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#87 最後の抵抗、そびえ立つ高い壁。

上告棄却。

司法を信じたかった私の想い。
そして、真実は高い壁に跳ね返されてしまいました。

しかし、ここで終わるわけにはいきません。
最後の手続き、そして、その先の戦いへと進みます。

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市長を辞職し、私はただの被告人になりました。
職無し無一文。
だからといって、裁判を諦めたわけではありません。
可能性は極めて低くとも、最後の異議申し立てが残されていました。

2014年6月から、弁護団の先生にはお世話になりっぱなし。逮捕、勾留への異議申請、保釈請求、公判前整理手続き、一審、控訴審、上告審。膨大な時間と労力を費やしてくれました。
そして、最後の最後に最高裁への異議申し立て。

「市長は辞任しますが、真実を明らかにするため、今後も闘い続けます。取れる手段があるのならば、あらゆることをやっていきたい。これからもよろしくお願いします」

私は弁護団に想いを伝えました。
可能性がないに等しいとわかっていながらも、書類作成を引き受けてくれました。

最高裁に提出した上告趣意書は128ページ。
クリスマスの110ページを超える量でした。
6人の精鋭弁護人が、長時間かけて書き上げた内容。完璧な論証がなされていました。

しかし、上告棄却決定の内容は、たった三行半。
「弁護人郷原信郎ほかの上告趣意のうち、判例違反をいう点は、事案を異にする判例を引用するものであって、本件に適切でなく、その余は、憲法違反をいう点を含め、実質は単なる法令違反、事実誤認の主張であって、刑訴法405条の上告理由に当たらない」

最高裁の裁判官は、その内容を本当に読んだのだろうか。
少しくらいは、納得のいく説明をしてくれても良いのではないだろうか。
人の人生をなんだと思っているのだろうか。

たった三行半。
それでも、その中から手がかりを見つけ出します。
最後の抵抗のために、郷原弁護士はじめ弁護団は再び膨大な異議申立書を準備しました。

この時、郷原弁護士に、ある記者からこんな連絡があったそうです。

「著書を読ませて頂きました。私も今回の決定は本当におかしいと思います。今後も、再審への動きも含め報じていきたいと思います。異議申立のこともしっかり報じたいのです。まず異議申立のことをニュースで報じて、最高裁に申立書を提出する映像もとらせてもらいたいのです」

先に紹介した郷原弁護士の著書が出版された直後でした。


2017年12月18日。
最後の抵抗となる異議申立書を携え、郷原信郎弁護士と共に最高裁まで出向きました。その場所は、国会議事堂のすぐ近く。
灰色の石張りでできた高くそびえ立つ壁。冷たい威圧感を放っていました。
裁判所入り口前には、多くの報道陣。カメラを持って待ち構えていました。
最後の様子まで報じてくれた各社の記者たちは、事件と裁判の不可解さを口々に話していました。

12月26日。異議申立は、棄却。私の有罪が確定しました。
懲役1年6月、執行猶予3年間、追徴金30万円。
12月27日より3年間、公民権が停止。

弁護士の先生、支えてくださる人たちのおかげで、ここまで闘い続けることができました。

最後だと思っていた異議申し立て。
(もう、終わってしまった...)
そう思っていた矢先。

先生方から、
「まだまだ、闘いはこれから」
そんな声をかけていただきました。

更なる闘いへと望みを繋ぎました。

しかし、仕事が無くなってしまった私。
次に何を行うか、何も決めていませんでした。

「退職金があったから実際はお金はあるんやないの?」
たまに聞かれます。
しかし私は、有罪判決により退職金が受け取れない異例の事態になっていました。

0円。

ひとまずできることは、後任の応援。
副市長を務めていた伊藤誠一氏が出馬を決めてくれました。
美濃加茂市長選挙への選挙協力に全力を注ぎました。


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