双子新地夜曲

囚われた男たちは

「なりゆくいきほい」に

身を委ねていた


暗いレストランでで

処刑の順番を

待っている


窓の外は霧の街道

甘く爛れた雑音が

漂っている


待合の扉には

全て鍵がかかっている

無惨に時が過ぎる


男たちは同じ所作を繰り返し

失ったものを取り戻そうと

延々ともがいている


「いつかは霧が晴れる」と

口では言っていたが
そうならないこともわかっていた


とうとう男たちは

透明な機械になり

新地の夜景と同化する


それでも待っている

街の重い蓋が開く時を

薔薇色の象が飛来する日を



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