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学位論文は「論文概要書」がだいじ

佐藤ひろおです。早稲田の大学院生(三国志の研究)と、週4勤務の正社員(メーカー系の経理職)を兼ねています。

修士論文を提出したら、自由の身だ!解放される!かと思いきや、修士論文を出してからのほうが忙しかった。

修士課程を卒業しようとしている現時点で、
ぼくが同業の後輩(大学院生)に強く伝えたいのは、修士論文の概要書をきっちり作り込んでおくこと。
論文を書き上げた途端に、「きみはどんな研究をしているんだい?」という説明の機会に多く出会う。過不足なく説明できるように、いい概要書を作っておきましょう。プレゼンテーションの資料として、そのまま読み上げてもよし(相手に聞き入らせる)、口頭で豊かに膨らませて話してもよし(適度に余白がある)。そういう概要書がだいじ。

時と場合、分野や指導教員によりますけど、A4用紙で2枚から4枚ぐらい(4000字から6000字ぐらい)に収めておくと、コンパクトだけど内容が貧しすぎず、宜しいと思います。
博士論文であっても、先輩たちを見る限り、A4用紙で4枚から5枚ぐらいに収めているのが良さそう。10000字は、読む人がしんどい。人前で説明するときに省略しながら話す必要があって、不全感を与える。
長く書けるのは当たり前。いかに聞きやすいかが勝負。※長く書けないならば適性がないので辞めた方がいいと思います。

なぜ概要書が重宝するか。

論文の全文を読んでいただく機会は少ない。読み手に負担をかけるから。修士論文を書いているときは、「修士論文を仕上げない限り、概要書なんて書けるわけがない」と思っていましたし、実際にその通りなんですけど、修士論文の全体をお披露目、お目見えするチャンスは多くない。
極論すると、「修士論文に少し校正モレが残っていてもいいから、概要書の完成度を上げるべき」とすら思います。もちろん、誤りだらけの本文はあり得ないし論外なんですけど。

論文概要書の絶妙な位置づけ

論文は機能的な文章です。カタにはめて、ブロックやレンガのようにデータやロジックを組み上げていくものです。
書く前に目次を決めておいて、各章・各節の結論をほぼ決めておいて、そこから本文を書く、というぐらいでちょうどいい。「書いているうちに筆に勢いがついて内容が変わった」ならば、一旦停止して、目次とパーツごとの結論を見直した方がよい。
本文を書くと、これまで以上にデータやロジックに接近して向き合うことになるのだから、方向転換や微調整があるだろう(方向転換や微調整が生まれないならば、本文の筆が走っていないとも言える)。往復運動を厭わずに、構成と本文を練り上げるのがよいはずだ。
各章・各節の結論を順番にコピペして拾っていくと、ほぼ自動的に論文の概要書になる(そのように結論を書くべきだ)。

論文を書くとき、目次を組み上げただけでは、自分自身ですら、論の流れやデータの活用の切れ味、おもしろさやオリジナリティがよく分からない。目次のなかに神が宿るものの、目次では、「ほのめかす」ことしかできない。目次は材料をポツンポツンと並べるだけなので、複数の論の展開・解釈を許すので、情報量が足りない。
そこで目次の下層に、「概要書」に相当する短文を目次のパーツごとに書いていくと、アイディアと流れを忘れることがなく、言いたいことがひと通りに定まる。
美しい石を積み上げた塀は、石の美しさによって魅せることができるが、地震があると崩れるだろう。そこで、あいだにコンクリートなり鉄筋なりを流し込む。これが概要書を構成する、ちょっとした短文だ。イメージとしては、ツイート1つずつ。

あるいは、論の抜け落ちや飛躍に気づくにも、一覧性が高くて長すぎない文章(概要書)は利用できる。長いと、目を通すことだけで満足してしまい、良いのか悪いのか、よく分からなくなる。

すべての学生は、好まざると、「以下の文を要約せよ」という国語の問題で訓練してきた。章や節ごとの「概要」を要約すると目次になるはずだし、ぎゃくに本文を要約すると「概要」になるように、本文を書く。あるいは概要を書く。「概要」を要約して目次とする。
とにかく、往復運動を面倒がらないこと。これがコツでしたね。

ぼくは、各節や各章の本文を書き上げてから、それぞれのエッセンスを抜き出して各節や各章の末尾の文(小結)を書き、その小結を順番に抜き出して並べれば「概要書」になるように最初から、先読みしてました。
さらに、概要書を切り抜けば、つぎの課程の「研究計画書」の前半分になるようにも意識して書いていました。すべては工程管理。

さっきから、概要書、概要書、と言っていますけど、べつに概要書が好きなのではありません。正直なところ、修士論文を書き始めるまで、「概要書」というものを意識したことがなかった。
ただし実務的に、どのみち論文を提出するときに概要書が必須となるならば、工程に組み込んでしまったほうがラクだろう、という打算から、このような書き方を意識しました。それが、論文の提出後、思ったよりも大活躍して転用、転用の機会があることに気づいたのでした。

スケジュールの進捗

上の記事で修士論文提出後のスケジュールを書きましたが、以下の太字の部分が、前回のnoteの記事時点から終わりました。

・1/9 修士論文提出(済)
・1/9 博士課程のために研究計画書提出(済)
・1/12 健康診断を踏まえた通院(済)
・1/13 市民講座の講師1回目(済)
・1/13 新規入会の学会に申込書提出
・1/15 市民講座の2回目の資料提出(済)
・1/15 新規入会の会費納入(済)
・1/16 修士論文概要書となりのゼミで報告(済)
・1/20 市民講座2回目(新たに完了)
・1/23 修士論文概要書 自分のゼミで報告(新たに完了)
・1/24 修士論文 口頭試験(新たに完了)
・1/24 会社の新年会(新たに完了)
・1/25 新規入会に学会報告を申請(新たに完了)

・1/26 歯医者で定期クリーニング
・1/28 博士課程の筆記試験
・1/28 非公開の三国志のお仕事
・1/30 筆記試験の合格発表
・1/31 翻訳のお仕事の校正もどし期限
・1月中 事務局をしている学会の未納者フォロー
・2/1 博士課程の面接試験
・2/1 歴史書翻訳プロジェクト進捗報告

博士課程の筆記試験ができたら、かなりラクラクになる予定。

あ、日記的には書いてませんでしたけど、ぶじに修士論文の口頭試験は終わりました。新しい問題や研究テーマの広がり、勉強の方向性を教わることができて、楽しい面談でした。目上のひと(教授)3名と対しても、物怖じしないのは、場慣れしてるからでしょう。年の功です辛うじて。

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