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国民を起点とした環境問題・脱炭素へできないか

ちょうど関西方面の出張があり、新幹線の清掃が終わるのを待っているときです。ぼーっと新幹線ホーム上のゴミ箱を見ていました。
するとスタバのカップなどの紙ゴミが普通のビニールなどと一緒に捨てられていて、ゴミ箱は分別されているんじゃないのかな、とよく見てみると、
・ペットボトル
・ビン・缶
・雑誌
・その他
という分類で、カップなどの紙ゴミもプラスチックごみもすべて「その他のごみ」の中に捨てていたようです。

東京駅ホームに設置されたゴミ箱

1)ゴミ分別の効果って?

そもそもゴミ分別の効果って何なのか、とちょっと調べてみました。よくまとめてくれているサイトがあったのですが、例えば、プラスチックは分別されずに廃棄されることで、燃焼されてしまい、多くの二酸化炭素を排出してしまいます。それが再利用されることになれば、その分、二酸化炭素の排出量は減ることになります。しっかり分別をするだけで、年間約180万トン(66万トン×2.79トン=184.14万トン)もの二酸化炭素排出量を抑えることができます。
※このサイトは、清掃道具を販売しているテラモト社のサイトで、分別するためのゴミ箱を販売しているために、その一環でこのような情報を出しているのだと思います。

一般社団法人プラスチック循環利用協会によると、2020年に分別されず焼却処分されたプラスチックごみは66万トン(全体の8%)でした。また、東京都環境局の資料によるとプラスチック1トンの焼却により、2.79トンのCO2を排出する(収集・運搬時のCO2排出量も含む)と言われています。
これらを合わせると、プラスチックごみを分別しないことで年間約180万トンの二酸化炭素を排出している計算です。二酸化炭素はメタンや一酸化炭素と同じく、温室効果ガスと呼ばれており、地球温暖化の原因として世界中で削減が掲げられています。
このように、分別をせずに廃棄することで大量の温室効果ガスを排出している状況であり、可能な限り抑制していくことが望まれています。

https://www.teramoto.co.jp/columns/18207/

さらには、この分別されなかったプラスチックごみを燃焼するためにも化石燃料が使われているようです。ということは、その燃焼分も考えると先程の年間180万トンという数字以上の、二酸化炭素排出を抑えることができるということだと思います。

2)他のゴミはどのような効果が?

先ほどのサイトとは別に、北ガス社のサイトでは分別したゴミがどのように活用されるのかがよく整理されています。ただ先程のテラモト社のサイトのように仮に分別しなかった時に比べると、どのくらいの二酸化炭素の排出を抑えられているのかが数字で示されていると、そのインパクトがわかってよかったなと思います。
ただ今回たまたま観察をしたJR東海の分別では、以下の中では、
・アルミ缶
・スチール缶
・ガラス瓶
・ペットボトル
・古紙・雑誌
までがカバーされているということのようです。プラスチックと、あとは以下にはないけどカップなどの紙ゴミがあるだけでも、効果があるのだと思います。

分別されたゴミはそれぞれ下記のように再利用や処分をされます。
■アルミ缶
圧縮して量を減らし、アルミ再生地金工場へ。
再生地金に生まれ変わった後は製缶工場で新しいアルミ缶になります。
■スチール缶
スクラップ業者を経由して製鉄所で鉄に生まれ変わります。
■ガラス瓶
粉砕して新しいガラス瓶の原料となる以外にも、粉末にして発泡スチロールや土木・園芸資材の材料にも使われます。何度も使えるリターナブル瓶はきれいに洗浄して再利用されます。
■ペットボトル
細かく砕き繊維素材として洋服やタオルなどの原料や新しいプラスチック製品の原料となります。
■プラスチック
溶かして再度プラスチックの原料とするだけではなく、科学的に分解して化学原料に再生します。
■古紙、雑紙
製紙メーカーで再生紙に生まれ変わります。新聞紙や雑誌、トイレットペーパーやティッシュペーパーなどになります。
■可燃ごみ
種類ごとに分けて焼却処分します。
■不燃ごみ
金属などを選別した後、残りを細かく粉砕し最終処分場で埋め立てられます。金、銀、白銀、パラジウムなどのレアメタルは分別後に再利用されます。

https://tagtag.hokkaido-gas.co.jp/portal/ecolife/info/2504

そして最近は円安の影響で日本を訪れる外国の方が多いので、日本はより環境に優しい、そして気候変動・環境問題に積極的に取り組んでいるということのアピールにもなるのではないかと思いました。

3)国に頼っていても進まない・・・

今日9/15の日本経済新聞の朝刊には、「石炭4カ月ぶり高値圏 中国が調達拡大、渇水で火力依存 発電コストを押し上げ」という記事を見ました。中国は2060年までに二酸化炭素排出量をネットゼロにする方向ですすでいたのに、この動きです。結局は国民からの不満を爆発させないように国は動くしかない、ということだと思うのですが、やはり気候変動・脱炭素への対応は国がどんなに頑張っても、国民の意識を数段上げなければ行けないということの証左だと、この中国の逆行の動きで思いました。

中国は新型コロナウイルスの起源を巡る調査を求めた豪州と対立し、20年5月に石炭の輸入を規制した。経済面での関係修復が模索され、23年1月に輸入を事実上解禁した。
中国は主に熱量が小さい低品位炭を購入する。「豪州の石炭生産者が中国の旺盛な買いを見込んで、高品位炭から低品位炭への生産シフトを進めている」(エネルギー・金属鉱物資源機構=JOGMECの中塚英信専門調査員)。国際指標となる高品位炭の供給が減り、価格を押し上げた。
中国は60年までに二酸化炭素(CO2)の排出量を実質ゼロ(ネットゼロ)にする目標を掲げ、石炭の使用量は25年までにピークアウトさせる方針を打ち出す。石炭回帰の動きは、こうした宣言に逆行し環境への負荷を高める。

2023/09/15 日本経済新聞 朝刊

4)国民を巻き込むには

今回たまたまぼーっとして気づいたのが、JR東海のゴミ分別についてでした。ただこれはたまたま私のアンテナが立っていたからです。
国民が環境問題、気候変動、脱炭素という問題に興味を持つためには、もっと国民に知識をつけて、国民参加型の仕組みが必要なのだと思いました。例えば、今回のケースで言えば、プラスチックごみ、紙ごみの分別もやった方がよいのではないか、とJR東海に提案する。JR東海がSDGsの活動などでそれを採用したら、その提案した人には何かインセンティブを得られるなど。。。
このあたりの仕組みはもっと考えないといけないと思いましたが、国民がまなぶ→活動する→企業や国を動かす、というサイクルが必要なのかな、と感じました。

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