ゲイ大学生 はじめての彼氏とはじめての別れ #17
以前の記事ではじめての彼氏ができるまでの話を書きました。
今回はその続きの内容になります。
その彼とは1ヶ月ほどで別れました。
短い期間のお付き合いでしたが、彼と別れるまでのことを書きたいと思います。
当時、彼は社会人で僕は大学生でした。
彼と僕の家は自転車で10分ほどの距離だったため頻繁に会っていました。
彼は実家暮らしで、僕はひとり暮らしだったためいつも僕の家に彼が来てくれていました。
彼はとても優しかったです。
家事全般が得意で、家事が苦手な僕はすっかり彼に甘えていました。
いつも美味しいご飯を作ってくれて、片付けが苦手な僕の部屋をきれいにしてくれていました。
彼の優しさが嬉しかったし、尽してもらえることも嬉しかったです。
彼は僕に尽くしてくれるけど、僕自身が彼に対して何かしてあげられているのかと考えると
何も彼にしてあげられていなかったと思います。
一方的に彼から愛情をもらっているような、そんな感覚がありました。
僕はそんな彼に対して何かしてあげたいという気持ちは漠然とありましたが、何をしてあげたらいいかわかりませんでした。
もしかしたら、彼に対して何かしてあげたいという気持ちが弱かったのかもしれません。
一方的に尽くしてもらっているような状況でしたが、その状態が心地よかったわけでもなかったです。
なんとなく、相手ばっかりにしてもらっている申し訳なさや違和感のようなものを感じていたように思います。
以前の記事でも書いたように、僕は彼に告白されて付き合いましたが
告白されたときに彼のことを好きなのかどうかわかりませんでした。
恋愛経験がなく片思いの経験しかなかった僕にとって、誰かのことを僕自身の主体的な意思で“好き”だと思う感情に対して自信が持てなくなっていました。
僕が好きになった人に、同じように僕のことを好きになってもらえるイメージがもてませんでした。
そんなときに彼が僕のことを好きになってくれました。
僕のことを好きになってくれた人と付き合えば確実に相手は幸せだろうし、僕自身も誰かだけの特別な存在になれれば幸せになれるんじゃないかという期待がありました。
そして、僕のことを好きな彼と一緒にいれば僕も彼のことを好きになれるかもしれない。
そもそもこれまで僕が誰かに対して抱いてきた“好き”な状態が、世間一般的にみんなが誰かに対して抱いている“好き”の感情のかもわからない。
彼の“好き”を受け入れることでそれが分かるかもしれない。
漠然と誰かと恋愛をしてみたい
誰かの彼氏になってみたい。
両思いになってみたい。
様々な思いや、興味、関心、好奇心が僕の中にありました。
そして、彼の告白を受け入れてお付き合いがはじまり一ヶ月弱で別れました。
別れのきっかけになったできごとがありました。
当時、一番仲が良かったゲイの友達もたまたま同じタイミングで初めての彼氏ができました。
その友人は県外に住んでいて年に二回程度会う関係の友達でした。
(こちらの記事に彼との出会いや関係性について書いています。)
お互いにはじめての彼氏ができたことがとても嬉しくて、お互いの幸せを喜び合いました。
そしてその友人と以前から、二人に彼氏ができたらダブルデートする約束をしていました。
その約束を実現できる日がきたと喜びました。
付き合ってすぐに、彼に親友カップルとダブルデートをしたい旨を伝え彼もそれを了承してくれました。
友人カップルが僕たちの地元まで会いに来てくれることになりました。
計画をすすめている段階では特に、なにも違和感なくスムーズに計画がすすんでいたと思っていました。
しかし、ダブルデート当日に彼からドタキャンの連絡がきました。
ドタキャンの理由は教えてくれませんでした。
ただ、明らかに彼が不機嫌だったことだけはわかりました。
もう僕の友人と友人の彼氏は、僕の地元まで僕たちに会いに来てくれていました。
そのことを聞いた僕の友人は泣いていました。
「ごめん、俺のせいやんな。ひろトのこと喜ばせたくて来たのにひろトにも彼氏さんにも嫌な思いさせてしまって本当にごめんな。」
彼はそういって泣いていました。
僕は、泣いている友人をみて彼氏のことが許せなくなりました。
僕の一番大切な友人を泣かせた彼氏のことが許せませんでした。
この瞬間に僕の中で彼に対する気持ちはなくなりました。
彼のことを受け入れることができなくなりました。
友人と友人の彼氏と僕との三人で、なんとなく少し気まずい時間を過ごしました。
そして、友人と友人の彼氏が帰った後に別れ話をしました。
彼氏の話では、不機嫌になっていたのは僕の友人に嫉妬していたからだということ。
でもそれはひとトのことが好きだからそう思っただけで、別れようとは思わないと。
そのような趣旨のことを言われました。
でも僕は彼の心の内を聞いても、それを許すことができませんでした。
自分の中で、もう好きな気持ちはなくなったから別れてほしいと伝えました。
そして彼からこんなふうに言われました。
嫌いになったわけじゃないなら別れる必要ないじゃん。
急に好きな気持ちなんてなくなるわけないじゃん。俺は、簡単に諦められない。
別れたくない。
“急に好きな気持ちなんてなくなるわけないじゃん”
その通りだと思う。
僕は、きっと彼のことを本当の意味で好きになれていなかったんだと思う。
その言葉を聞いて、僕自身がいかに浅はかな人間なんだと痛感しました。
僕からの別れ話は受け入れてもらえず、お互いがお互いの主張を何時間も続けて
終わりのない迷路に迷い込んでいるようなそんな感覚でした。
結局は、僕が一方的に相手を突き放した形になりました。
“僕の一番大切な友人を泣かせた彼のことが許せなかった。”
当時の僕はそう思っていましたが、今思えばそうじゃなかったのかもしれないと思います。
僕は、自分の意図していないところで彼のことを傷つけていたんだと思います。
彼はきっと何気ない僕の言動で傷ついていたんだろうし、傷ついた彼はその反動で僕のことを傷つけてしまったんだと思います。
彼が僕に対して、その行動をとってしまったのは結果として僕自身の行動が彼をそうさせてしまったのだと思います。
僕自身が、彼に対して優しさが足りなかったし、思いやりに欠けていました。
表面上のできごとだけをみると、彼が悪者に見えるけど本来的には
僕自身の行動が、彼氏を悲しませたし、その結果で友人まで悲しませてしまう結末になっていったんだと思います。
当時の僕はなんでも人のせいにしてしまっていました。
そんな僕に幸せになる権利なんてなかったんだろうし、誰のことも幸せにすることなんてできませんでした。
今では、彼にも友人にも本当に申し訳ないことをしたと思っています。
当時の僕は自分の間違いに気づくことができませんでした。
そんな僕でしたが、僕の価値観や恋愛観を大きく変えてくれた出会いがありました。
そのことについてまた次回以降に書きたいと思います。
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