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国際結婚した後、お互いに相手の国で暮らす?

僕ら夫婦は、27年前に台北で結婚しました。家内は台湾人、僕は日本人の国際結婚です。その時点で交際して3年でしたので、すでに30年ほどつきあってきています。

一緒に暮らし始めたのは台北。僕は台北に来て、台湾の建築設計事務所で仕事をしていました。台北で暮らして4年、台湾の大学で日本語を学んだ家内が日本で暮らしたいと言い出し、僕もそれに同意して日本に移りました。
僕は東京の建築設計事務所で勤務、家内は当初はアルバイトをしていましたが、しばらくして貿易会社の正社員に採用され、その後ずっと貿易畑での仕事を続けています。

この様に2人で台北と東京での生活をしたのち、4年前に僕が台北に単身赴任しています。台湾人の家内は東京で、日本人の僕は台湾で暮らすことになってしまいました。この様に暮らしている国際結婚夫婦も珍しいと思いますので、少し紹介してみます。

きっかけは語言交換

家内とは台湾の輔仁大學で知り合いました。僕は28歳の時に中国語を学ぶために半年の語学留学をしました。その時に選んだ留学先が台湾の輔仁大學語言中心でした。
勉強を始めてすぐ、日本人留学生経由で同じ大学で、日本語を専攻で学んでいた大学生から語言交換をしようと声がかかり、一緒に勉強を始めました。語言交換というのは、お互いにそれぞれの言語を勉強し合いましょうという勉強会ですね。その勉強相手が将来の結婚相手でした。
その時点で僕は日本で2年ほど中国語を学んでいましたが、一向に会話はできない状態でした。家内は日本語専攻の大学三年生でしたので、かなり話せました。この語言交換は留学が終わるまで半年続きました。

交際を始める

留学を終えて僕は東京に戻りましたが、その後も彼女と連絡は続けていました。そして今度は彼女が東京に短期留学に来ることになり、その頃から交際を始めました。
そのタイミングで、勤めていた設計事務所が社長の意向で会社をたたむことになり、新しい仕事を探すことになりました。そうしたところ、彼女からこの際台湾で仕事してみたらと提案を受けて、それも面白いかもしれないと考え、台湾での仕事を始めることにしました。
台北では東京と同じく建築設計事務所に勤めました。そして一緒に暮らして一年半後、台北で結婚式をあげました。

結婚後は東京に

結婚してから1年ほどしてから、二人で相談して日本に移り住むことになりました。家内も日本で暮らしてみたいと考えたのが主な理由です。

僕は台湾での業務の経験を生かして、台湾や中国での設計案件を持っている、比較的規模の大きい設計事務所に就職し、日本で台湾や中国の建物を設計しつつ、必要であれば現地に出向くと言う仕事を続けました。
家内は当初はアルバイトでしたが、その後正社員、派遣社員、契約社員などとして働いています。貿易事務という仕事をやり続けたことで、その方面のスキルが蓄積され、今では会社内でも有数の貿易事務のプロフェッショナルとして働いています。言葉も、日本語/中国語/英語を駆使でき、送り先の外国人と自由にコミュニケーションできるので、その方面でも能力を認められています。

コミュニケーションで使う言語

このように、付き合い初めからお互いに日本語と中国語をチャンポンで使いながら、台湾でも日本でも暮らしたことがあるので、二人とも日本語と中国語を話したり書いたりするのにほとんどバリアーがありません。また、お互いに相手の国の習慣や、長所/短所を熟知しています。

たとえば、家で会話をする時には中国語で話すことが7、8割でしょうか。専ら家内が話して僕が聞き役になるので、中国語ベースの会話が多くなります。
これがチャットをする時には日本語メインになります。家内は台湾の中国語入力を注音では面倒くさいというので、手書き入力でやるのですが、それよりもさらに日本語入力の方が便利だというので日本語ベースでのやりとりになっています。
知人と会う時には、相手の言語に合わせます。僕の群馬の実家に行けば日本語で話すし、家内の実家に行けば中国語で話します。(本当は台湾語ができれば良いのですが、僕の台湾語は会話は無理なレベルです。)シンガポールとか香港の友人が多いのですが、そうした場合は中国語で話します。

こうしてずっと東京で20年以上暮らし、マンションも買ったのですが、僕が50歳を過ぎてから設計事務所から建築コンサルタントの会社に移り、台北に赴任することになりました。

お互いに相手の国で暮らす

このような経過で、国際結婚した後、東京に生活のベースを置きながら、僕が台湾で建築コンサルタントの業務を行うことになり、結果として日本人の僕は台北で、台湾人の家内が東京で仕事をするということになってしまいました。

家内に台北に移って生活しないかと相談したこともありますが、日本の方が給与水準が高く、既にマンションも持っているのでこのまま東京に住み続けるという意向です。
僕は僕で、台北で行う建築コンサルタントの仕事が僕のキャリアで望める、ほとんど天職のようなものと考えており、この仕事にやりがいを感じていますし、実際沢山の業務に貢献している思います。

台湾で仕事をしていると、自己紹介の際に奥さんは台湾人ですと話します。それで中国語が話せるんですねと納得してもらえます。しかし、その後に奥さんと一緒ですかと聞かれると、いいえ家内は東京で仕事をしていますと答えることになります。そうすると、皆さんほぼ全員不思議な顔をします。何故奥さんは台湾に戻って来られないんですかと聞かれます。簡単に上記のような事情を説明しますが、やはり不思議なようです。

というような具合で、夫婦でお互いに相手の国で生活するという、珍しい生活をしています。沢山の国際結婚をしているカップルを知っていますが、確かにこんなパターンのケースは聞いたことがありません。

こんな風なので、ちゃんと共同生活できているのか皆さん心配してくれますが、あまり違和感なく過ごしています。
そもそも、このような単身赴任の生活を始める前に、家内がヨーロッパに語学留学に行っていたこともあります。これはイギリス留学が6ヶ月、そのあとイギリス/イタリア留学が6ヶ月、延べで1年間ほどもヨーロッパで暮らしていました。そのころ僕は台北での工事監理業務で台北に来てきたということもありますが。
僕が京都に現場監理に派遣されたこともありました。僕が京都に移ってから半年後、家内は東京の仕事を辞めて、京都に来ました。その後2人で関西での生活を一年続けました。

そのように長期に離れて過ごすということも過去よくあったので、単身赴任の場合年に4回日本への帰国を許され、家内も年に2回ほど台湾に里帰りできるという状態では、ほとんど何の支障もありません。
また、台湾に来ればホテル住まいせずに、会社で借りている部屋に自由に住めるので、まるで家が東京と台北に二つあるというような暮らしです。
ただ昨今のコロナの状況では、僕が日本に行くのも家内が台湾に戻るのも簡単ではなく、直接会える機会は年に一度ほどになってしまいました。ですので、最近はオンラインでコミュニケーションを図るようにしています。

こんな具合に生活している夫婦もいるということで、紹介してみました。お互いに相手の言語と生活習慣に通じていて、それぞれに自分の仕事を持っているので、この様な生活を送っています。

僕はお互い自立した個人が一緒になって生活しているというのが、理想のパートナー像だと考えています。ですので、家内がこのように日本で一人でも生活できているということを非常に頼もしく思っており、信頼しています。
コロナが落ち着いたら、またお互いに東京と台北を行ったり来たりすることになるでしょう。

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