島 裕之 Hiroyuki Shima

台湾で建築コンサルタントの仕事をしている建築士です。仕事のかたわら、台北のジャズライブ…

島 裕之 Hiroyuki Shima

台湾で建築コンサルタントの仕事をしている建築士です。仕事のかたわら、台北のジャズライブに頻繁に足を運んでいます。 ほかにも、街歩き、ハイキングと本屋巡りなどを楽しんでいます。

マガジン

  • 台湾の面白い建物

    僕は台湾の設計事務所で働いたこともあり、日本の設計事務所で台湾の建築師とJVを組んで一緒に設計業務に臨んだこともあります。そんなことから、台湾の現代建築をとても興味深く見ています。それで、暇をみては台湾のあちこちの面白い建物を見学に行ってます。 そんな中でも特にこれは面白いと思ったものをNoteで紹介します。日本では現在建築デザインが非常に保守的になっていると思いますが、台湾ではたくさんのおおらかなデザインの建物が実現しています。

  • 台湾のジャズライブ

    台湾で実際に足を運んで聞いた、特に特徴のある興味深いジャズライブの内容を紹介していきます。ミュージシャン、音楽の特徴、ライブ会場等について触れます。 FBで"台湾ジャズ指南"というグループを作っていて、こちらではタイムリーな台湾のジャズライブの情報などを発信しています。FBを利用している方はこちらもご覧ください。 https://www.facebook.com/groups/576457089563845

  • 台湾建築雑感

    建築設計・工事監理・コンサルタント業務を通して感じた、台湾人の考え方を紹介していきます。建築に関する設計と施工業務というのは、国が違うとこんなにも異なるのかということを知っていただきたいと思います。 FBで台湾建築さんぽというグループを作って、台湾の建物やランドスケープも紹介しています。こちらもご覧ください。 https://www.facebook.com/groups/716594165826694

  • 明清交代人物録

    台湾に関わりを持つようになってから、言葉の勉強を兼ねて中国語による台湾の歴史の本を読むようになりました。その中で特に興味を持ったのは歴史家曹永和氏の著作です。17世紀の台湾の歴史を、オランダの資料を基に再構築し、台湾の歴史を台湾島の歴史としてとらえ直しています。 ここからスタートして、明朝末期から清朝の初めにかけての様々な歴史資料を読んできました。日本ではこの時代についての詳しい書籍はあまり多くないので、この様な読書経験から、日本ではあまり触れられていない面白い人物を知ることになりました。その中から、僕が興味を持っている人物をピックアップして紹介していこうと考えています。 第一部【鄭芝龍】 第二部【フランソワ・カロン】 第三部【フレデリック・コイエット】 第四部【洪承疇】 第五部【陳永華】

  • 徒然の記

    Noteではテーマを4つ選んで文章を書いています。建築/音楽/歴史/中国語ですが、そのいずれにも当てはまらない記事もありますので、それをここにまとめておきます。 台湾で暮らしている中で遭遇した、あるいは感じた面白い出来事を紹介します。

最近の記事

  • 固定された記事

異域、孤軍

30年前、結婚して台北の石牌に住んでいた頃、書店で「異域」というタイトルの本を見かけました。このシンプルなタイトルに惹かれ手に取ってみたところ、国民党軍が雲南から国境を超えてミャンマーに入り、その地で共産中国に対しての反抗を続けたという物語であることを知りました。 泰北の末裔 28歳の時に台北の設計事務所で仕事をしていた時に、この事務所の代表建築師に専属の運転手がいました。彼は身なりは普通の台湾人と同じでしたが、言葉に少し訛りがありました。同僚の話から彼は、タイの泰北から

    • 【台湾の面白い建物】湯圍溝溫泉公園

      これは、礁溪の街で偶然発見した公共温泉施設です。 2020年8月、礁溪の山の中にある"跑嗎古道"を4時間ほどかけて歩きました。礁溪に戻ってきた際、ここが沢山の温泉ホテルのある温泉街であるとあらためて気がつき、どんな施設があるのか歩き回ってみました。そうしたところ、街中の公園の一角に、この公衆浴場があるのを発見したんです。ちょうどハイキングの後で汗だくだったので、利用してみることにしました。 この様な温泉施設は、北投や烏來でいくつか利用したことがありますが、日本の温泉施設を

      • 【台湾のジャズライブ】Jamsession on Vinyl Decision

        2024年7月、Vinyl Decisionでベーシスト廖品勳のアメリカへの留学を祝ってのライブとジャムセッションがありました。この時彼の応援に来たミュージシャンが凄かった。錚々たるメンバーで、僕は正面の席で喜び勇んで彼らの演奏に聴き入ってました。 その時の、トランペットフィーチャーをしていたジャムセッションの演奏を紹介します。  トランペット:Josh Aguier、徐祥騏  フリューゲルホーン:Olivier Baron  ピアノ:曾增譯、劉詠瀚  ギター:  ベース:

        • 【台湾建築雑感】木造建築の保存について

          台湾で生活していると、台湾全土のあちらこちらで、日本統治時代の木造宿舎のリノベーションプロジェクトを見かけます。小さなものは単体の宿舎、大きなものになると、軍隊のための宿舎を街区全体で修復しているものなどもあります。 これらの木造建物のリノベーションについて考えていることを書きます。 初めに、いくつかの具体的なリノベーションプロジェクトを紹介します。 嘉義、檜意森活村 嘉義は、日本統治時代は阿里山の木材を集積加工する林業のセンターとして発展していました。そのための職員の

        • 固定された記事

        マガジン

        • 台湾の面白い建物
          54本
        • 台湾のジャズライブ
          63本
        • 台湾建築雑感
          50本
        • 明清交代人物録
          57本
        • 徒然の記
          86本
        • 旅の記録
          37本

        記事

          【明清交代人物録】洪承疇(その二十七)

          前回述べたような隆武王朝に対するに、清朝側ではどのような動きになっていたのでしょうか。 僕が鄭芝龍に清朝側のアプローチがどのように行われていたのかを知りたいと考えた際に、洪承疇と合わせて知りたいと考えていた人物がいます。それは、この時期の清朝征南軍のトップであるポロです。この満州貴族の動向が、鄭芝龍が囚われの身となる際のキーになるのではないかとずっと考えていたのですが、一向にこの人物の素性や性行が分かりませんでした。最近になってようやく、このようなことなのではないかという、

          【明清交代人物録】洪承疇(その二十七)

          台湾の人口規模

          日本人は、日本のことを小国と考えがちですが、実のところそんなことはありません。人口規模で世界第12位、国土面積では世界第63位の、大国とは言えないまでも世界を眺めてみると中規模以上の国家です。 台湾を見てみると、日本よりも更に小さな国と思われるでしょうが、実のところそんなに小さなわけではありません。 香港とニュージーランド 25年前、台湾から日本に移る際、ニュージーランドへの2週間の旅行をしました。その頃台湾桃園空港から、ニュージーランドオークランド空港への直行便はなか

          台湾の人口規模

          学生時代のヨーロッパ旅行(その三十、最後に)

          最後に、このヨーロッパ旅行を通じて感じたこと、考え方の変化などを、諸々書きます。 1. 外国人とのコミュニケーションが自然になった このヨーロッパへの旅行を思い立ったきっかけは、イギリスで生活してみることで英会話の能力を培いたいということでした。東京で英会話学校で先生と話す時は、緊張してしどろもどろになり、ほとんど会話にはならず英語の片鱗をかろうじて口にする、そんな程度だったと思います。 それが、イギリスのファームキャンプでの2ヶ月、その後の4ヶ月のヨーロッパ旅行を英語

          学生時代のヨーロッパ旅行(その三十、最後に)

          【台湾建築雑観】ペーパーホルダー

          日本の住宅の設計においては、トイレの便器とペーパーホルダーの関係が平面的に厳密に決まっています。便器に座った際に手の届く壁面に設置する様に計画します。 この基準を台湾でどうするかが議論になりました。 日本の設計基準 日本のマンションディベロッパーの仕事をしていると、設計標準というものがあり、このペーパーフォルダーの設置位置を厳密に定めています。便器に座った際、すぐに手の届く位置にこれは置かれます。 この位置は各ディベロッパーや、衛生器具メーカーによって基準が定められ、それ

          【台湾建築雑観】ペーパーホルダー

          【明清交代人物録】洪承疇(その二十六)

          ようやく、このシリーズで整理したいと考えた部分にたどり着きました。鄭芝龍が、どの様にして隆武王朝を見限って、清朝に寝返ったのか。その際、洪承疇はどの様に関わったのかという問題です。鄭芝龍はこの様な判断をしたがために、歴史的には忠義心のない海賊上がり。息子の鄭成功が民族の英雄となって歴史的評価がとても高いのに対し、政治的判断を間違えた失敗者と見られています。 さて、南明政権二代目の隆武王朝はどの様な政権だったのでしょうか? 隆武帝 南明二代目の皇帝である隆武帝は、一代目の

          【明清交代人物録】洪承疇(その二十六)

          学生時代のヨーロッパ旅行(その二十九、行程のまとめほか)

          このマガジンの記事は、2ヶ月のイギリスでのファームキャンプの暮らしと、4ヶ月のヨーロッパ旅行の内容なので、ざっと全体を眺めてみます。 1ヶ月目 パキスタンエアラインでロンドンへ。途中、マニラ、バンコク、カラチ、イスタンブール、フランクフルトを経由。 ロンドンで2泊してTiptree International Farm Campに入る。 2ヶ月目 2ヶ月間、Tiptreeで季節労働者として働く。 ロンドンとコルチェスターに旅行に行く。 ファームキャンプでの生活を終え

          学生時代のヨーロッパ旅行(その二十九、行程のまとめほか)

          【台湾のジャズライブ】Nomads Factory

          台湾でヨーロッパのジャズの風を吹かせているグループがあります。アコーディオン/ピアノ奏者で作曲もするLionel Picard(中国語で李歐と言います)がリーダーの、"Nomads Factory"です。 Nomads Factory ヨーロッパの東欧の音楽、ジプシージャズなどのスタイルを取り入れて、オリジナルのジャズを演奏しています。台湾では継続的に演奏を続けていて、特にSapphoではレギュラーのライブを行っていて、その回は毎回満員になっていました。その場ではノリで多

          【台湾のジャズライブ】Nomads Factory

          学生時代のヨーロッパ旅行(その二十八、ギリシャ)

          ロンドンに着いてから半年、ようやく日本に戻る時がやってきました。最後の旅の目的地はアテネです。日程に余裕がなかったので、ギリシャで他の街に立ち寄る余裕はなく、イスタンブールから直接アテネに入りました。 アテネへの移動 イスタンブールからアテネへは、長距離バスを使いました。これは、今でも鉄道は通っていないようですね。 約1日の行程で、途中トルコとギリシャの国境を通ります。鉄道で国境を抜ける際には、車内でパスポートチェックがあり、大業なことにはならないのですが、バスの場合はい

          学生時代のヨーロッパ旅行(その二十八、ギリシャ)

          陳舜臣さんのこと

          僕は小学生の頃から本の虫でしたが、大学生の頃特にハマった作家さんがいます。歴史小説の大家"司馬遼太郎"と"陳舜臣"。このうち司馬遼太郎のことは後で機会があれば書こうと思いますが、今回は陳舜臣のことに触れます。 陳舜臣さんの歴史シリーズ 司馬遼太郎の歴史物語は、主に日本史を題材にしています。「項羽と劉邦」など中国史を扱った作品も一部ありますが、大部分は日本史の物語です。 一方、陳舜臣は中国史を題材にした物語をたくさん書いています。僕が陳舜臣の作品を本格的に読んだのは、「阿片

          陳舜臣さんのこと

          台湾の神様に助けられた話(その六)

          2024年正月頃、日本のパーカッショニストから連絡がありました。僕のFBのグループ「台湾ジャズ指南」を見て連絡してきたとのこと。日本のジャズ愛好家がこのグループを見て連絡をしてくることはよくあります。 今回はラテンパーカッションのミュージシャンなので、ジャムセッションでコンガを演奏する場所はないかということでした。 「それでしたらSapphoをお勧めします。ステージの脇にコンガが置いてあるので、ジャムセッションに参加できますよ。」と伝えました。タイミングが合えば、一緒にジャ

          台湾の神様に助けられた話(その六)

          【台湾の面白い建物】八角居所

          台湾の友人に、建築師の張至偉がいます。丹下事務所に勤めていた頃、アメリカの大学のインターンとしてやってきた台湾人学生でしたので、台湾で仕事の経験をしたことのある僕が、色々面倒をみていました。 彼は、大学卒業後アメリカの建築設計事務所で中国の商業案件を担当した後、僕が台湾でのコンサルタント業務を始める頃には、台湾で自らのディベロッパー会社を設立し、建築の企画、設計、施工を一貫して行うという事業を始めていました。彼の会社を"生活製所"と言います。 その張至偉が、自らの父親の購入

          【台湾の面白い建物】八角居所

          【台湾のジャズミュージシャン】ピアニスト(その一)

          台湾のジャズライブをマガジンで紹介していますが、これからミュージシャンをテーマに紹介する記事を書きたいと思います。既に台湾で知り合っているジャズミュージシャンが200人を超えていますので、毎回楽器別に5人ずつ紹介していきます。 初回は、ピアニストです。 曾增譯:Mike Tseng 曾增譯は、現在台湾のジャズシーンで最も先頭を走っていると僕が考えているピアニストです。 曾增譯の演奏を初めて聞いたのは、2018年のJazz Spot Swingでのトリオでのオルガンの演

          【台湾のジャズミュージシャン】ピアニスト(その一)