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【Google I/O2021】アプリマーケターが知っておくべき最新アップデート情報まとめ Firebase・AndroidOS

■ はじめに
こんにちは!Repro稲田(@HirotoInada)です!

今年もGoogleの開発者向けイベント"Google I/O"が開催されました。

前回から2回に渡って"Google I/O 2021"のアップデート情報を取り上げています。後半ではFirebase・AndroidOSの変更点を徹底解説!
Remote Configの大幅強化やアプリ冬眠モードの実装などアプリマーケター必読の内容です。

前半「GooglePlayConsole・GooglePlayStore編」はこちらからどうぞ!

尚、本内容はポッドキャスト"Mobile Update"でも取り上げているので併せてチェックしてもらえると嬉しいです🙇‍♂️

A. Firebase

A-1. RemoteConfigの大幅強化:

アプリをアップデートすることなく、UIの各要素を指定したプロパティキーとバリューの組み合わせで変えることができる「Remote Config」機能が大幅に改善・強化されました。

まず、旧来のキャンペーン管理画面が刷新し、マーケターフレンドリーなUIへの進化しています。プロパティキーとバリューの管理画面のUI変更や、キャンペーン公開フローと効果測定画面のUI刷新など、取っ付きにくかった管理画面が使いやすくなっているようです。

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Source:What's new in Firebase | Keynote

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Source:What's new in Firebase | Keynote

次に、最も大きな変更点ですが、RemoteConfigとGoogleが提供する機械学習エンジンである「Google ML」 が連携し、各ユーザーに最適なバリエーションを自動で出し分けてキャンペーンを最適化していく機能が実装されます。
この機能アップデートは5月17日の発表後、数週間で提供開始とのことなので、近日中にリリースが予定されます。

A-2. AppDistributionの改善:

本番アプリ公開前に一部のユーザーのみにテスター配信ができる「App Distribution」機能にもアップデートがあります。

今回のアップデートでAndroid App Bundleのサポートが開始され、これにより本番リリースと同じバイナリをテスターに配信することが可能になります。

A-3. Firebase Extensionの拡張:

Firebaseと外部ツールの連携機能である「Firebase Extension」にも新たな連携先が追加されています。
重要な新しい連携先は以下の4つでしょうか。

① Mailchimp
② MessageBird
③ Algolia
④ Perspective

①・②はそれぞれMailchimpがメール、MessageBirdがSMS・SNSのマーケティングサービスになっており、今回の連携によりFirebaseのオーディエンスデータを用いて各チャネルにメッセージを送ることができるようになります。

③のAlgoliaは連携することで、アプリ内で検索をした際に、自社のデータベースを検索対象にすることができます。

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Source:What's new in Firebase | Keynote

④のPerspectiveは機械学習を用いた文章解析サービスで、連携することでアプリ内のブログコンテンツやコメントに含まれる有害なコメントを検知することができるようになります。

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Source:What's new in Firebase | Keynote

A-4. Crashlyticsの機能強化:

アプリのクラッシュやANR(Application Not Responding)を検知する管理ツールであるCrashlyticsにも改善が加えられました。

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Source:What's new in Firebase | Keynote

今回のアップデートにより、クラッシュ発生時に発生端末のデバイス情報の詳細が表示されるようになります。
これにより、そのクラッシュがデバイス固有のものなのかを解析する手間が省けるように。

A-5. リアルタイムパフォーマンスモニタリングの提供開始:

「リアルタイムパフォーマンスモニタリング」によりFirebaseでトラックしたイベントデータが管理画面に反映される時間も大幅に短縮がされます。

今後は数分単位の遅れで各種データがFirebase管理画面上にあがってくるようになるため、新機能リリース時の効果測定や、不具合発生時の対応初動改善などに役立ちそうです。

B. Android OS

B-1. EC関連の技術が大幅アップデート:

今回のGoogleIOではEC関連の技術が大幅に強化されています。
以下が今回強化された機能一覧ですが、ECにおける認知・検索〜比較・検討〜購入の全プロセスを網羅しているのが分かります。

■ GoogleIOでアップデートが発表されたEC関連技術
認知:ShopifyとGoogleネットワークの連携開始
検索:GoogleLensによるスクショ商品検索
比較・検討:カゴ落ち対策機能の提供開始
購入:自社ロイヤリティプログラム紐付けによる特別割引が提示可能に

B-1-1. ShopifyとGoogleネットワークの連携開始:

まずは認知プロセスをサポートする大型アップデートです。
Shopify上で数クリックの設定を行うことで、Googleのネットワーク上に商品が掲載されるようになりました。

That’s why today at Google I/O, we announced that we’re expanding our partnership with Shopify, introducing a new, simplified process that will let Shopify’s 1.7 million merchants feature their products across Google in just a few clicks. This new collaboration with Shopify will enable merchants to become discoverable to high-intent consumers across Google Search, Shopping, YouTube, Google Images and more.

Source:Working with merchants to give you more ways to shop

この連携により最大で170万ものShopify事業者の商品がGoogle検索・ショッピング・YoutubeなどのGoogleネットワークを横断して掲載がされるようになり、Amazonへの対抗策としては非常に有力なのではないでしょうか。

B-1-2. GoogleLensによるスクショ商品検索:

今年のGoogleIOでは2枚の静止画からその間のコマ撮りを自動補完して作成する機能が話題を呼びましたが、EC関連でもその技術力が遺憾なく発揮されています。

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Source:Working with merchants to give you more ways to shop

今回追加されたGoogleLensの新機能では、カメラロールにあるスクリーンショット内の商品を自動で認識し、商品ページを表示することができるようになりました。

上は、NBAのステフィン・カリーのスクリーンショットを元にした商品認識ですが、カリーモデルのバッシュがサジェストされているのが分かります。

InstagramをはじめとするSNSでブラウジングをしてスクショを撮り、後から商品検索を行う文化は近年隆盛になっていますが、その商品検索のプロセスをGoogleが自動で巻き取る形となっています。

Instagramなど各SNSが自社プラットフォームでEC機能を強化する中、コンバージョントラフィックのみをGoogleに奪われる可能性もあるため、SNS各社の苦悩が窺えます。

B-1-3. カゴ落ち対策機能の提供開始:

各ECプラットフォームのカゴ落ち離脱阻止を助ける機能もGoogle自身が提供を開始します。

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Source:Working with merchants to give you more ways to shop

あるECプラットフォームでカゴに商品を入れた状態で、アクティブな新しいタブを開くと、上の画像のように各ECプラットフォームのカゴと入っている商品が表示されるようになっています。

僕も一消費者として単純な買い忘れの経験があるので、こういった機能は非常にありがたいものだと思います。
また、EC事業者としても、カゴ落ちリマケ広告以外にもこういった施策がユーザーの目に留まる箇所で実施できるのは非常に有用なのではないでしょうか。

B-1-4. 自社ロイヤリティプログラム紐付けによる特別割引が提示可能に:

最後の実際に購入するステップでも、Googleショッピングから自社ECサイトへのトラフィックを増やすための機能が追加されます。

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Source:Working with merchants to give you more ways to shop

もし、Googleショッピング上に同じ商品が掲載されている場合でも、Googleアカウントと連携して独自のロイヤリティプログラムを行うことで、ユーザーに対して特別価格・オファーを提示することができるようになります。

これにより、ユーザーは特別価格で商品を購入でき、EC事業者は自社のトラフィックを増やすことができるようになるわけですね。

B-2. 長期未使用アプリを冬眠状態にする「App Hibernation」:

Android11から長期間利用していないアプリの機密情報(カメラ・マイク・位置情報など)へのアクセス権限を自動でリセットする「Auto Reset-Permission」機能が存在しました。

今回のAndroid12では、上記をさらに強化したアプリの冬眠モード「App Hibernation」が実装されます。

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Source:Top 12 tips to get ready for Android 12 | Session

この機能では、長期間使用されていないアプリをAndroidが自動で冬眠状態と判別して以下の処置が為されます。

①:アプリに対する機密情報へのアクセス権限をリセット
②:アプリを強制的に停止してシステムメモリを解放

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Source:What’s new in Android privacy | Session

App Hibernationモードに陥ったアプリは、バックグラウンドで動作するタスクの停止に加えて、プッシュ通知も送信がされなくなる点に注意が必要です。

このApp Hibernationモードは、再度ユーザーがアプリを起動することで自動で解除されますが、今後はよりユーザーを休眠させずにアプリを使い続けてもらう重要性が増していくと言えるでしょう。

最後に

以上、"Google I/O 2021"のアップデート情報 Firebase・AndroidOS編でした!

個人的には、RemoteConfigの自動最適化機能と、「App Hibernation」モードの登場が注目が必要な大きなアップデート内容だったなと思います。

今月は Appleの開発者向けイベントである「WWDC 2021」や、ASOに特化したカンファレンス「ASO Conference 2021」などイベントが盛り沢山!
そちらも投稿予定なのでお楽しみに!

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また、今回のnoteの内容は、Repro伊藤直樹さん(@n_11o)と2人でやっているポッドキャスト「Mobile Update」でも解説しているのでそちらも併せてご視聴ください!
こちらも、感想などをハッシュタグ「#モバアプ 」をつけて教えてくれると嬉しいです!


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