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アプリ事前リリースとは?〜効果と活用事例〜

■ はじめに
こんにちは!Repro Growth Marketerの稲田宙人(@HirotoInada)です。

新規リリースするアプリにとって初速は非常に重要です。せっかく一生懸命作ったアプリをリリースしても誰にも使ってもらえないのは勿体無いですよね…

多くの方がリリースしてもアプリダウンロード数が伸びないのはアプリが魅力的じゃないからと落ち込むかもしれませんが、ちょっと待ってください!
実はそれ、そもそもユーザーに見つけてもらっていないだけかもしれません!

今回はアプリを本リリースする前からユーザーにリーチできる手段である「アプリ事前リリース」に関して詳しく解説していきます!

1. アプリ事前リリースとは?

まずは、そもそも「アプリ事前リリース」とは何かに関してです。

アプリ事前リリースは日本語だと色々な呼び方(アプリ事前注文・アプリ事前登録など)がありますが、本記事では以下「事前リリース」で統一します。

事前リリースは、英語では「Pre-Launch」や「Pre-Registration」と呼ばれており、字面の通り ”アプリを本リリース前にストアに公開してユーザーが予約できる状態にする機能” を意味しています。

機能自体は2017年末に一部のビッグデベロッパーおよびゲームアプリのみを対象に解放されていたのですが、2019年より全てのデベロッパー・全アプリカテゴリで事前リリースを使用することができるようになりました。

大枠の機能自体はiOSとAndroidで大差ないのですが、細かい機能・仕様が異なるので以下に詳しくまとめます。

■ iOS App Store
対象デベロッパー・カテゴリ
・全デベロッパー・全アプリ

対象期間
・リリース2〜90日前の期間を設定可能

仕組み
・リリース日になるとAppStoreから通知が送信
・基本的に自動的にアプリがダウンロードされる
■ Android Play Store
対象デベロッパー・カテゴリ
・全デベロッパー・全アプリ

対象期間
・リリース2〜90日前の期間を設定可能

仕組み
・リリース日になるとGooglePlayから通知が送信
・予約時点で許諾しない限りは自動でインストールされず、ユーザーがストアに遷移してインストールする必要がある

その他機能
・事前登録を条件としたリワード設計が可能
・予約ボタンではなく、Google Play Instantのプレイボタンをアプリ詳細画面に設定することが可能

両OS共にリリースまでの期間は一緒ですが、本リリースした際に自動でインストールされるかに関しては違いが存在します。(自動インストール有無の課題に関しては後ほど詳述します)

また、Androidで特徴的なのはリワード付与による予約促進が可能である点です。以下の画像はPerguntados2が事前リリースをする際に、行なったリワードキャンペーンの事例で、予約数が増えていくにつれて報酬の豪華さが変わっていくというシステムでした。このキャンペーンが功を奏し、予約ユーザーは非予約ユーザーと比較して日平均プレイ時間が30%増加しました。

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2. Soft-Launchと何が違うの?

事前リリース(Pre-Launch)とよく混同されるのがSoft-Launchです。

Soft-Launchとは簡単に言ってしまえば、「一部の地域やオーディエンスに対してアプリを先行公開し、アプリのバグ発見・フィードバック収集を行う」ことを指します。テストマーケティングと同義と捉えて頂いても大丈夫です。

Pre-Launchとの違いは、配信対象・目的は勿論ですが、アプリの配信段階にあります。Pre-Launchはアプリを配信していないのに対して、Soft-Launchはアプリを一部のユーザー・地域に対して配信をしている段階になります。

Soft-Launchの有名な例では、「PokemonGo」が挙げられます。
PokemonGoはまずニュージーランド・オーストラリア限定でSoft-Launchを実施し、良い反響を受けて世界配信に踏み切りました。ちなみに、2国で限定配信をした段階であまりの人気にサーバーが落ちており、結果としてはインフラの限界性と市場の反応を知る良いきっかけとなったそうです。

簡単にSoft-Launchのメリットをまとめます。

■ Soft-Launchのメリット
①:アプリのバグ発見・フィードバック収集
②:市場の反応の早期把握
③:事前に効果の高いマーケティングチャネル・オーディエンスが分かる

3. アプリリリースにおける課題とは

多くのアプリデベロッパーが抱えるアプリリリース時の課題とは何でしょうか?僕は大きく分けて以下の2つになると考えています。

■ アプリリリースにおける課題
①:初期ユーザー基盤が小さい
リリースしてもユーザーが集まらない

②:リリース後の露出量の急減
リリース初期は勢いがあるがその後効果が急減してしまう

①:初期ユーザー基盤が小さい
本noteの冒頭でも触れた通り、アプリリリースをしてもユーザーが集まらないのはアプリデベロッパーにとって非常に大きな悩みの種かと思います。この原因はアプリが魅力的ではないからだと落ちこむこともあると思うのですが、実はそれそもそもユーザーにアプリを見つけてもらっていない可能性があります。

ここで登場するのが事前リリースへの登録なのですが、ただ単純に事前リリースをするだけではその効果が十分に発揮されるとは言えません

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上の図は、それぞれのOSにおいてユーザーがどのようなステップを踏んで事前リリース中のアプリを認知して実際にダウンロードまで至るかを表したものです。ここでポイントになるのが、”見つけてもらいやすさ”と”実際にダウンロードされる可能性”の2つの観点です。

まずは、”見つけてもらいやすさ”ですが、図をご覧頂くと分かる通り、iOSにおいては事前リリース中のアプリをまとめて取り上げるようなセクションがストア上に存在しません。一方のAndroidはストアトップ画面に事前リリース中のアプリを取り上げるセクションが常設されていますが、勿論全てのアプリが取り上げられるわけではありません。つまり、多くのアプリにとってはそもそもユーザーに見つけてもらえる可能性が著しく低いということになります。

次に、”実際にダウンロードされる可能性”です。1章でも触れた通り、Androidにおいては基本的には本リリースになっても、ユーザーに通知が行くだけで、自動的にダウンロードされるわけではありません。実際Googleは、事前予約ユーザーのうち50%が実際にダウンロードした事例を非常に高いCVRとして定義しています。

ここまでの議論をまとめると以下の表のようになります。

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そもそもが事前リリースしても見つけてもらえる可能性が両OS共に低く、特にAndroidにおいては実際にダウンロードされる可能性も低い…
となると必要になるのは、見つけてもらえる露出量を増加させ、ストア詳細ページへの遷移率の向上させ、予約ボタンタップ率を向上させる施策になります。

そう、必要なのは事前リリースからのASO(アプリストア最適化)ですね!
実は事前リリース段階でも正しくASOを行うことによって、各キーワードの検索結果に表示されるので、早い段階で見つけてもらえる可能性を上げることができます。更に、スクリーンショットなども最適化することで各ステップでの離脱率を下げることができます。この効果の詳細に関しては後述しますが、上記で挙げた課題を解決する手段が事前リリース段階からのASOであるのがお分かり頂けたでしょうか?

②:リリース後の露出量の急減
アプリデベロッパーの方がリリース時に抱える悩みとしてもう一つ挙げられるのが、リリース時には露出量が多かったものが、リリースから日を経るごとにその効果が急減し続けてしまうというものです。

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Source:AppAnnie 2019/6/18〜8/13

上のグラフはドクターマリオの主要検索キーワードの検索順位の事前リリースから本リリース後までの推移を表したものです。

グラフを見ると、大きく2つの山があるのがわかりますね。Appleはリリースやアップデートのタイミングで一定期間は検索順位などにブースト効果を付与していると言われており、概してリリース直後などは大きく露出量などが上昇しがちです。しかし、そのブーストも一定期間を過ぎると消滅してしまい、基本的には数字は急減してしまうのです。

ここでも必要になるのはASO(アプリストア最適化)になります。
前述の通り、事前リリース状態でもキーワードの検索結果には表示されますが、正しく対策を行わないと上のグラフのように検索順位は低下し続けてしまい、ひいては露出量・DL数の低下に繋がってしまうのです。

ASOを事前リリース段階から行うことで、ブースト効果消滅後も数値を激減させることなく、逓減・もしくは維持・向上させることができるのです。

4. アプリ事前リリースの効果

ここで、気になるのが事前リリースに具体的にどのような効果・メリットが存在するかです。事前リリースには大きく分けて以下の3つのメリットが存在します。それぞれ見ていきましょう。

■ アプリ事前リリースのメリット
①:早期有料顧客の獲得
②:リリース時のブースト効果の補強
③:アプリコンセプトと効果の高いオーディエンスの特定

①:早期有料顧客の獲得
これは非常に分かりやすいメリットですが、概して事前予約ユーザーは非予約ユーザーと比較してエンゲージメントが高くなる傾向があります。

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上図はGooglePlayStoreでの事前予約ユーザーと非予約ユーザーとを比較した際の各指標の効果です。リワード設計などを上手に取り込むことでユーザー母数も担保できる点は事前リリースの大きなメリットと言えるでしょう。

②:リリース時のブースト効果の補強
リリース時に検索順位やカテゴリ内順位などでブースト効果が付与されるのは前述の通りです。事前リリースを行うことで、このブースト効果を更に強化することが可能です。

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上のグラフは弊社がご支援させて頂いたあるカジュアルゲームの、リリース直後の露出量(棒グラフ)とカテゴリ内順位(線グラフ)の推移を表しています。このアプリでは事前リリース機能を利用して予約ユーザー数を膨大に集めたことで、リリース直後にゲーム全体のカテゴリ内順位でも1〜3位に表示され、莫大な露出量とDL数を確保することに成功しました。(その後数値が大きく落ち込んでいるのは全くASOをしていなかったからなのですが…)

③:アプリコンセプトと効果の高いオーディエンスの特定
外部ツールを使用することで事前リリース段階で、アプリのコンセプト(マーケティングメッセージ)のテストや、オーディエンスの効果測定が可能です。
以下の例では、スクリーンショットを4つの訴求軸に分け、配信対象を属性別に3つに分けた、計12通りの組み合わせでのテストを行なっています。

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本テストを実施することによって、リリース後に本格的に広告などで獲得に踏み込む前に効果の高いコンセプト(最高CVR)と親和性の高いオーディエンス(最低CPI・場合によっては最高RR・最高ARPPU)を特定できる為、広告効果の最大化が達成されます。

■ 最後に
以上が事前リリースの概要と活用事例・効果のまとめです!

広告による刈り取りを行わなくても、正しく事前リリースを理解し実践し、ASO(アプリストア最適化)を戦術として取り入れることで、多くのデベロッパーの方がアプリリリースにおいて直面する課題は解消されるのです。

一生懸命した開発したアプリがユーザーの目にも止まることなく埋もれていってしまうのは本当に勿体ないことです。是非今回ご紹介した内容を実践頂き、みなさまの素敵なサービスがユーザーに利用してもらえれば幸いです!

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