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二郎丸 大
2023年5月6日 11:16
ようやく取れた休み。私は子供の頃に住んでいた土地に旅行に行くことを思い立った。宿はどこも一杯だったが、一件だけ空きがあった。予約時に「おひとり様の部屋ですが大丈夫ですか?」とわざわざ確認されたので「はい」と答えた。部屋はよくある和室タイプだった。早めに着いたので食事の時間まで散歩することにした。町は様変わりしていたが、父とよく来た駄菓子屋はまだあった。水飴を買い、宿に戻って食べると子供の
2023年5月5日 10:00
「誕生日にサーロインステーキが食べたい」小学4年生の息子、秀のリクエストに真子は悩んでいた。友達の自慢話を聞いて食べたくなったらしい。真子は3年前に夫と死別し、定職に就いてはいるが、簡単にサーロインステーキを食べさせられるほどの経済的余裕はなかった。今日は有給を取り、スーパーを数軒はしごして、予算内で最高のサーロインを入手。自分には豚肉を買って帰宅した。サーロインステーキの上手な焼き
2023年5月4日 09:47
小学生の海は車酔いの薬を飲むかどうか迷っていた。母親に渡された薬の名前がいつもと違っていたからだ。「トラベルツイン」と書いてある。「もう出かけるわよ」海は急いで薬を飲んで車に乗った。「家族三人でドライブなんて久しぶりだな」父親が上機嫌で言う。「車酔い、大丈夫か」「大丈夫よ、薬飲んだし。ね?」母親の言葉に海はうなづく。「今日はどこに行くの?」「パパは海と山で迷ってるの
2023年5月3日 12:01
あれは確か小学校に上がったばかりの夏休みだった。母方の祖父母の家に遊びに行って流しそうめんを食べた。祖父は器用な人で竹を半分に割って、流しそうめんができるように準備してくれた。竹は急角度で固定されていたので、そうめんを流すと結構なスピードで流れていき、興奮したことを覚えている。流しそうめんをするからと近所の子も呼んでいたのだが、ひとり可愛らしい女の子がいた。私と同じ歳で名前は梅子といった。