「スキーマ療法⑪依存/無能」を複雑性PTSD/ボーダーライン・パーソナリティー症の目線から説明してみた
18種類のスキーマの6つ目は、
「依存/無能スキーマ」です。
このスキーマを獲得してしまった原因は、
満たされなかった感情欲求「自律性・有能性・アイデンティティ」です。
「自律性」とは、家族から独立して年齢相応に行動する能力です。
「有能性」とは、無力な状態ではなく積極的に能動的に外界を動かす能力です。
「アイデンティティ」とは自分が自分であることです。
以上が欠如すると「自分にはそんな能力はない」
「独立して生活することなどできない」
「社会に出て仕事などできない」と考えます。
そして
・能力的に子供のまま
・自分の人生を歩むことができない
・自分で目標を立てれない
・自分に必要なスキルの習得ができない
このスキーマの家庭環境の特徴は、
過保護・ネグレクト・過度に監視、です。
本人の特徴は、
⒈子供っぽく見え、自分の面倒を自分で見ることができない
⒉自分の代わりになんでもやってくれる相手を見つけるか、
何もしないかのどちらかを選ぶ
⒊日常生活で自分は何をすればよいのかわからない
⒋変化を恐れる
⒌他者(親・兄弟・パートナー・友人等)の助けがないと、
新しいことに取り組むことができない
⒍自分の力では生活できないと固く信じている
⒎他者に対し過度に援助を要求する
⒏意思決定を先伸ばしにする
行動の例としては
①すぐにアドバイスを求めたり、アドバイスしたりする
②一人で移動できない
③経済的に自立できない
④新たな課題を回避する
⑤すぐにあきらめる
⑥昇進を断る(責任回避)
⑦いわゆる「運転席に座らない」タイプ
⑧逆に他者に頼って当然な場面なのに、一人で乗り切ろうとする
治療目標は、
⑴依存心を減らし能力をのばす
⑵たとえ失敗しても、そこから様々なことが学べることに気づく
⑶課題をやり遂げることで、自分には能力があると認識する
⑷他者に助けを求めることを意識的にやめる
「依存/無能スキーマ」は以上です。
依存心と無力感が特徴で、
外の世界は圧倒され、そして対応できないと思い込んでいます。
ここでも「承認」が大事なのではと思います。
本人が無能と感じていることをまずは承認し、
そしてそれが事実なのかどうか検証していく感じでしょうか。
依存心と無力感の原因を学び、
「無能ではなかった」体験を増やして欲しいと思います。
お読みいただきありがとうございました。
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