真夏の捕食者

体を合わせても
そこに肉はない
かわりに
ヌメヌメしたイメージがある
怪しい月に
照らされた
強い酸の湿原に
艶やかなうつぼと
Y字の管
それはらせん状にねじれている
誘い込まれ
狭い隙間を通り
分岐点の開口部から
奥へ向かう
そこには
膨潤した
詩嚢 があり
観念のバクテリアが
堕獄者を溶かす
それを餌とする
ユメカメムシの排泄物が
捕食者の栄養になる
いくら
背地性の言葉を弄してみても
管には
逆向きの刺があって
戻ることは
できない

ついに男は
女の一部になった
女は特にそれを
望んでいたわけではなかった
男が勝手に
罠に嵌まったのだ


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