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アプリ内課金の手数料回避は可能なのか?~ストアガイドライン輪読~

■ はじめに
こんにちは!Repro Growth Marketerの稲田宙人(@HirotoInada)です。

最近は一旦落ち着いていますが、一時期Apple・Googleのアプリ内課金の手数料徴収に関して各デベロッパーから大批判が殺到し、裁判沙汰にまでなりましたね。
今回は、ストアガイドラインを参照しながら、どのようなコンテンツ・方法であれば手数料徴収を回避できるのかを考えていこうと思います。

※注意※
2020/07/16時点のガイドラインを元に記事を執筆しています。
常に最新のガイドラインを確認するようにしてください。

追記:
2021年8月末段階でAppleのアプリ内課金に関する規約がドラスティックに変容しています。2021年8月末段階での最新情報は以下の記事をご覧ください。

1. 総括

先に結論をまとめて書いてしまいます。各OSの細かい内容が知りたい方は2章以降にガイドライン該当箇所と見解を書いているのでそちらも参照してください。

■ 許容される行為
Apple App Store
・課金対象がアプリ外コンテンツまたは人・サービス
・App内課金を使用しなくても良いが、その場合はクレカなどの代替決済手段を実装する必要あり
・例:Amazon(Kindleを除く)・メルカリ・Uber

Google Play Store
・iOSと同じ規定

■ 許容されない行為
Apple App Store
・課金対象がアプリ内コンテンツ
・App内課金を使用することが義務付けられている
・且つ、外部リンクなどでの購入誘導も禁止
・※但し、遷移先で直接課金できないのであればギリギリ回避できる(Netflixなど)
・例:Amazon Kindle・各種音楽・動画ストリーミング・ゲーム・漫画

Google Play Store
・基本はiOSと同じ規定
・だが、外部誘導などに関する規定は特に記載なし

■ 総括
ざっくりまとめると上記のような分類になります。
分かりやすく言うのであれば、アプリ内外どちらのコンテンツ・サービスに対して払うかの違いになります。

■ App内課金を使用しなければいけない
・アプリ内のコンテンツに対しての課金(非物質)
例:ゲームアプリ・VOD・音楽ストリーミング・漫画など
■ App内課金を使用しなくて良い
・アプリ外のコンテンツ・サービス・人に対しての課金(基本物理)
例:EC・フリマ・フードデリバリーなど


NetflixやSpotifyのように、アプリ内で課金させず外部ウェブページに誘導するという手法も存在しますが、その場合は遷移先では直接課金はできないようにする必要があります。

こういった具体的な回避手法は、髙城賢大さんのnoteが分かりやすいのでご覧ください。

2. Apple App Store

■ ガイドライン解釈

3.1.1 App内課金:
Appのコンテンツまたは機能(例:サブスクリプション、ゲーム内通貨、ゲームレベル、プレミアムコンテンツへのアクセス、フルバージョンの利用)は、App内課金を使用して解放する必要があります。コンテンツや機能を解放するため、ライセンスキー、拡張現実マーカー、QRコードなど、App独自の方法を用いることはできません。App内課金以外の方法で、ユーザーを何らかの購入に誘導するボタン、外部リンク、その他の機能をAppやメタデータに含めることはできません。

Source:3.ビジネス>3.1 支払い

→アプリ内のコンテンツに対する課金はApp内課金を使用することが義務付けられている
→外部リンク誘導による購入促進は禁止されているが、各社はあくまで情報ページに飛ばして直接購入はできないようにすることで回避

3.1.5(a)Appの外部で使用する商品やサービス:ユーザーがAppの外部で使用する商品やサービスをAppで購入できるようにする場合、そうした商品の支払いにはApp内課金以外(Apple Payやクレジットカードなど)の方法を使用する必要があります。

→アプリ内で使用しないものに関してはApp内課金ではなくクレカでの決済手段はOK
→ここでいうアプリ内で使用しないものとは、3.1.1 App内課金で言及されている「Appのコンテンツまたは機能」を指している

■ 参考リンク

3. Google Play Store

■ ガイドライン解釈

アプリ内購入:
・デベロッパーは、Google Play からダウンロードされたゲーム内でプロダクトを提供する場合や、ゲーム コンテンツへのアクセス権を提供する場合、支払い方法として Google Play アプリ内課金を使用しなければなりません

・デベロッパーは、Google Play からダウンロードされた別のカテゴリのアプリ内でプロダクトを提供する場合、支払い方法として Google Play アプリ内課金を使用しなければなりません。ただし、以下の場合を除きます。
 ・物理的な商品のみの支払い
 ・そのアプリ以外で消費できるデジタル コンテンツに対する支払い(他の音楽プレーヤーで再生できる曲など)

・アプリ内仮想通貨の使用は、その通貨が購入されたアプリやゲーム内のみに限定しなければなりません。

・デベロッパーは、自分が販売するアプリについて、また販売によって提供するアプリ内のサービス、商品、コンテンツ、機能について、ユーザーの誤解を招く説明を行ってはなりません。個別にまたは追加して課金するアプリ内機能について、Google Play でのプロダクトの説明で言及する場合、その機能の利用には支払いが必要と明記するようお願いいたします。
仮想アイテムをランダムに受け取る購入メカニズム(いわゆる「ルートボックス(ガチャ)」)をアプリで提供する場合は、アイテムを取得できる確率を購入前に明確に開示する必要があります。

Source:ポリシーセンター>収益化と広告>お支払い

→ゲーム・非ゲーム共に、アプリ内のコンテンツに関してはApp内課金の使用が義務付けられている
→例外となるのは、iOSと同じく物理的商品やアプリ外で使用する商品・サービス
※ストア外での決済誘導に関する記述はなし

Google Play アプリ内課金は、以下のような商品に対応しています。
ゲーム内仮想商品: コイン、宝石、追加のライフやターン、特別なアイテムや装備、キャラクターやアバター、追加のレベルやプレイ時間など。
アプリの機能やコンテンツ: アプリの広告のないバージョンや、無料バージョンでは使用できない新機能など。
・定期購入サービス: 音楽、動画、書籍などのメディア サービスのストリーミングや、デジタル出版物(紙の出版物とバンドルされたものも含む)、ソーシャル ネットワーキング サービスなど。
・クラウド ソフトウェア商品: データ ストレージ サービス、ビジネス効率化ソフトウェア、会計管理ソフトウェアなど。

Google Play アプリ内課金は、現時点では以下のような商品には対応していません。
小売商品: 食料品、衣料、家庭用品、電化製品など。
サービス料金: タクシー代などの運賃、清掃サービス、食品の宅配、航空運賃、イベントのチケットなど。
・1 回限りまたは繰り返し発生する会費: スポーツジムの会費、ポイント プログラム、アクセサリーや衣料などの物理的商品の頒布会。
1 回限りの支払い: ピアツーピア支払い、オンライン オークション、寄付など。
・電子請求書支払い: クレジット カードの請求書、公共料金、ケーブルテレビ料金、通信サービス料金など。

→アプリ内で使用するコンテンツ系は全てApp内課金を使用することが義務付けられている
→iOSと同じく、アプリ外で使用するコンテンツは全てApp内課金は使用しなくても良い
→サービス系・物体系はOK

■ 参考リンク


■ 最後に
各社ガイドラインの穴を突いた回避方法を取っておりイタチごっこ感が否めませんが、手数料の比率を考えると回避に積極的になるのも当たり前だなと思いますね。

FortniteはGooglePlayではアプリ公開自体を取りやめる独自配信路線を取っており、ビッグデベロッパー以外のデベロッパーがどう追従するのかは注目に値するかと思います。

巧妙な回避方法などの事例があれば是非教えてください笑!

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