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資本主義を脅かす所得の不平等 Promarket, May 4, 2022

Brooke Fox, Chart of the Week: Income Inequality Threatens Capitalism, Promarket (Stigler Center), May 4, 2022 2022年11月17日閲覧

日本では消えてしまった所得と富の不平等の観点からの資本主義批判がアメリカでは生きており盛んであるのは、アメリカではこの不平等や格差が日本より激しいためか。あるいは日本人が格差に気付かず寛容であるからか。いずれにせよ日本社会は今この格差を放置して、格差を広げる方向に進んでいるように私には思える。ここで指摘されている論点は、このような所得と富の不平等を生み出す資本主義制度は経済制度として合法性がなく不正であること、不平等は経済需要を押し下げ経済成長を抑えていること、そして最後に、不平等は民主主義にとって脅威になるのではないかということ、以上三点である(福光)。

(標題)所得の不平等は資本主義を脅かしている 2022年5月4日
(見出し) Initiative on Global Market(IGM)による経済学者たちへの新たな調査によれば、所得そして富の不平等の高まりは資本主義への新たな脅威を表すかとの問いに、67%が同意するかあるいは強く同意した。「豊かなアメリカ人への所得と富の集中は、資本主義にとり主たる脅威の一つである」ーこの問いかけへの回答は、経済学者への信頼により重みが増している。

           同意する             50%
           強く同意する   17%
           同意しない      9%
           どちらでもない  24% 

所得と富の集中は資本主義にとり脅威か?

 不平等が資本主義を脅かす主たる理由は、IGMにより調査された経済学者たちによれば、不平等を生み出す資本主義制度capitalist systemへの信頼を摩耗させることにある。
 (不平等は)「経済統治制度としての資本主義への人々の信念(belief)にとり脅威である」とMITの経済学教授David Autorは述べた。「共有された信念がなければ、我々は困難に陥る」。
 (また)他の経済学者たちはUC BerkerlyのBarry Eichengreenのように「経済的結果が不正であることは、経済制度の合法性への挑戦だ」と議論する傾向がある。
 ある経済学者は、資本主義の制度としての人気に影響する懸念を吐露した。StanfordのDarrell Duffieは、不平等が需要と経済的産出とを低めることを発見したと論文で指摘した。
 Duffieは「資本主義は、社会の不安定、低需要、成功した資本主義への他の脅威を導きうる」と述べた。
 しかしすべての経済学者が(不平等が資本主義を脅かしているという議論に)納得したわけではない。不確かではあるが、不平等が脅かしそうな別のシステムは民主主義である。
 (不平等は)確かに民主主義にとり脅威だと、BerkerlyのMaurice Obstfeldは言った。
 シカゴ大学のRobert Shimmenはその言い方に同意しなかった。(しかし)「彼らの富自身が脅威なのでなく、金持ちが同じルールでゲームをしないことが主たる脅威だ」と譲歩した。


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