『幸福』2019.12.25



ビー玉の傷に未来を重ねていた
愛されなくなった頃、この傷を
大切にしていたことをわすれて
落とされてしまったその子は側溝の
泥水から吸い込んだ
わすれないでほしかった
世界にたった一人みたいな空腹が
愛とか、なんとか
雨はその匂いを消してくれるから
わすれられる、と思った
遠くのビルの屋上で キミは
傷のついたビー玉を落とす
透き通った空を、破って
あいしてたよ、なんて
知らない感情を知っているふりして
持っているはずのない愛を
目の前で割ってみせてくれた







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