ解かなければならない問いがあり、企業の数だけその旅路があります。そこに決まった答えはないのです。

変化の激しい時代に、その変化に対応するために必要なのは、誰かが向かうべき先を決めて、その指示通りに進むことではありません。全員で討論しその価値観をぶつけあい、その上でどの解決策を採用するかどうか全員で決めて、全員で前に進むことが必要です。

変化への対応を個人の可塑性に頼るのではなく、チームの可塑性によって変化へ対応するのです。

そのために必要なのは答えを提示する「コンサルタント」ではなく、討論を活性化する「ファシリテーター」なのです。

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まあ、なにはともあれ、マツコさんに「悪質なものは感じない」と評価をいただけたので、それだけで満足です。

悪質なものを感じない「事業創造"失敗"ファシリテーター」にぜひお気軽に新規事業のご相談くださいませ!

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▼動画はコチラ
https://www.hulu.jp/watch/100047154

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