見出し画像

偶然に偶然が重なることもあるのだ

ミラノで暮らし始める出発前、名古屋で妻の友達のお父さんがミラノに住んでいたことがあると聞いて、そのお父さんにミラノに1年ほど滞在するつもりだと話をしたら、ミラノで家を借りるときに手伝ってくれる人を紹介しますと教えてもらいました。その人とミラノ入りして会い、いくつか物件を見せてもらった中から選んだ家に住みはじめました。

ミラノの南側の家で、ちょっと地下鉄の駅には距離があるけど運河も近いし快適な家でした。大家さん夫婦が近くに住んでいて、毎月家賃を直接払いに行っていました。とても親切にしてもらって、最初の内は英語で意思疎通をしていたのですが、少しずつイタリア語でも話せるようになることをとても喜んでくれていました。

後先考えずにとりあえず1年住むことにしていたミラノですが、滞在半年を過ぎてイタリア語を少しは話せるようになってからインターンでいいのでイタリアのデザイン事務所で仕事を体験したいと思っていくつか訪問している内に「安月給でよかったらウチにおいでよ」と雇ってくれるところが見つかりました。この辺りの話は別のところに書いているので省きますが、そうして1年の予定だったミラノ滞在がまだ続くことになりました。

さて、それまで住んでいた家は日本から持ってきていた貯金が底をつき次第家賃が払えなくなるので、もう少し安い家を探さなければと思っていたら、事務所のボスが「うちの娘の家が(その当時別のところに住んでいるので)開いてるから話してみたら?」と娘さんが事務所に遊びに来たときに紹介してくれました。その家はそれまで住んでいた家からも近い地域の家で、小さいけれど家賃はそれまでの半額ほどになりました。

結局この家には1年住んだのですが、この家に住んでいる間に長女が生まれました。子供が生まれると、狭いのはいいとしても、エレベーターなく階段で3階まで上がるのが大変だから、また別の家を探して引っ越しました。

長女の下にも女の子と男の子が生まれ3人を育てている間に時は過ぎ、その後3回も引越しをして今の家に落ち着きました。

早いもので、長女が大学(建築科)を終える年になり、卒業制作でミラノのちょっとさびれた通りの再計画案を作ってるらしいと聞いていました。ほとんど計画が出来たところでパパにも「これが卒業制作よ」と見せてくれたら、その計画案の通りが上記の長女が生まれた家があった通りなのです。おいらはわざとその通りを選んだのだと思って尋ねたら、どうも長女は自分が生まれたときの家の通りだとは知らなかったようで驚いていました。

いやあ、こんな偶然もあるもんなんだねと笑っていました。

また数年が過ぎ、長女は彼と2人で住むことに決めて、家を出て行くことになりました。それで安い家賃で若いカップルにちょうどいい物件をミラノで探していたら、なんと長女の生まれた家の通りにいい物件があるというので、見に行ってくるねと教えてくれました。見学に行った日にLINEで「ここだよ」と送ってくれた写真が、正にその家ではありませんか。

結局その家に住むことに決まり、門をくぐった後にアパートの各家ごとに分けてあるポストが並んでいるところを見ていたら、なんとおいらの元ボスの名字のポストがあるとまたLINEで写真を送って来てくれました。どうも娘さんは今でもこの家を所有して賃貸で誰かに貸しているらしい。

さて、パパとママが日本からミラノにやって来てミラノ生活を始めた頃の家で彼と新しい生活を始めた長女ですが、彼女の誕生日なので我が家に戻ってきて一緒にお祝いをします。我が家の子供たちの誕生日にはパパがケーキを焼くのが恒例となっているので、今回もどのケーキがいいか尋ねたら、チョコレートと洋ナシのケーキがいいというので焼きました。

ちょっとした偶然の話でした。

Peace & Love

続、偶然に偶然が重なることもあるのだ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?