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#83 有罪市長、民意を問う。

市長は市民の代表。
市民の信頼が無ければ何もできません。

逮捕され、有罪視報道により大逆風にさらされながらも、多くの市民の皆さんの支えのもと市政を継続。そして無罪判決。

胸を張って市長職を続ける決断ができました。

しかし、一転した有罪判決。
私は深く悩みました。

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有罪判決の市長を市民はどう受け止めるのでしょうか。

市長は当選することで、"4年の任期"が与えられます。
自ら辞めたり、法的に剥奪されない限りは任期を全うできます。
ただし、想定を超える事態が発生した今回。

事実無根の逮捕、無罪判決、逆転有罪判決。
そんな中、幾度も頭をよぎったこと。
それは、
「市長を継続して良いのか。市民の皆さんに問わなければならない」
ということでした。

出直し選挙。
その気持ちが具体的になったのは有罪判決の時でした。

政治の世界では"サイレント・マジョリティ"(= 声なき声)の大切さが問われることがあります。
私の目の前で応援の言葉をかけてくれる人々。本当にありがたい一方で、
「その他の人たちはどのように思っているのだろう」
そんなことを考えました。

市長という立場は、多くの市民の生命と財産、地域の未来を左右する決断を担う重要な職責。
それゆえに、一つ一つの決断は市民の信頼がなければ成り立ちません。

ただでさえ、賛否を問われ、時には批判にさらされる立場。それに加えて、参考になるような前例がない事件。
一度、辞職してしまえば、ただの人。
市民の皆さんから市長を任せていただけるのか、正直怖い思いもありました。
しかし、重要な立場を担っている以上、そんなことは言ってられません。
いま一度、「市長として皆さんから認めてもらえるのか」を問う必要があると感じました。

しかし、さすがに尻込みもします。
一つ目の理由は、任期が残り半年であるということ。再度当選しても、半年後にまた選挙をしなければなりません。
二つ目に、辞職により市政を停滞させること。出直し総選挙で当選できて復職できても、1ヵ月以上の空白を生みます。

政治家が責任を取って辞職することは、どこか潔いイメージがあるかもしれません。しかし、「民意を問うこと」はどうでしょうか。とんでもない目にあったとはいえ、どんな理由があれ、市や多くの市民に迷惑をかけた事実に変わりはありません。

(果たして皆さんはどのように思うのだろう)

それから数日、多くの市民の方々と顔を合わせ、言葉を交わすことで、想いは次第に決まっていきました。

そして、私は辞職、出直し選挙への想定を始めました。

市長不在でも政策を進めなければならない。緊急時の対応について決めなければならない。各部署と確認しました。
相変わらず私の父親くらいの年齢の幹部職員は大変頼りになりました。
美濃加茂市の幹部会議は単なる情報交換会ではありません。それぞれの分野を代表する幹部が意見を主張し合うことが、毎度のようにありました。時には議論がまとまらないこともありましたが、それ程に皆が真剣でした。

それぞれの部署。一人ひとりの職員が職務に対して明確な目的を持ち、政策の意図と現場の感覚のバランスを取りながら組織内で自由闊達に意見を言い合える仕組みに少しずつ向かいつつありました。

現場と向き合う。進むべき方向へ信念をもって進む。

そんな組織が「これからの時代の市役所」に必要だと考え、実践してきたつもりでした。

幹部のW部長からは、私がまだ出直し選挙についての発言をする前から
「市長、堂々と選挙やってきなんせー。役所は心配しなくても大丈夫ですから」
そんな言葉をかけてもらったことを覚えています。


現在、こちらの"note"を再編集した上で、
本として出版するためのクラウドファンディングを行っています。
残り4日。ネクストゴールに挑戦中です!
2014年の事件から7年が経過しました。
私にとっては思い出したくないような辛い経験でしたが、この事件を風化させてはいけないと考えています。このような事件を生み出してしまう社会を変え、同じような冤罪事件が2度と起こらないように、社会課題と向き合っていきたいと思います。
ご支援、また一人でも多くの方に拡散していただきますよう、よろしくお願いいたします。

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