GooglePlayConsoleが刷新! ”知らなきゃマズイ” 指標の重要変更点を完全解説!🔥
■ はじめに
こんにちは!Repro Growth Marketerの稲田宙人(@HirotoIanda)です。
先日のAppleのWWDC2020と並行して、ひっそりとAndroidのアプリ管理コンソールである「Google Play Console」が大きく刷新されました。
現状はまだβ版の提供ですが、既にアプリデベロッパーであれば知らないといけない重大な変更点が散見されたため、本noteではそれらをまとめます。
尚、本noteでは細かいUIの変更には一切言及せず、機能面の拡充・変更や指標の定義変更など、よりダイレクトにアプリ運営に関わる重要な変更点のみに言及します。
今回のGooglePlayConsoleの刷新の全体観に関しては、以下のGoogle公式の発表が分かりやすいです。
1. 機能ディレクトリの再編成
まずは、機能の再編成に関してです。
旧来は各機能が画一的に一列に並んでおり、どこにどんな機能があるのか・その機能をいつ使えばいいのかが分かりにくい状態でした。
今回のアップデートでは、機能ディレクトリの再編成が図られ、その機能を利用するシーンに合わせての構成に変更されています。具体的には以下の4種類のシチュエーションで各機能が集約される形となりました。
・リリース
・成長
・品質
・収益化
例えば、旧来は「Android Vitals」と「ユーザーフィードバック」は全く別のディレクトリになっていましたが、新バージョンではどちらの機能もアプリの品質に関係するという観点から、「品質」ディレクトリ配下に一緒に格納される形になりました。
新バージョンでは、アプリ運営のステップに沿って各機能が集約されているため、運営上の課題に合わせた機能活用が進むのではないかと思います。上記の図を参考にしつつ、新しいUIでどこにどの機能があるのかを触って慣れるのをお勧めします!
2. ストア掲載情報のテストのナビゲーション変更
次に「ストア掲載情報のテスト」の利便性向上に関してです。
AndroidではGooglePlayConsole上からスクリーンショットや説明文のABテストを設定・実施できるのは周知のことかと思いますが、今回のアップデートにより設定の際のオペレーションミスの可能性が軽減されます。
具体的には、旧来は1ページでテスト情報を設定する仕様だったのが、新バージョンでは各設定大項目ごとに設定ページが分かれるように。プログレスバーも表示されており、必須項目の不備があると次の設定に進めないため、以前のUIと比較すると設定ミスの可能性が大きく減るのではないかと思います。
↑旧UI ↓新UI
3. メタデータと詳細掲載情報の分離
続いてストア掲載情報の設定機能の分離に関してです。
旧来は、タイトル・簡単な説明文などのメタデータと、カテゴリやタグなどの詳細情報は、同じ「ストアの掲載情報」で設定を行なっていました。(下左図参照)
今回のアップデートでは、メタデータと詳細掲載情報の設定機能の分離がされました。
具体的には、メタデータは「メインのストア掲載情報」・詳細掲載情報は「ストアの設定」で管理をする仕様になっています。
詳細掲載情報の設定箇所が変わっただけで、カテゴリ変更などが出来なくなった訳ではないので注意してください!
↑旧UI ↓新UI
4. 獲得レポートの機能拡充
さて、概観は以上として、ここからはダイレクトにアプリの獲得パフォーマンスを図る上での重要な変更点を2章に分けて解説します。本章では、まずは獲得レポートの機能拡充に関して記述します。
■ ①:時系列で獲得レポートが見られるように
旧来は時系列の詳しい推移を見るには、CSVをエクスポートする必要性がありましたが、新UIではブラウザ上でソースタイプ別に時系列で推移を見ることができるようになりました。
これにより、管理画面上で簡単にアプリのパフォーマンスを把握することが可能になります。
↑旧UI ↓新UI
■ ②:フィルターの複数組み合わせが可能に
個人的には一番嬉しかったのがこの機能拡充です。
旧来の獲得レポートでは以下3つのフィルターを適用することが可能でした。
・ユーザー獲得チャネル
・国
・国(Play Storeオーガニック)
3種類のフィルターはありましたが、複数フィルターの組み合わせは不可能だったので、例えば、アメリカの「探す」経由の数値だけを絞り込むことはできなかったわけです。
新バージョンでは、「獲得レポート」から「ユーザー獲得の分析」に改名され、フィルター種の拡充・フィルターの複数条件組み合わせが可能になりました。
主要なフィルターは以下4種類です。(その他に特定ソースタイプ専用のディメンションも用意はされています。)
・ユーザー獲得チャネル
・国
・アプリのインストール状態
・言語
ユーザー獲得の分析では、デフォルトでソースタイプ別に分かれて表示されるため、例えば、アメリカの「検索」経由の「新しいユーザー」のみの数値を取得することが可能になります。
iOSのデベロッパーコンソールでは以前より2種類のフィルター適用が可能でしたが、今回のアップデートによりフィルター機能の拡充度合いではGooglePlayConsoleに軍配が上がる形となりました。
現状のβ版では実際のCSVレポート自体をエクスポートすることは不可能ですが、正式リリース版では複数のフィルターを適用したCSVファイルがエクスポートできるようになることが予想されます。
上記以外の特定ソースタイプ専用のディメンションなどの詳細に関しては以下の公式ヘルプを参照してください。
5. 指標定義の変更
正確な獲得パフォーマンスを図る上では、正しく各ディメンションや指標の定義を理解する必要性があります。
今回のアップデートでは、ディメンション・指標ともに大きく定義の変更が為され、レポーティング上の数値が旧バージョンから大きくブレる可能性があります。本章では、数値変動の原因を正しく分析するために、旧バージョン・新バージョンの相違点を詳しく解説します。
一応、バージョンごとの相違点を解説するGoogle公式の記事が以下であるのですが、文字・特有の用語ばかりで非常に分かりにくいので、本記事の解説を見ることをお勧めします笑
■ ソースタイプ構造・計上定義の変化
まずはソースタイプの構造と計上定義の変更に関してです。
旧来はソースタイプは6種類に分かれていましたが、新バージョンでは3種類に集約される形になります。
旧バージョン・新バージョンのソースタイプ構造を表したのが以下の表です。
細かいソースタイプの計上定義や変更点は後ほど詳述しますが、本項では特に着目すべき4点に関して解説します。
①:ストア掲載情報経由の数値のみがユーザー獲得の分析に計上
今回のアップデートにより、ユーザー獲得の分析(旧獲得レポート)においては、ストア掲載情報を介さない訪問者数(=PV数)・インストール数は計上されないようになりました。
具体的には、旧来は「Google検索」としてユーザー獲得の分析に計上されていた数値は、「統計情報」でのみ閲覧することができるようになります。
本変更の影響としては、統計情報とユーザー獲得の分析上の数値の乖離が拡大する可能性があります。
純粋なアプリ単体でのストア掲載情報が獲得パフォーマンスにどのような影響を与えているかを分析する際には、ユーザー獲得の分析を確認し、全体的な獲得パフォーマンスを見る際には統計情報を見るなどのように、正しく使い分けをする必要性が出てきました。
ユーザー獲得レポートでは、ストアの掲載情報からのコンバージョンのみがレポート対象となり、Google Play の他のサーフェス(記事コンテンツなど)からの訪問者や獲得ユーザー、他の要因(バックアップや復元など)を通じて Google Play にユーザー獲得として記録された件数はカウントされません。
注: Google Play および Google ネットワーク全体から、バックアップ、Google 検索、ピアツーピア(P2P)など、ストアの掲載情報以外の要因で発生したインストール数は、[統計情報] ページで確認できます。
Source:アプリのユーザー獲得データを測定、分析する
②:再インストールも獲得レポートの対象に
旧来の獲得レポートでは、純粋な新規インストールのみが数値計上の対象でした。
今回のアップデートにより、純粋な新規インストールに加えて、再インストールも含んだ数値が計上されるようになります。
これにより、ほとんどのアプリではレポートの数値が増加する可能性がありますが、これは再インストールも含むことに起因します。純粋な新規ユーザーの獲得パフォーマンスを確認したい際には、フィルターでの絞り込みが必要になる点に注意してください。
③:既存アプリ保持ユーザーの除外
旧来は、別端末でアプリを保持していても、当該端末で新規インストールであれば計上されました。
今後は、アカウントID横断で初インストールである場合にのみ計上されるようになります。
これにより、コンバージョン率の向上が見込まれる一方で、PV数とインストール数が減少する可能性があります。
④:アトリビューション期間の短縮と判定基準
獲得経路のアトリビューションに関する変更点は2つです。
1. ストアの掲載情報アクセス後から短時間のうちのインストール数のみを計上
一定時間経過後の発生インストールは成果として計上されない仕様変更が為されました。
つまり、ストア掲載情報の訪問(=PV) が発生していても一定時間が経過した後にユーザーがインストールした場合は、そのインストール数は成果として測定されないわけですね。
この変更により、見かけ上のコンバージョン率の低下・インストール数の減少が発生する可能性があります。
一定時間の定義は公表はされていませんが、ほとんどのユーザーは7秒以内にDLするかどうかを判断するというデータもあるため、数値乖離が非常に大きくなることはそこまでは考えられません。しかし、ハードコアゲームのように比較的アプリサイズが大きく、ダウンロードすると決断するまでに一定時間が必要になるカテゴリの場合は、数値の変動を注視する必要性があると言えるでしょう。
2. ラストクリックアトリビューション形式
今回のバージョンアップデートの大きな思想として掲げられているのが「真にどのストア内要素がユーザーのインストール行動に影響を及ぼしているのかを明確にする」というものです。
この思想に基づき、獲得経路のアトリビューションは厳密なラストクリックアトリビューション方式であることが公表されました。
つまり、「Google検索」経由でストアに遷移して、その後に特集ページからインストールした場合は、「サードパーティの参照」ではなく、ラストクリックにあたる「GooglePlayの探索」に計上されるということです。
ユーザーシナリオに沿うと自然な計上方式ではあるのですが、この変更がどこまで数値に影響を及ぼすのかは注視が必要です。
■ GooglePlayの検索の計上定義変更
最後に今回のアップデートで最も獲得パフォーマンスに影響のある定義変更に関してです。本項では2つの変更点を取り上げます。
①:GooglePlayの検索にストア内広告が含まれるように
本変更が最もインパクトの大きい変更点になります。
旧来は、「GooglePlayの検索」とはGooglePlayStore内でのオーガニックの検索結果経由のユーザーのみを計上しており、ストア内検索連動型広告の数値はGoogle広告経由に計上される仕組みでした。(再掲:ソースタイプの変化)
今回のアップデートにより、「GooglePlayの検索」にはオーガニックの検索経由の数値だけでなく、ストア内検索連動型広告の数値も含めて計上されるようになるとのことです。これはつまり、広告出稿状況によって大きく数値のブレが発生することになり、純粋なオーガニックの獲得パフォーマンスが見えずらくなることを表しており非常に大きな変更点と言えるでしょう。
状況としては、iOSのAppleSearchAdsの数値がAppStoreConncetの「AppStoreの検索」に計上されてしまうのと同じではあります。それぞれの管理画面の数値を組み合わせることである程度の切り分けは可能になるかとは思いますが、本noteではその手法は割愛します。切り分け方法は以下のnoteで詳述していますのでそちらをご覧下さい。
②:キーワードサジェスト経由は「GooglePlayの検索」に計上
旧来は検索サジェスト機能経由の数値は「検索」ではなく「探す」に計上されていました。
今後は、検索サジェスト機能経由の数値は「GooglePlayの探索」ではなく「GooglePlayの検索」に計上されるように変更がされます。
この変更もユーザーシナリオに沿った変更にあたり、「GooglePlayの検索」の数値がアプリによっては増加する可能性がある点にご留意ください。
■ 最後に
以上がアプリ事業者であれば知っておかなければまずいGooglePlayConsoleのアップデート情報でした!
特に、獲得パフォーマンス周りの指標定義やソースタイプの計上方法変更はダイレクトに各種マーケティング施策に関わってくるので理解することが非常に重要になります!
また、AppleのWWDC2020の最新情報をまだご覧になっていない方は以下のnoteを併せてご確認ください!
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