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失業中でも有休休暇? 「しっかり休む」 デンマークの休暇事情

以前、紹介したようにデンマークの有給休暇は日本と異なり、毎月働くごとに2.08日分の休暇日が積み立てられる仕組み。

毎月2.08日の休暇を「稼ぐ」ので、1年間で25日分(5週間)の有給休暇の権利が貯まるという計算です。

そしてこの有給休暇、最も多く使われるのが7月の夏休み。

多くの人が2〜3週間の長期休暇を取るのが一般的なのですが、実は法律で定められている「夏に3週間以上の連続した長期休暇を取る権利」のおかげ。(The Danish Holidays Act(デ: den danske ferielov)で定められています)

どうやらそこには「誰もがしっかりと休む権利がある」という基本理念があるみたいで、僕の同僚や上司は当然のように3週間の長期休暇を7月に取ります。

また、僕のチームの若手が、1週間だけの休暇申請をしたら「2週間とか3週間にしても良いんだよ?しっかり休むのも重要だからね」と上司から強くオススメされていたのも印象的です。(ちなみに長期休暇は権利なので、本人の希望であれば3週間も休みを取る必要はありません)

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さらに興味深いのは、「しっかりと休む」という考えは「求職中の人にもあてはまる」という点。

デンマークでは、A-kasse という失業保険に加入することで、月に最大20,359クローネ(約47万円)の失業手当を、2年間に渡って受給することができます。(※ フルタイムの正社員だった場合、2024年度の支給条件です)

ただし、受給するためには、きちんと就職活動をすること、Jobcenter と定期的に面談をすること、常に働ける状態であること、などの条件を守ることが義務付けられています。

これは日本のハローワークと同じような仕組みなので、就職活動をしていないと失業手当はもらえません。

だから就職活動をしっかりやってないと判断されちゃうと、支給を止められてしまう可能性があるのですが・・・

事前申請をすれば、失業中でも休暇を取れちゃいます!

休暇中は失業手当と同等の休暇手当が支給されるので、実質的には失業手当が貰えているのと同じ状態。

でも、休暇中は就活をストップしてもOK。

Jobcenterとの定期面談などの面倒な義務もスキップできちゃいます。

また、失業手当を受給している間は原則国外に出るのはダメなのですが、休暇中なら海外旅行に行ったりするのもOK!

これも「就職活動のことを気にせずに、しっかりと休んでリフレッシュすることが重要」という考え方が根底にあるから。

ちなみに失業手当をもらっている期間、1ヶ月毎に2.08日分が失業期間中に取れる休暇として積み立てられるそうです。

働いている人たちが有給休暇を積み立てる仕組みと同じなのですが、これは「失業中の就職活動は勤務していることと同等である」ということなのかもしれません。

失業者にとっては、まさに就職活動からの有休休暇ですね!

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日本と異なるデンマークの有給休暇制度については、👇でも紹介しています!


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