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#90 <全文>東京での記者会見

民事裁判は、場所を移して東京。

岐阜や名古屋では、この事件のことを知っている人はそれなりにいましたが、東京では全くと言っていいほど内容は知られていせんでした。知っていても"全国最年少市長が逮捕"、"よく分からないけど無罪が出た"その程度です。

このような事件を二度と起こさせないためにも、民事訴訟で事実を明らかにする。それと同時に、
「一人でも多くの人に、こんな現実があることを知ってもらいたい」
そう思うようになりました。

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民事訴訟は、原則として、訴える相手である被告の住所を管轄する裁判所で起こすことになります。

そのため、刑事裁判は名古屋地方裁判所、名古屋高等裁判所で裁判が行われましたが、民事訴訟は、東京地方裁判所に書類を提出しました。

東京での裁判。本来なら移動すら大変でした。しかし、この頃から東京での活動が増えていました。
辞職後の2018年4月に慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(KMD)の研究員就任、6月からは地元国会議員金子俊平衆議院議員の私設秘書として、平日は東京、週末は美濃加茂。夜行バスで毎週往復していました。
慶應義塾大学中村伊知哉教授(現:情報経営イノベーション専門職大学学長)、金子俊平衆議院議員のおかげさまです。

提訴の目的は、一にも二にも、"真実は一つ。現金授受の事実は全くないこと、贈賄供述が嘘であることを明らかにすること"でした。

2018年3月22日。
損害賠償請求訴訟について、東京地方裁判所にて記者会見を行いました。
その時の私の発言内容です。

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2013年6月から、昨年(2017年)12月まで、岐阜県美濃加茂市長を務めておりました藤井浩人です。
全く身に覚えのない収賄の罪で逮捕起訴され、名古屋地裁では、贈賄証言が虚偽だと判断され、無罪を言い渡して頂きました。ところが、二審名古屋高裁では、私には一言も発言の機会が与えられないまま、全く理由もなく逆転有罪が言い渡されました。そして、昨年12月、上告理由に当たらないとして上告は棄却され、それを受けて、私は市長を辞任しました。
こうして刑事裁判では、私は賄賂の現金を受け取ったとされましたが、真実は一つです。裁判でずっと訴えてきたとおり、私は、現金を受け取った事実は全くありません。私に現金を渡したという証言は、全くの嘘です。
その真実を、民事裁判の場で明らかにするため、嘘の贈賄証言をした人物と、刑事裁判で真実が明らかになることを妨害した弁護士の二人に対する損害賠償請求訴訟を提訴しました。
一審判決では、多くの証人尋問や私の被告人質問が行われ、贈賄供述者が、自分の刑事処分を軽くするために虚偽の贈賄供述をしたと指摘して頂きました。
控訴審でも、贈賄供述をした動機について一審と同様の判断が示され、新たに明らかになった事実は何一つなかったのに、なぜか結論は逆転有罪でした。
上告審では、贈賄供述の信用性について全く判断をしてもらえませんでした。
刑事裁判の経過の中で絶対に許せないのは、証人尋問の前に私の事件の一審判決書が受刑中の贈賄供述者に差し入れられたことで、控訴審の証人尋問が台無しにされてしまったことです。控訴審判決でも、「証人尋問の目的が達せられなかった」と認めています。この贈賄供述者の証人尋問は、資料の提示もせず、検察官との打合せもさせないで、記憶していることを確かめるために証人尋問が行われたものでした。私は、その証人尋問で、現金を渡したという話が全くの嘘だという真実が明らかになるものと期待していました。そのような証人尋問の妨害を、贈賄供述者の弁護人だった弁護士が行ったことは絶対に許せません。今回、その弁護士に対しても訴訟を提起したのは、なぜそのような証人尋問の妨害を行ったのか、真相を明らかにするためです。
原告訴訟代理人には、郷原先生を中心とする一審からの弁護団のコアメンバーと、上告審で弁護に加わって頂いた喜田村先生、それに、新たに、元裁判官の森炎先生にも加わって頂き、大変心強い弁護団にお願いすることができました。
この度の訴訟の目的は、真実は一つであり、「現金の授受が全くないこと」「贈賄供述が嘘であること」を明らかにするためです。そのためにも、二人の被告に、事の重大さをしっかり認識し、民事裁判を真剣に受け止めてもらうため、私が被った損害の全額を請求額としました。
民事裁判は、東京地裁民事44部の3人の裁判官に担当して頂くことになりました。刑事裁判の中で明らかになったことを、改めて公正に判断して頂ければ、現金授受の事実は全くなく、贈賄証言が嘘だという真実が明らかになるものと確信しています。
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名古屋では、多くの記者が事件に精通し、質問の内容は事件の本質に限られていました。しかしこちら東京では、無名に近い事件。こちらのnoteで記載しているような基本的な事実から説明しなければならない質問が続きました。
どのような事件でも、当事者や、その周りの人には多くの情報が届いていますが、一般的に知られていることは、ほんの表層的な部分だと痛感しました。

東京での記者会見から接点のある記者さんからは、後になって、こんなことを言われました。

「藤井さんが記者会見をすると聞いて、ある程度の記事は読みました。その時は、どうして執行猶予になっているのに、わざわざ民事訴訟まで行うのだろうか。そんな疑問がありました。でも、それから事件のことを知れば知るほど、こんなことが現実にあるんだと事件の中身にゾッとして、この事件は報じなければならないと感じました」

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