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【Google I/O2022】アプリマーケターが知っておくべき最新アップデート情報まとめ GooglePlayConsole・GooglePlayStore

■ はじめに
こんにちは!Repro稲田(@HirotoInada)です!

今年もGoogleの開発者向けイベント"Google I/O"が開催されました。

今回から2回に渡って"Google I/O 2022"のアプリマーケターが知っておくべき注目アップデート情報を取り上げます。
前半ではGooglePlayConsole・GooglePlayStoreの変更点を徹底解説!

後編のFirebase・Android13編はこちら

1. Google Play Store

1-1. “Data Safety Section” 表示開始・情報提出義務の再通知

2021年5月に事前告知が行われたData Safety Sectionの表示開始・情報提出義務に関しても改めて通知がなされた。
Data Safety Sectionはアプリがどのようなユーザーデータを収集し、誰と共有して、どのように利用しているのかの情報をデベロッパーがユーザーに宣言するセクションで、Google Play Store上でユーザーに表示がされる。

既にAppleのApp Storeでは同様のセクションが2020年6月のWWDCで導入が発表されており、今回Google Play Storeにおいても導入がされる形となった。

Source:https://support.google.com/googleplay/android-developer/answer/10787469?hl=en

今回の再通知では、2022年7月20日までに全デベロッパーが当該情報の提出をGoogleに行う必要がある点が強調された。
情報の提出はGoogle Play Consoleから既に行うことが可能なので、まだ対応できていないデベロッパーの方は期日までに対応が必要な点を覚えておく必要がある。

尚、提出が必要になる情報の大枠はApp Storeの内容と同じであるが、細かいデータ種類の宣言必要有無などに相違があるので注意が必要。

1-2. Play Store内でイベントをプロモーションできる”Live Ops”機能

Play Storeの各画面で自分のアプリのイベント情報をプロモーションができる機能”Live Ops”が発表された。既にApp Storeでは昨年”In-App Events”機能が登場しているが、Play Storeにおいても同様の機能が導入される。

旧来、Play Storeではアプリ詳細ページ以外で自分のアプリのプロモーションをコントロールすることができず、ストア内の他の箇所での掲出はフィーチャーされるかにかかっていた。
今回の”Live Ops”の導入により、ストアホーム・イベントタブ・検索結果一覧においても自社アプリの限定イベントなどのプロモーションができるようになるため、新規ユーザー獲得・既存ユーザー復帰・再インストールが見込まれる。ゲームユーザーは定常的にストアを訪問し新しいアプリを探す傾向が強いことから、特にゲームアプリにおいては有効に利用可能な機能と言える。

告知可能なイベントの種類は以下の4種類が挙げられており、自社のプロモーション内容に応じて選択ができるようになっている。Appleの”In-App Events”には存在しない「事前登録アナウンス」が存在する点も、”Live Ops”においては明確にゲームアプリでの利用をユースケースとしているのが窺える。

①オファー:アプリ内課金アイテムなどのセール情報
②イベント:アプリ内の期間限定イベント告知(ただし、報酬なしに限る)
③メジャーアップデート:新コンテンツ・機能追加などの大型アップデート
④事前登録アナウンス:リリース前の新アプリの事前登録情報

”Live Ops”は現在ベータ利用の申し込み受付中。申し込み可能条件は以下の通り。 月間10万MAU以上となると一部のアプリ・ゲームのみが該当するが、本条件が正式リリース時にどこまで緩和がされるのかは注目が集まる。

・世界全体で10万月間アクティブユーザー以上
・素晴らしいコンテンツ・体験・パフォーマンスを提供している
・次のカテゴリ以外:ファミリー・ユーティリティ・メディカル
・ポリシー準拠が維持されていること(4週間おきに判定)

尚、現状は詳細が明らかになっていないが、”Live Ops Cards”がASOの検索インデックス対象になるのかは気になるところだ。App Storeでは”In-App Events”のカード内の一部要素が新たにインデックス対象になることが分かっており、”In-App Events”を利用しているデベロッパーにとっては追加のキーワード枠・プロモーションを強化する枠として活用が可能になっている。

本検証は”Live Ops Cards”に表示される情報の詳細の仕様が明らかになった際に追って行うので続報を待ってほしい。

1-3. サブスクリプションプランの柔軟性向上

Play Storeのサブスクリプションプランの設定柔軟性を大幅に向上させる、新しいプラン構造の導入が発表された。

旧来はプランごとに個別にSKUを作成する必要があり管理が非常に煩雑になっていたが、今回のプラン構造の変更によりひとつのSKUの配下に個別のプランを複数ぶら下げることができるようになったことで、個別プランの変更や追加を新たにSKU作成なしに簡単に柔軟に行えるようになった。

今回の変更により特に大きな影響を受けるのはマッチング・VODなどサブスクリプションプランが多岐にわたる複雑なプラン構造になっているカテゴリだろう。
旧来は契約期間ごとのベースプランに加えて、特定条件における特別オファーを出すには個別にプランを作成するか、独自の実装が必要だった。
今回のプラン構造の柔軟性向上により、例えば1ヶ月無料お試し契約ユーザーの契約終了タイミングに無料お試し期間の延長プランを提示することも可能になる。

サブスクリプションのプラン構造の管理の簡易化をしつつ、課金可能性を向上させることができるようになったため、この機会にプラン構造設計の見直しをしてみてもいいかもしれない。

1-4. 支払い情報更新を促進するアプリ内メッセージを掲出可能に

Baremetricsによると、SaaS企業・サブスクリプション企業は、カード期限切れなどで顧客の支払いが失敗することが原因で、平均してMRRを約9%失っているという。
こうした機会損失を防ぐための機能として、アプリ内メッセージを掲出することが可能になった。

アプリ内メッセージングAPIを利用することで、ユーザーが登録している支払い情報の不備やカードの有効期限切れなどで支払いが失敗した際に、支払い情報を更新するように促すアプリ内メッセージを、ユーザーがアプリを開いた際にPlayStore経由でメッセージが送信される。

画像を見ると分かる通り非常にシンプルなメッセージではあるが、ユーザーに状況を通知するには有用であると考えられる。

1-5. 超低価格のTierが設定可能に

アプリ内課金の設定可能な金額Tierの最低値が5セントに更新された。

日本円にして7円程度と非常に安価であるため基本のサブスクリプションプランでは活用ができないと思われるが、昨今Googleが進出に力を入れている東南アジア・アフリカなどのモバイルフロンティアのARPPUや後述のプリペイド文化を考慮すると、前記の地域では活用が期待できる価格帯である。

Source:2021 Mobile Gaming Tear Down

一点、日本においても活用が期待できるユースケースとしては、投げ銭などのマイクロトランザクションであろう。
旧来の価格帯では気軽に投げづらかったユーザー層が、よりお手軽に投げ銭ができるようになる可能性も秘めているため、新しい価格プランの導入を検討するのも有効かもしれない。

1-6. プリペイドプランの登場

Google Playにおいて初めてプリペイドプランの導入が発表された。
前述にもある東南アジア・アフリカなどのプリペイド利用が一般的な地域における、新たなユーザーの課金可能性を向上させることができる。

日本においても活用の可能性はあり、サブスクリプションプランにいきなり入会することを躊躇しているユーザーには、まずはプリペイドプランを利用してもらうなどはあり得るだろう。
特に、前述のサブスクリプションプラン構造の柔軟性向上により、プリペイドプラン利用ユーザーのみにサブスクリプションの割引プランを提示することが可能になっているため、アプリカテゴリによってはかなり有用ではないだろうか。

2. Google Play Console

2-1. Custom Store Listingごとのディープリンク発行が可能に

旧来は地域ごとに個別のストアページを作成のみができた”Custom Store Listing”機能が大幅に強化された。
強化された点は、①ページごとにディープリンクが発行可能に・②作成可能なページ数が10倍に の2点。

①に関しては、作成したCustom Store Listingのページごとに個別のディープリンクの発行が可能になった。これにより、各ページごとのパフォーマンスの分析ができるようになったのはもちろん、広告ごとに個別の遷移先ページを指定することが可能になった。広告→ストアページをシームレスに繋げることができるようになるため、パフォーマンス改善が見込まれる。

②に関しては、①のユースケースの拡張に伴い、作成可能なページ数が旧来の5から50と10倍になった。

Appleも同様の機能である”Custom Product Pages”を昨年発表しているが、相違点を以下に整理しておく。個人的所感としては、今回のGoogleの”Custom Store Listing”の方が運用自由度が上がる点でデベロッパーとしては活用しやすいのではないかと思う。

①作成可能ページ数:Appleは35パターン・Googleは50パターン

②変更可能要素:
Appleはスクリーンショット・プレビュー動画・プロモーションテキストの一部CRO要素
Googleはアプリ名・アイコン・説明文・スクリーンショット

2-2. ストアページのABテストがより高機能に

以前より提供されているストアページのABテスト機能がより高機能に進化した。
これによりアプリに合わせた柔軟な実験計画を立てることができるようになった。

変更点①:より柔軟なテスト条件が設定可能に
旧来はテスト終了の信頼度は90%で固定化されていた。これは10回に1回は結果が覆ることを示しており、一般的な統計学的にも95%が信頼水準とされる中では、かなり低い信頼度でのABテスト実施が余儀なくされた。

今回の変更により、信頼度を90〜99%まで任意に設定できるようになった。これにより、規模が大きなアプリでは信頼度を高く設定してテスト精度を向上・規模が小さなアプリでは信頼水準を低めに設定して早く結果を出し改善するというサイクルを回すことが可能になる。

変更点②:テスト終了見込みが試算できるように
実施するABテストが終了するまでにどの程度の期間を要するのかを試算することができる機能が追加された。
コンバージョンレートの改善見込みを指定することで、現状のストアページへの流入状況を加味したテスト終了見込みが計算される。

2-3. Google Play SDK Indexの登場

2020年に発表されたSDKライブラリーの構想が進化して、Google Play SDK Indexが新たに登場した。

SDK Indexでは各SDKがアプリ規模別にどの程度導入されているか、SDKのバージョンごとの導入割合などの数値が閲覧可能になっている。
Google Play SDK Consoleを介してSDKデベロッパーによって登録されたSDKは認証マークが付けられており、Googleのポリシーに準拠することをコミットしたSDKとして表示がされる。

SDK導入状況に加えて、各SDKが利用においてどのような権限付与をユーザーに必要とするかに関しても掲載されているため、前述の”Data Safety Section”での申告内容を整理する際にも使えるだろう。

本アップデートに付随して、Android StudioにもSDK関連の機能“SDK Insights”が追加されている。

SDK Insightsでは、利用しているSDKバージョンとSDK Indexに登録されている最新バージョンが違う場合に、SDKデベロッパー側から新バージョンが存在する旨が表示されるようになっている。
Play Consoleにビルドをアップロードする前の段階で分かるので、古いバージョンを使うことにより不具合が起きるリスクを減らせる点で有用だろう。

2-4. Android Vitalsのデータを外部連携可能に

クラッシュ率・ANRなど技術的なパフォーマンスを監視できる”Android Vitals”のデータをAPIを介して外部連携することが可能になった。

Developer Reporting APIを用いることで、過去3年分のクラッシュ率・ANRなどのバイタル指標を外部連携することが可能になり、以下のようなユースケースが実現できるようになった。

・自社独自のダッシュボードの構築
・他のデータセットとの結合
・検知システムの自動化・連携


最後に

以上、"Google I/O 2022"のアップデート情報 Google Play Console・Google Play Store編でした!

次回後半では、Firebase・AndroidOS編をお送りしますのでお楽しみに!
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