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スタートアップに転職してアンラーニングした「営業マネージャーのあるべき姿」

こんにちは、カミナシの富澤です!

先月の2023年3月に、カミナシはシリーズBで約30億円の資金調達を実施しました。ご支援いただいている皆様、いつも本当にありがとうございます。

僕自身、2020年10月に入社し2年半が経ちましたが、社員数が10名から70名へと成長したシリーズAの事業フェーズは本当に激動でした。変わっていく会社に合わせて自分自身も変化するしかなかったのですが、今回はその中でも「営業マネージャーとしての自分」に焦点を当てて、どのように変わっていったのかを振り返ってみたいと思います。

  • スタートアップの働き方に興味がある方

  • 大手・メガベンチャーとスタートアップの違いに興味がある方

  • 営業マネージャーの方、営業マネージャーに挑戦する方

このような皆様にとって、スタートアップという環境がより身近に感じられるように、そして、スタートアップで働いている方にとっては明日の活力になれば嬉しいです!

営業マネージャーのあるべき姿とは

早速結論からですが、僕が2年間で得た学びはこちらでございます。

良い営業マネージャーとは「先生」と「生徒」を柔軟に行き来できる人

それっぽく書いてみたのですが、具体的には以下のようなことを意味します。

  • メンバーとの関係が、コーチングやディレクションといった一方通行の関係のみではなく、メンバーが先生になってマネージャーが生徒になるという立場に柔軟に変えることができる

  • 「マネージャーだからメンバーより詳しい、できる」という責任感やプライドを棚上げして、素直に学習し続ける姿勢を持つ

どのような経緯でこういった学びに至ったのか。順番に説明していきます。

常に優秀な先生であることが責任だと思っていた

過去の僕は、マネージャーは常に優秀な先生であることが責任だと思っていました。経営と連動して戦略を作って、ディレクションをして、実行支援をする。マネージャーが答えを持ってその答えを正解にするために、チームを牽引していく。

実際、それは間違ってはいないとは思います。組織の強さとは、決めたことをやりきる力であり、集中していく力でもあります。拡大していく組織で、それぞれが大事だと思うことをバラバラにやり始めたら、どんなに優秀な人がいても力は分散してしまう。その力をある方向に導き、最大化するためにマネージャーは存在します。

しかし、それだけだとうまくいかないことが次々に起きました。

  • 成果を出すために打ち手を考えようとしても、意思決定するための材料が足りず自信のない方針を立ててしまう

  • 狙った領域では成果がでず、そうではないところで思ってもみない成果がでる。そして、なぜ成果がでているのかよくわからない

  • 思うように成果が出ていないときに「本当にその方針でいいんですか?」と言われてしまう

今までマネージャーとして大切にしていたことを、スタートアップの環境でも活かそうとするのですが、なぜかうまくいかない。思うように成果が出ない。さらに「そうか、過去にやっていたことを思い出して、もっと品質をあげよう」と大真面目に頑張るが、それでも状況は変わらない。なぜだろう、どうすれば・・・

再構築しなければならなかった2つの前提

当時の自分は、重要な前提をいくつか間違っていました。ゲームが変わっているにもかかわらず、過去の得意な武器で戦おうとしているから、勝てるはずがない。

ここでは、僕が再構築しなければならなかった前提を2つの観点で整理していきます。

前提1: 現場感が最も陳腐化しやすい立場にいる

僕は前職で、15名程のチームをマネジメントしていました。事業は10年ほどの歴史があり、勝ちパターンの言語化も進んでいました。数年経った事業だと、過去データを見ながら受注率の高いセグメントや市場を見出せたり、何人かの営業メンバーにヒアリングすることで、比較的固めの勝ち筋が描けたりします。

しかし、事業フェーズが浅いうちはそれがない。過去のデータもないし、営業メンバーも少ない。答えらしい答えがない中で、意思決定をして周囲を牽引しなければなりません。

そこで大事になるのが、一次情報から得られる学びです。日に日に変わっていく顧客情報や外部環境を適切に捉え、全体の方針にはね返していく。または、メンバーの創意工夫で生まれた勝ちパターンをちゃんとキャッチして、他メンバーに展開していく。これらのすべての起点はメンバーが持つ一次情報や行動の結果になります。

なので、マネージャーは「自分は組織の中で最も現場感が陳腐化しやすい立場にいる」という前提で、メンバーに教えてもらうことでしか進化できない。メンバーの方が新鮮で、価値のある情報を持っている、というスタンスを持たなければなりません。そう考えると、マネージャー→メンバーという形で、情報が一方通行であることがいかに危ない状態かということが理解できます。

情報の循環において、赤の部分が肝

前提2: すべての領域をカバーすることは現実的ではない

営業と一口に言っても、マネージャーが担っている機能は多くなりがちです。予算達成、戦略作り、オペレーション構築、ピープルマネジメント、評価、採用・・・
特に、事業フェーズの浅い環境では、組織を作っていくことが重要ミッションです。そのためには、採用、オンボーディング、イネーブルメントとやることがとても多い。

そしてそれぞれに馬力が必要です。採用活動ひとつとっても、メガベンチャーにいた頃と比べると、認知度が低いのに年間の採用目標は数倍。そうなってくると、タスクが溢れ、それぞれの領域で品質を担保することは不可能に近くなります。なので、カバーできない領域を得意な人に任せて、支援するというスタイルへのアップデートが必要でした。

この「任せること」と「短期で成果を出すこと」を両立させるのは自分にとって死ぬほど難しいので、口が裂けても「できるようになりました」とは言えないのですが、部分的にはうまく権限移譲して成果がでるようになってきて、少しコツを掴んできました。

下の図はうまく機能しているときのイメージです。マネージャーとメンバーが得意な領域でそれぞれの能力を発揮し、あるいは能力を引き伸ばし、チームの能力の総和が大きくなっている。このイメージを頭の中で描きます。

個人の力量を超えてチームの総和で勝つ

そして、「任せること」と「放置すること」は全然意味が違うので、任せた領域についてはしっかり任せたメンバーから「教えてもらうこと」が重要です(もちろんそれへのフィードバックも)。これにより、自分が直接実行に関わっていなくても、勝ちパターンの言語化や成功要因の理解を進めることができ、全体感を持って次の方針をつくることができます。

価値観や習慣をアンラーニングする

とは言っても、言うは易し行うは難しです。実際に行動を変えてみると邪魔になる価値観や習慣がいくつかありました。
ここでは、その中でも重要な2つを紹介します。

アンラーン1: 自分が常に優秀であることを諦める

まず、なかなかにしぶとく、今でもたまに戦うことのあるやつなのですが、「自分が常に優秀である状態を諦める」ということです。

なぜ諦めなければならないのか。それは、「教えてもらうこと」のハードルを下げるためです。

例えば、過去にプレイヤー業務で高い成果を出したという人がマネージャーになると、どうしても人に教えてもらうことのハードルが高くなる。そのほかにも、「長く働いてるから」「営業の経験が長いから」といった自尊心やプライドは誰にでも少なからずあります。僕にもあります。しかし、繰り返しになりますが、刻々と変わっていく外部環境に合わせて勝ち筋を変えていかなければならないゲームで戦っている以上、過去に得た知識は陳腐化するという前提に立たなくてはなりません。

そんな環境の中、常に自分が優秀であろうとするマネージャーがいたらどうでしょうか。メンバーもやりにくいですし、正しい情報が流通するとは思えません。チームの総和で勝つために、マネージャーは自分の能力を誇示することに一生懸命になってはならず、率先して無知だと思われるリスクを取りに行くべきだと思います。

アンラーン2: 弱みを補うより強みを伸ばすことを意識する

そもそもですが、自分が優秀であることに一生懸命になってしまうのは自信のなさの裏返しでもあります。

僕は、カミナシでのプレイヤー業務は8割型インサイドセールスだったのですが、事業が進むにつれ、フィールドセールスのマネジメントが中心になっていきました。それが色濃くなったタイミングで、弊社COOの河内に「実はそこまで自信がない」と吐露したことがあります。

そこで言われたことは今でも鮮明に覚えているのですが、「ひろしさん(カミナシではこう呼ばれています)の強みを活かす方向性でマネジメントを考えたら良いんじゃないか」という助言です。

その時までは、「フィールドセールス業務を今のメンバーよりも詳しく、常にアドバイスができる存在にならないといけない」と自分自身にプレッシャーをかけていたのですが、考え方を変えて、自分の強みは何か?そしてそれをマネジメントにどう活かせるか?を思考するようになりました。

自分の場合でいうと「全体感を把握して事業状態を捉える力」。これはインサイドセールス時代から自信があったので、その強みを発揮する方向で自分自身の活かし方を考える。そして、できなさそうなところはメンバーに預ける。この考え方だと「自分が完璧な存在でなくてはならない」という呪縛がないので、メンバーの主体性を邪魔することがない。結果として、メンバーがその領域でどんどん学んでいくことを、心から支援することができます。

自分が優秀でありたいという小さい自分のエゴを諦めながらも強みの発揮で自己肯定感を得る。そしてできないことはメンバーに預け、メンバーの才能を解放し、事業を成長させることができるのであれば、これに向き合わない手はない。今は本気でそう思います。

さいごに

タイトルで「スタートアップに転職して」と書いたので誤解のないように補足なんですが、本記事の内容はスタートアップに限定した話ではありません。本来、過去自分がいた環境(大手やメガベンチャー)でもそうしなければならなかった。ただ、成長しなければ事業継続ができないという危機感のある環境で働いているからこそ、「この変化を早倒しできた」というのは事実だと思います。

そういう意味で、スタートアップでは「成長しなければならない」という制約が常にあるので、強制的に自分を変えながら成長していくことができます。

そして、こうしたアンラーニングは1度やっておしまい、ということではなく、事業フェーズや事業状態に応じて、何度も繰り返し体現していかなくてはならないものです。なので、僕は「強みはなんですか?」と聞かれたら「いつでも必要に応じてアンラーニングできる力です」と胸を張って言えるように、これからも自分を変えることに柔軟であり続けたいと思っています。

ちなみに、カミナシではこうした習慣のことを「自分リノベーション」というバリューで言語化しています。自分リノベーションをしながら、事業も個人も成長させたい人は、とてもオススメの環境です。

カミナシ5valuesの1つ:自分リノベーション

最後まで読んで頂きありがとうございます!

カミナシでは引き続き、一緒に働いてくれるメンバーを募集しています。少しでも興味のある方はぜひお気軽にご連絡くださいませ。カジュアルな転職に関するディスカッションも大歓迎でございます。

おしまい

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