声を聴き、権利を守るために
権利の話は、マジメで堅苦しくておもしろくない感じがするけれど、ほんとはとっても愛に溢れてる。権利を主張することは、わがままとか図々しいことじゃなくて、自分とみんなを大切にすることだ。
もちろん、主張が異なり、ぶつかることもあるかもしれない。それでも、どちらの意見も大切にされる。それが、権利を守られるということだ。
片方だけの声しか聴かれなかったら、不公平だ。その不公平が、日常で起きていませんか?
この本を読んで、忘れずに心がけたい事をまとめる。
自由に自己の意見を表明する権利がある。
わたしも、あなたも、こどもたちも、すべての人に。
「アドボカシー」は、子どもの声を聴き、意思表明を支援したり代弁する活動。意思表明支援。
「アドボケイト」は、そのアドボカシーをする人。
相手の声をしっかりと聴くこと。
相手の権利を守ること。
相手の力を認めること。
本人の声を尊重する。
自分で自分の権利のために声をあげる。
子どもにも、大人にも、声をあげる力がある。
無力な子どもに代わって発言するという姿勢ではなく、子どもの力を信じて、子どもが自分で発言できるように支援することがアドボカシー。
子どもたちは自分では何もできない、力がない、だから大人が守ってやらないといけないという考え方は、子どもを権利の主体として尊重していない。そんな考え方で子どもを支援すると、子どもの力を奪い、ますます無力な状態にする。
いたわるのではなく、尊敬しなければならない。
無視されたり、否定されることがくり返されると、無力感に陥って何も言えない、諦めてしまって言えない、怖くて言えない。声を奪われる。
誰もが、声を聴かれる権利がある。
自分の希望や主張はあるけれど、どうやって伝えたらいいか分からないとき、アドボケイトの存在はとても心強い。自分には何もできないと思い込んでいる人たちの声を引き出す。
裁判の時に、弁護士を雇うように。車を買う時に、車に詳しい人についてきてもらうように。専門知識の助言や、自分の声を代弁して、希望を伝えてくれる人がいたら、心強い。
こどもにも、おとなにも、アドボケイトは必要だ。
アドボケイトは、伝えたい声を伝えたい人に届ける。思っていない事や言いたくない事は、勝手に話さない。言いたい事、話したい事を届ける。
「意思決定能力」は、4つの力によって構成される。
1.理解する力(説明内容をどの程度理解しているか)
2.認識する力(それを自分のこととして認識しているか)
3.論理的に考える力(論理的な判断ができるか)
4.選択を表明する力(その意思を表明できるか)
アドボケイトには何も権限はなく、何かを決めることはできない。徹底して本人側に立って、本人の意見や願いの為に努力する。子どもの場合、子どもの障害や年齢に適した方法やツールを使用して、自分の状況や可能な選択肢を理解・認識し、その中から自分の望むものを考え・選択し、自分の選択を表明できるように支援を行う必要がある。
徹底的に子どもの側に立ち、子どもの願いが実現するようにただそれだけに専念する。たとえ、それが本人の最善の利益だと思えない場合でも、本人の声を尊重する。
最善の利益は、誰の最善か。誰の利益か。
耳障りな声、都合の悪い声、考えに反する声こそ、誠実に聞いて、考慮し、応答する。こどもの声に対しては、特に。
最善の利益と思っているのは、大人や専門家側の視点だから。最善の利益と思える事であっても、誘導して、本人の声と選択と力を奪わない。本人の意見や気持ちを尊重する。支援者が最大の差別者とならないように。
「私たち抜きに私たちのことを語るな」
(Nothing about us without us)
この原則を忘れない。
大人や専門家の考える最善の利益に誘導するのではなく、本人の声を届ける。そして、本人の声と専門家の声、両方を聴いて考慮してから、最善の利益を判断していくという流れで意思決定が行われるべきである。
障害があっても、乳幼児でも、言葉での表現だけでなく、感情や仕草で表現している。言葉を話さない相手の声も、しっかり聴くアドボケイト。その取り組みの事例は、素晴らしい。全ての人を、ひとりの人として尊重している。
子どもや障害のある人の声を伝える事を、難しいと感じるとしたら、自分も声を伝えられていないからだ。自分が意見を言わずに我慢して生きていると、相手の声を尊重できない。
自分の権利が守られていなければ、誰かの権利を守る余裕なんて持てない。つながっているのだ。
大人の権利が守られていなければ、子どもの権利も守られるはずがない。
基本的人権の尊重を原則とする日本国憲法。
権利を知り、自覚して、守り続けなければならない。
アドボケイトのような大人が増えたら、とても心強い。私も、子どもや大人や自分自身のアドボケイトでいたい。アドボカシーで大事にしている価値観が、あたりまえになるように。そして、自分自身の声もあげていく。
おわり
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