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「国境のない生き方-私をつくった本と旅-」を読みました
なかなか読み進められずに、2024年になってしまったけれど、読み始めたら、あっとゆうまだった。まだまだ序の口、もっと頑張れ!と喝を入れられたような本だった。
ヤマザキマリさんの桁違いの実体験。それらを生き延びた実績が、新しい体験に挑戦し続ける活力や自信になるのだと思った。
ぶっとんでいたり、窮地に陥ったり、どん底を経験すると、いい意味で、タフになる。もちろん、死を考えるような生命の危機は、体験したくないけれど。
やっぱり、底の底を一度でも見たからこそわかることってあって、だから私の中には両方あるんだと思うんです。
「ああ、月がきれいだ」っていうだけで生きる喜びを感じられる自分と「もう死んだ方がいい」というくらいの不条理な闇を見つめている自分と。一方があるからこそ、もう一方も深く味わえるのだと思います。
どちらもわかるからこそ、より単純で基本的な生きる喜びを、味わうことができる。
どんな挑戦も、失敗も、無駄にならない。
というか、無駄にさせない。
失敗は経験。
全てが私を作る。
積み重ねた経験は、肝の据わった自信になる。
ヤマザキマリさんには到底及ばないけれど、私の経験によって作られた、今の私。
この私で、生きていく。
弱々で、甘々な、軟弱な自分が出てきそうになるけれど。何か起きたとしても、いま、その時に自分にできることをする。その先に、また新しいことが、起きる。その繰り返しを楽しんで、試行錯誤したい。
ヤマザキマリさんが、ブラジルにある、実に気持ちの悪い果実と絶賛する「ジャボチカバ」を検索する。どんだけ気持ち悪いんだろう。わくわく。
検索してみると、葡萄の房のような木だった。
たしかに、まじまじと見ていると、だんだんと気持ち悪い気がしてくる。けれど、幹から実が成っている部分だけを見れば、葡萄の房と変わらない。花軸が、葡萄の房のように細かく集まっているか、幹や枝そのものから出るのか、の違いだ。
自分がどう感じるか。
それは、自分にしか分からない。
ちなみに、ブラジルまで行かなくても、OKINAWAフルーツランドでジャボチカバを見ることができると知る。さすが、沖縄。
ヤマザキマリさんのお母さんの口癖を、忘れぬように記しておく。
「その時、その時、できることをやればいいんだから。大丈夫、絶対になんとかなる」
うちの母って母親である前に、ひとりのはしゃぐ人間なんですよ。
生きることに精一杯でいつも「なんだかわかんないけどすごいわよ〜」とか言ってる。
「負」の方に入り込んでいかないで「なんだかよくわかんないけど」必ずうまくいくと思っている。
「なんだかよくわからないけど、必ずうまくいく」と母は思っている、とヤマザキマリさん。
そのお母さんの父である、ヤマザキマリさんの祖父の言葉も素敵。
「僕はラッキーなんだよ。人生は、自分がラッキーだと思うほど、楽しくなる」
仰る通り!!
ヤマザキマリさんが読んできた本たちは、多岐にわたる。知識と体験が結びついたとき、それは、教養になるのかもしれない。
「平和を維持するには、人が自分の力で考え、判断していく力をつけることがものすごく大事」
「社会で押しつぶされることなく、本来の生き方をまっとうするには、教養を身につけること」
「考えていることをアウトプットして、教養に経験を積ませる」
ヤマザキマリさんの言葉たちは、教養にバキバキの経験値が積み上がっていて、納得する。
経験値から、物事を見る。立ち止まって、考える。疑ってみる。審美眼を持つ。自分で考え、自分で判断する。
この本を読みながら、思い浮かぶ中学生がいた。その子にもこの本を読んでもらいたいなぁと思った。地球は広いし、世界は千差万別。日本という地域の価値観だけが、すべてじゃない。窮屈さに慣れるよりも、自分が欲している栄養分はなんなのか、探しに行こう。
単純に地球があって、太陽があって、この環境の中で生きていける生命体として、私たちは命を授かったのだから、まず「生きてりゃいいんだよ」。これが基本。
生きてていいから、生まれてきたんですよ。
もっと、ただの生き物みたいに、生きることそのものに夢中になったらいい。
あとからくっつけたいろんなものを、とっぱらって、囲いの外に出てみる。
一度でも出てみれば、きっとわかると思います。
この世界が、どんなに広いか。生きることは、そうやってあらゆる扉を開け放つこと。生きる場所をここだけに限定することはない。
読書と旅が、教養を育む。
私も、ひとりのはしゃぐ人間として、地球に愛される生き物になります。
そして、この本を、あの子に渡してみようかな。
「人生は一度きりなんだから、無駄にできる時間はこれっぽっちもない」Byマルコじいさん
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(著者:ヤマザキマリ/小学館新書/2019年)」
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