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隈研吾さんが東川にやってきた。

元気です。

先日4月14日の「椅子の日」制定を記念したイベントが東川町で行われ、世界的建築家の隈研吾さんの特別講演があり、行ってきました。

隈研吾さんといえば、国立競技場の設計をしたことでも有名で、日本のみならず、世界で様々な建設設計をしていることで有名な建築家です。

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今回の講演で話していたことを箇条書きで記していきます。

・コロナによって始まったのは「集中」から「分散」への転換。垂直から水平に転換したと言える。つまり、都市部でのビルのような「垂直」から、地理的分散への「水平」への転換である。

・そして、期待しているのは、コンクリートのように「どこでも同じ品質が求められ、同じ品質が納品されるコンクリート」ではなく、「現地の材料を使って、現地の職人によって建設されるから木造建設への転換」

・この様に人間の営みが住む土地で生まれて消費されていくことが大事だと思っていた。

・だから、国立競技場では47都道府県の木を使う設計にした。全国どこでも手に入る杉の木を使った。使ってみたら、こんなに色が違うのか、と驚いた。北海道の木は屋根材に多く利用しているから、最も多く利用されている産地の一つ。

・国立が建つ外苑の緑に合う木を使おうと思った。

・国立の2Fには地元の緑を植えようと考えた。東京で育つ、東京の植物を植えた。空の森という通路→市民にいつも開放しよう。

・スタジアムのシートは森の木の葉の色を椅子にした。人が満席に埋まっていなくても寂しくないように。コロナ禍の状況とたまたまマッチした。

・国立では木をひさしの下に使うという日本建築の考えを取り入れた。木を長持ち出来るように使うという日本人の知恵を使うことが大事と考えた。

・これからは地元の材料を使う、地元の職人さんを活かすということはどんどん加速していくと考える。

<例1>フランスのストラスブール
木でコンベンションセンターを作る設計をした。

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※画像はリンク先より拝借しました。


<例2>パドヴァで古いコンベンションホールの改装。

<例3>デンマークオデンセイ
アンデルセンの生まれた町の横に作る美術館
庭のようなミュージアム。MRT(地下鉄)の駅と美術館の境目をつくらない。

庭のひとつひとつにストーリーが埋め込まれているようなデザインを目指したそう。

<例4>スイスの国境ブザンソン
ブザンソン音楽祭という音楽まつりがある。
ブザンソンでレンガの倉庫。内装を木で作り、木の建物にした。
文化拠点として再生する。その中の川沿いのエリアを「縁側」から取り、「ENGAWA」と説明した。ビオトープをつくって回遊性を作る。地元のカラマツを使った。


<東川の「東川町&隈研吾KAGUデザインコンペ」について>
・KAGUと記したのは、西洋的なFurnitureをもっと洗練させたものをもとめていないというメッセージ。「KAGU」という日本語を語源としたものにすることで、もっと日本的な価値を通じた優しいものを感じて考えてくれるのではないかという思いがある。


・応募総数834件、ものすごく驚いた。普通100〜200件。200件くればものすごく多い。身が引き締まる思いがする。

・海外からも36カ国が応募。日本の次に多い国は「ロシア」。これも楽しみ。北海道という土地柄なのか。普通はイタリアなどが家具コンペでは強い。ロシアの若者がどんな作品を出すのか楽しみ。

・すでに多様性がある。家具/椅子という概念自体が変わっていく可能性がある。
・座る/椅子に座る両方体験している。西洋的な家具を洗練させるわけではなく!
・座布団、畳など未来の生活様式の種が日本文化には有るのではないか。
そういう意味で「KAGU」という名前に込めた・

・東川の家具コンペが世界への登竜門になるようなことになることが大事。
将来は東川の家具を一緒に作りたい、という人が出てくることでそのような位置づけになるのでは。そのためにはこの取組を続けていくという継続が力になるのではないか。


<東川での取り組みについて>
レンガエリアをデザインミュージアムにする。
サテライトオフィスエリアもつくり、町中は歩いて散策できるようにする。
東川のいいところはそれぞれの要素が散り散りになっていないことがいい。
Walkabilityが大事。歩いて楽しい。レンガ倉庫群をデザインミュージアムにする。

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・延焼線をあければ、すべて木造に出来る、
・耐震壁を家具で作る。
・家具を筋交いにする。
・幕で太陽光を入れたり出したり
などのアイディアがある。

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いろんな働き方が出来る場所/時代に映っていく。
多様な人に多様な場所を提供できる。
疎を活かしたまちづくりをしていこうと思う。

既存の古い建物の良さを生かして作りたい。
古い建物に囲まれた部分がいい。

<デザインミュージアムの運営について>
・デザインミュージアムは面白くないとだめ。企画を出し続けることが大事。
・デザインはたくさんある。ファンションもデザイン。色々企画してほしい。
・デザインミュージアムはなければならない、と日本中(東京)で言われている。結局できなかったが、これが東京で出来るようになったのは、すごくタイムリーな事案。

・分散の時代には、色々な場所が世界の拠点になることができるんだということ。

・デザイナーが自然からヒントを得るということはたくさんある。森の中を歩いていると、ヒントがある。木の枝、人工的な環境では思いつかない自由な発想を自然は与えてくれる。森・水・山・雪たくさんある。

・今後も長く東川でやっていく。建築だけではないデザインを東川で活発にできそうだ。幅広いデザインの拠点にしたい。
・自邸は考えていないが、気持ちよく住める場所がもっとあっていい。木を使うということをしたい。

箇条書きでずらずらと書いて恐縮ですが、とても刺激になる講演でした!



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