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DX化を阻む要素を取り除き、もっとDX化を。これがカーボンニュートラルを進めるキーになるが、そのためには・・・

1)デジタル化、さらにはDX化がカーボンニュートラルを進める
カーボンニュートラルの対策のためにはまずはデジタル化。デジタル化によって今までのビジネスを効率化し、余計な資源を使わないようにするということも一つのキーポイントになる。
さらにはモノを売ることでしかビジネスとして成り立たなかったものを、サービス売りに変えていくことで、モノを作って売るという温室効果ガスを出すサイクルではない形、ビジネスモデルにしていくこと、これがつまりはビジネスそのものを変えていくデジタルトランスフォーメーション、つまりDXになる。DXを進めることは、カーボンニュートラルのキーになると思われる。
しかし日本における実態はどうなのか・・・ちょうど日経新聞に興味深い記事が載っていた。

2)進まないDX
良いDX 悪いDX(1) 「保険会社はもうやめる」 というタイトルで記事が書かれていた。SOMPOホールディングスにおいて、エンジニアやデザイナーら約50人で構成する「スプリントチーム」を立ち上げて様々なサービスを生み出してきた、という事例であった。
そのような積極的な取り組みとは対象的に、以下のような内容が書かれていた。多分、このような既得権益がどう牙城を守るのか、という視野狭窄がその実態なのだろうか。ただ正しくは、デジタル化で既存の仕事はなくなる一方で、新しい仕事が出てくるという実態を考えるべきで、新しい仕事が出てきたときにその人員をどう配置転換するか、がポイントになるはず。ただ、配置転換のためには、リスキリングが必要であり、それがセットでなければ新たなスキルを得られないので、以下の文章にあるようなリストラにつながってしまうのではないか。
既得権益にすがるのは、そのようなリスキリングの仕組みが整っていないからなのではないか、と思ってしまう。国力を上げるには、この大きく変わる産業に対して、国民一人一人が対応していけるようにすることに、国として投資をしていくべきではないか。ハードと言われるようなものに投資するのではなく。

ボストン・コンサルティング・グループによるとDXに成功した日本の大企業は21年で29%にとどまり、グローバル平均の35%と比べ見劣りする。DXとは紙やハンコの電子化ではなく、ビジネスモデルを創り直すこと。その理解が進まない。
大企業の役員や管理職を対象にしたドリーム・アーツ(東京・渋谷)の調査で7割以上がDXとデジタル化の違いを「説明できない」と答えた。
「まるで香港の九龍城だ」。アクサ生命保険でDXを進めた手腕を買われ21年にパナソニックホールディングスのグループ最高情報責任者(CIO)に就いた玉置肇は、同社の複雑なシステム群をかつて東洋の魔窟と呼ばれた巨大スラム建造物群に例える。
社内には1200以上ものシステムが存在する。もともと部門の縦割り意識が強く他社との合併もあり複雑化した。それなのに「経営はIT(情報技術)をよくわからずIT部門も経営は口を出すなという空気があった」。保守費ばかり膨らみDXの基礎であるデータ連携すらできない。
DXが遅れる理由を大手商社首脳は「本質はリストラだからだ」と指摘する。DXを本気で進めれば余剰な人員や競争力のない事業、遅れたシステムがあぶり出されるが、それぞれに既得権が入り交じる。

2022/8/2 日経新聞朝刊

3)リスキリング
なんとなくであるが昔は会社に入れば、そのまま会社で学んでいくというOJTと言うかたちが通常であった。改めて会社以外で学ぶという形があまりなかったように思える。
ちょうどリスキリングについては、日経新聞でも以下のような内容を取り上げていた。まさにOff-JTの機会を増やすことで、DXに対応するような人材を増やし、DXに対応した後に増える仕事を対応できるようにすること、このような取り組みが国も交えて行っていく必要があるのでないか。
そのような取り組みがなく、企業のみで行うのであれば、どうしてもリストラが前提となってしまうと思われる。
是非とも前向きな形でのリスキリング、もっと国として方向性を示した上ででのリスキリングの方向性をセーフティーネット的に仕組みとして出していってもらいたいと思う。そうでなければ激変するカーボンニュートラルに対応した国民になれない。

2022年度の経済財政白書はリスキリング(学び直し)の効果を検証し、大学など職場外での訓練(OFF-JT)や自己啓発によって年収が約7%増えるとの分析を示した。日本の社会人教育が柔軟性に欠け、労働市場のニーズを満たしていないとの課題も指摘した。
リクルートワークス研究所による「全国就業実態パネル調査」の2016~21年の個票データを使い、同じ企業で働く人の年収の推移を自己啓発やOFF-JTの有無で比べた。OFF-JTの実施者は1年目から年収が増え、3年目は何もしていない場合より5.9%多くなった。自己啓発も組み合わせていると6.7%とさらに伸びが大きくなる。
日本企業の取り組みは遅れてきた。人材育成は伝統的に仕事を通じて経験を積ませる職場内訓練(OJT)が中心だった。OFF-JTへの支出は横ばいで、特に規模の小さい企業ほど従業員に十分な機会を提供できていない。
勤務先の費用負担がある学習への参加率は27%と、経済協力開発機構(OECD)加盟国平均の34%を下回る。OECDの分析によると、日本の社会人学習は「柔軟性」と「(市場ニーズとの)整合性」のスコアが低い。
柔軟性の低さは学習プログラムに時間や距離、費用面で制約があることを示す。整合性が低いのは、教育訓練の内容が労働市場のニーズにあっていないためだ。
白書は「デジタル化やグリーン化などを通じた構造変化が進展する中、就業しながら変化に対応できる技術をどれだけ身につけられるかが重要だ」と訴えた。

2022/8/3 日経新聞


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