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40代で「学び直し難民」にならないためのビジネススクールの活用

コロナ禍により、これまでの人生にないほど時間的余裕が生まれた。この期間、様々な新たなトレンドやテクノロジーについての知見を深めることができ、改めて学び直しの重要性に気づかされた。

40代からの選択肢としてのビジネススクールがもたらす価値とは?

私はこれまで、外資系の日本子会社にてファイナンス領域に長年従事した後、独立後は海外テック企業の日本市場進出を支援するというサービスを展開してきた。この手の事業では、日本市場の微妙な現状を説明したり、その場で相手から出される質問に直接的かつ明示的に答えてることが重要である。そのため先方のCEOやそれに並ぶ役職、つまりは「意思決定者」と直接のコミュニケーションを図ることが何よりも重要だ。

事業会社で責任者を歴任し、様々なグローバルプロジェクトに関わり、かつ自らも会社をいくつか経営してみると、どんな学習プログラムに参加しても、率直に言って「目からうろこ」のような新たな学びを得られることはない。どちらかと言えばこれまでの経験を通して得られた知見の整理であり、いわば散らかった脳内本棚の整理整頓に近いといえる。海外ビジネススクールではそうした作業を世界各国から来た仲間とともに行うことになるが、現役の意思決定者、あるいは近い将来その責務に就く人々との人脈形成の場としての意味合いが非常に大きいと言える。

特にMBAではなく、EMBA(Executive MBA)プログラムに参加する場合はその傾向はさらに顕著になる。一般的に、MBAは30歳前後の学生が多いがEMBAは40歳前後が多く、公式な学位としてはどちらも同等のMBAであるものの学習アプローチに違いがあり、EMBAではその頭文字が示すように会社組織のExecutive層を対象にプログラムが提供される。実務経験のレベルは15年以上が一般的であることからしても、人脈形成の場としては非常に有効であると言える。

IE Business Schoolについて

この度、私が選んだビジネススクールはスペインのIE Business Schoolだ。もともとIEが提供している人材開発にまつわるグローバルマスタープログラムを修了していたことや、数多あるビジネススクールの中でもラーニングテクノロジーに強みを持っていることも決め手の一つだ。参考までに世界的なランキングでの位置づけも述べておくなら、2022年QSランキング13位2021年Financial Timesランキング14位という位置付けのビジネススクールだ。

QSランキング13位、FTランキング14位のビジネススクール

IE Business Schoolが現在提供しているエグゼクティブ向けのプログラムは2022年9月現在で4種類あり、Executive MBA(英語)、同じくExecutive MBA(仏語)、Global Executive MBA、IE Brown Executive MBAだ。私は人脈形成を目的としているためGlobal Executive MBAプログラムを取っている。このプログラムは15か月間で、マドリッド→ロンドン→シンガポール→LA→マドリッドという周遊学習とオンライン学習のブレンデッド形式で学ぶことになる。

GXMBAの周遊スケジュール

小さな世界で優秀と勘違いされてきた40代が持つべき危機感

昨今のメディアでは「リスキリング」、「学び直し」といったワードが多く見受けられ、40-50代の芸能人の進学に関する記事もよく見られる。これほど日本で成人学習の重要性に世間の注目が集まったことは過去になかっただろう。もはやライフスタイルの一つのようになりつつある。しかしながら、大人の学び直しが単なるカルチャーやファッションであってはいけないことは明白だ。

大学を卒業して15‐20年後と言えば38-43歳という、非常に脂の乗った人材レイヤーに属するはずだ。私見ではあるが、この年齢の人材を見るときに瞬時にカテゴライズできることがある。

①専門知識を持ったジェネラリスト
②専門知識を持ったスペシャリスト
③専門知識を持たないジェネラリスト

組織を変革してゆく上では①の人材がフロントまたは上流に位置してチームをリードしてゆくことになる。しかしながら、①に属する人材でも「実現力」のない者は淘汰されてしまう。つまり、何でも「知っている」が「形にできない」人材だ。これではなかなか厳しい。もちろん、一人の人間があらゆる専門知識を得ることは不可能なわけだが、「実現力」の高い人間は必要な人材をいとも簡単に発掘し、自身の組織に取り込むことに長けている。それと同時に、自分が知らない領域に直面した時でも必要最低限の知識を超高速で取り入れることができ、”小さいスキルブロック”の入れ替えが上手い。またこのタイプの人は、新たなメンバーにラブコールを送る際には、相手の方が自分より専門家であることを認めながらも、相手と同じ土俵で最低限のやり取りができる人が多い。こうしてチームを組成し、様々なビジネスアイデアやプロジェクトを実現する力を持っている。

20年のキャリアにMBAがもたらす価値を自ら検証する

20年もビジネス経験を持つと、MBAとは単なる記号にすぎない。それで、MBAという学位そのものがモノを言う場面は卒業後も期待してはいない。むしろ、20年の実務経験を持った人がMBAプログラムを通じたあらゆるコンテンツや人脈形成をどのように利活用するのかという観点から、今後15か月に渡って様々な人との出会いや、アイデアソン的な投稿をしてゆきたいと考えている。

学位に期待するのではなくEMBAを本人がどのように利活用するかが重要

その中で、IE Business Schoolに興味がある読者に、役立ちそうな情報も併せて届けてゆくつもりだ。


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