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20代前半ゲイ 彼氏と交際中に元彼にフラれた #34

僕は、恋人との関係に悩んでいました。

僕は2年付き合った元彼と別れて
元彼と別れたことが辛くて、そのポッカリ空いた穴をなにかで埋めたくて
僕は、僕のことを好きだと言ってくれる彼と付き合いました。


彼とはマッチングアプリで知り合い、知り合って間もなく交際をはじめました。
僕は彼のことを何も知りませんでした。
きっとお互いにお互いのことを何も知りませんでした。
なにも知らない二人がお互いの何かに惹かれ合って交際をはじめました。

確かに彼と付き合うことで、僕の中でポッカリと空いていた穴は塞がっていたように思います。
しかし、それは満たされているという意味で塞がっているのではなく
彼との交際についての悩みや不満でいっぱいで、今にも溢れかえってしまいそうなほどに僕には余裕がありませんでした。

僕と彼は合わない部分がたくさんありました。
僕は彼と交際を続けていく自信がなくて、何度か別れ話をしましたがそれを彼は許してくれませんでした。
どうやったら彼とうまくやっていけるのか、日々悩んでいました。




そんなときに、元彼から連絡がありました。




「久しぶり!元気にしてる?」





短いメッセージでした。


元彼と別れて僕からLINEを送ったことがありましたが、そのときは彼からの返信はありませんでした。


もう忘れなきゃと思っていた大好きだった元彼からの連絡に胸が高鳴りました。

すごく嬉しかったです。

元彼からの思いもよらに連絡に僕はいろいろなことを期待してしまいました。


そして数通LINEでやりとりをして、元彼と会うことになりました。


付き合っていたときによく一緒に行っていた定食屋で夕飯を食べ、彼行きつけのカフェでコーヒーを飲みました。

楽しかった。

久しぶりに心の底から笑った気がしました。


「忙しくてなかなか連絡できなくてごめんね。実はさ、ひろトと別れてからすぐに彼氏ができたんだけどもう別れちゃったんだよね」


元彼と別れてから会うのは初めてでした。
約4ヶ月ぶりの再会でした。
4ヶ月間の近況報告の中で元彼は、そんな話をしていました。


僕は知っていました。
元彼の言っている“彼氏”は僕と別れてからできた彼氏じゃなくて
僕と付き合っている間にできた彼氏だったことを知っていました。

僕は彼にとっての一番だったはずなのに、気づいたときには二番目になっていました。
彼と別れる直前の僕は、もはや二番目を名乗れる存在でもなかったのかもしれません。


彼のついた嘘を知りつつも、今の僕にとってその嘘は些細なことでしかありませんでした。

それよりも元彼が、交際相手を別れて真っ先に僕に連絡をくれたことが嬉しかったです。

僕のところに戻ってきてくれたんだと、そう錯覚してしまいました。

僕は元彼とよりを戻したい。
大好きな元彼ともう一度やり直したい。


元彼との久しぶり再会で、僕の中で無理やり違うもので塞いでいた気持ちが溢れました。

元彼と会うことで、これまで満たされていなかった何かが満たされているような感覚がありました。



「ひろトは最近どうなの?恋人できた?」


「俺のほうはなんにもないよ、まだ別れてからそんなに経ってないしね」



僕は嘘をつきました。
このチャンスをものにしたかった。


それからというと僕の頭の中は元彼のことでいっぱいでした。


彼氏とうまくいかない悶々とした日々の中で、元彼の存在は僕にとって一つの希望でした。


僕は彼氏との関係も続けつつも、元彼と連絡を取り続けました。

元彼とは定期的に連絡をとり、定期的に会っていました。

元彼と会うときは、彼氏には友達と会うと伝えていました。


そんな時間が三ヶ月ほど続きました。
僕と元彼は一泊二日の旅行に行きました。

本当に楽しかった。

元彼と会っている時間は、仕事の嫌なことも、彼氏とうまくいかない憤りも、全部忘れられて本当に楽しかったです。

唯一気になっていたことは、元彼は僕と会っている間も頻繁に誰かとLINEのやりとりをしていたことです。
その誰かの正体が何者なのか僕は知っていました。
元彼が「ひろトと別れてからすぐに彼氏ができて付き合ったんだけどもう別れちゃったんだよね」と言っていたその“彼氏”でした。

しかし、僕にそれを追求する権利がないことは分かっていました。
僕はそのことを知りつつも、そのことからは目を背けて元彼と会い続けていました。

自分の見たいものだけ見て、未来に期待をしていました。



僕は旅行の帰りに、彼に聞きました。



「もう一回、俺の彼氏になってくれん?」



長い沈黙がありました。



「ごめん、今はそういうのはいいかなって思ってる。」



彼の返事はだいたい予想はついていました。
これでも2年は一緒にいたから。

彼のことはなんとなく分かります。

分かっていても期待してしまいました。
淡い期待を抱いていました。
期待に縋っていました。
大好きで大好きで仕方がないから。
好きには勝てませんでした。

悔しかった。

全部が悔しかった。

悲しかった。

辛かった。

虚しかった。


あーーーー、そうだよな

わかってたのに

僕は、なにをしているんだろう


彼氏がいるのに、他の人を好きになって

その人のことを追いかけて



僕は、僕が相手にされて辛かったことと同じことを
僕のことを好きだと言ってくれている人にしていることに気づきました。


僕は僕のことが嫌になりました。


このままじゃ一生僕は幸せになれないし、誰かのことを幸せにすることなんてできない。

誰かのことを不幸にする行動をして、僕が幸せになれるわけがない。



これまで僕が選んできた選択が全て間違ってきたように思えました。



変わりたい。


誰かのことをちゃんと幸せにできる僕に変わりたい。
誰かにとっての幸せが、僕にとっての幸せだと感じられる僕になりたい。


そう思いました。



それ以来、元彼から連絡は来なくなりました。
僕から連絡をしても元彼からの連絡は返ってきませんでした。


あとから聞いた話で、元彼はその“彼氏”とは別れていなかったみたいで
いわゆる倦怠期のような感じで、僕と連絡をとっていた時期はその人と関係がうまくいっていない期間だったようでした。


僕はチャンスを掴みそこねたどころか
そもそもチャンスでもなかったのかもしれません。


でもこれで、自分の気持が分かりました。


僕は、彼氏のことが好きじゃない。


ちゃんと別れよう。



僕は、すぐに彼氏に会いに行き何度目かわからない別れ話をしました。

僕は正直に伝えました。

この三ヶ月間、元彼に会っていたこと
元彼のことが大好きなこと
元彼とやりなおしたかったこと
元彼に告白してフラられたこと
フラられてもなお元彼のことが大好きなこと
他に大好きな人がいる状態で交際は続けられないし
実際に浮気もしている
こういうことができるのは、好きじゃないからだということ


素直に思いを伝えました。


僕は最低です。

彼は泣いていました。

これまで何度か別れ話をしたときも泣いていました。
そのときは「別れるなら死ぬ」と何度も言っていた彼でしたが

今回は「わかった。今までありがとう」

と短い言葉で、僕の別れ話を受け入れてくれました。



結局、誰も幸せになりませんでした。

僕も、彼氏も、元彼も、元彼の交際相手も

誰にとってもこの状況って幸せな状態じゃなかったです。
嘘がいっぱいでした。


僕はいろんな言葉に惑わされました。
僕の言葉で周囲の人たちを惑わしてきました。

僕は器用な性格ではないので、言葉を真っ直ぐに受け入れてしまいます。

「好き」だと言われるとその言葉の意味や意図、背景も考えずにまっすぐにその言葉を受け入れてしまう自分がいました。

関係を取り繕うための肯定的なメッセージをまっすぐ受け入れる僕でした。
そして僕も、その場を取り繕う言葉をたくさん使っていました。

それが結果的に僕自身を不幸にしてきたし、僕の周囲の人たちを不幸にしてきたのだと気づかされました。

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