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「レオン」今更見ました。愛というコンプレックス

 ネットの映画ランキングでも上位に多く入っている名作、レオン完全版を今更見ました。スティングのエンディングソングやレオンとマチルダの関係が素晴らしかったので自分なりに考察してみます。

ネタバレを含みます。まだ未視聴の方は是非レオンを見てみて下さい。

大人でいたくても素直さを失わないマチルダ、人間的なレオン

 見る前は、レオンは完全に人間的な感情を持たずに殺し屋をする冷酷な男で、それがとても大人なマチルダによって変わっていく。という感じかと思ったら、レオンもマチルダも強がって、自分の感情を表に出さずに封印して生きてきたのではないかと感じました。

 完全版では、イタリアにいたレオンは若い時に身分違いのある女性に恋をしていたとマチルダに言っています。
しかし、その恋は実らず、レオンは彼女の父親と対立し、彼女の父親は自らの娘を殺します。その後、レオンは彼女の父親を殺します。それによってイタリアに居られなくなり、アメリカに逃れて殺し屋を始めました。

この経験により、レオンは愛し愛される事に対してトラウマを抱き、自分は根無し草だと思い、観葉植物のみを愛し、人に対する愛を封印してしまっていたように感じられます。
 マチルダも大人に対して不信感や恐怖感を抱き、弟以外には愛情を示しませんでした。

観葉植物のみを愛するレオン、家族では弟のみを大切に思うマチルダ。二人に愛情がなくなったわけでなく、愛を向ける先に飢えていたように思います。  
 そんな二人が出会うことで、二人が求めていた愛情が一致しあったように感じます。

根無し草じゃない。大地に植えればみんなに根が生えるはず。

 レオンは自らを根無し草だと決めつけていましたが、マチルダは大地に植えれば根が生えるとレオンを励まします。  
 レオンが亡くなって、学校の寄宿舎に戻ったマチルダは有言実行するようにレオンの形見、分身のようになっている観葉植物を大地に植えます。マチルダとレオンのやりとりや、観葉植物を植えるシーンでは、

トラウマやコンプレックスがあっても自分を見捨ててはならない。自らを根無し草だと決めてはならない。大地に植えられれば根が生える筈だ。

誰だって根は生える。自分や他人を諦めないで、というメッセージがあったように思います。

ロリコンアクション映画ではなく、ヒューマンドラマでした。

 ナタリーポートマンの出世作で世間に認められる名作でありながらも、少女と中年の愛という部分にだけフォーカスされて、最初は完全版で上映されなかったりするなどされていますが、愛の凶暴さではなく、大切さを教えてくれる映画でした。

自分もレオンみたいに心を閉ざし、恋だの愛だのを心の奥底に押し込んでいたので、取り敢えず牛乳と観葉植物を大切にしていきたいです。。素晴らしい映画でした。

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