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スティーブ・ジョブズと禅

今日のおすすめの一冊は、田中森士(しんじ)氏の『マーケティングZEN』(日経新聞出版)です。その中から「レビューとペルソナ」という題でブログを書きました。

本書の中に「スティーブ・ジョブズと禅」という心に響く文章がありました。

多くの経営者やイノベーターが、思考・論理の限界の先にある「感じる知性」を求め、禅や仏教とつながりがある山伏の修行に参加している。欧米を中心に、特定の宗教への信仰を持たず精神的(スピリチュアル)な豊かさを求める「SBNR層」が拡大している。

今、多くの人が、人間の可能性を高める意識や感覚の世界へと踏み出している。今後も科学技術は指数関数的な発展が見込まれる。一方で、データに表れない人間の意識や感覚をどう生かしていくかが課題となる。「人間らしいマーケティング」である。その意味 で、言葉を超えた禅の世界がもたらす可能性は大きい。 

アップル創業者スティーブ・ジョブズは、高校生の時に日本人の禅僧・乙川(おとかわ/旧姓・知野) 弘文(こうぶん)に出会った。自らの結婚式を乙川に司ってもらうほど禅に傾倒したことは有名な話である。

アップル製品からは「洗練」「シンプル」といった単語が浮かび上がる。禅との出合いがなければ、世界的企業アップルは生まれなかったであろう。 禅やマインドフルネスによって、言葉やデータとして表現できない身体感覚を観察する。 このことの重要性を世界的なIT企業も理解している。 

同時に、マインドフルネスによって、ニュートラルで落ち着いた態度が身につく。それによって固定観念にとらわれない柔軟な思考が手に入るだろう。

SBNR(Spiritual But Not Religious)とは、無宗教型スピリチュアル層のことを指す。調査によるとアメリカの人口の4分の1がSBNRに属しているという。

「シンプルであることは、複雑であることよりも難しい」と語ったのは、アップル創業者のスティーブ・ジョブズ。

ジョブズがアップルを追放されたとき、日本人の禅僧乙川弘文師に深い示唆を得たという。

また、「永平寺で修行したい」と言うスティーブに、弘文は「ここにないものは永平寺にもない。シリコンバレーにとどまれ」と答え、「修行を続けながら実業家になるといい。事業と精神世界は矛盾しない」と告げたという。(ほぼ日刊イトイ新聞)より

アップルの製品はクドクド説明せず、直感的に操作できるようになっている。そこに、シンプルな美しさを求めているからだ。その考え方は、禅の考え方と同じだ。

ITやAIが盛んになればなるほど、逆に、禅的で東洋的な考え方が必要となってくる。理屈ではなく、感性で感じ、今までにないものを創造していかなければならないからだ。

それは、「臨機応変」や、「融通無碍(ゆうずうむげ)」あるいは、「遊戯三昧(ゆげざんまい)」等々の禅の言葉や、東洋的価値観を表した言葉で表される。

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