「The Olfactive」ー香りの世界で活躍するクリエイティブデザイナー、ブランド、調香師、アーティストの物語を探るオンラインメディアのインタビュー記事
こんにちは。香りのコミュニケーターHIROです。
今年4月「The Olfactive」ー香りの世界で活躍するクリエイティブデザイナー、ブランド、調香師、アーティストの物語を探るオンラインメディアによる筆者のインタビュー記事が出版された。ちょうど、和の香りのプレゼンテーションのためニューヨーク出張中、タイムリーな出来事だった。下記、英語の記事の和訳です。
【目次】
自己紹介
人生における香りの影響
フレグランス業界を目指す
取り組んできたプロジェクト
日本の香り文化と世界の香り文化の違い
好きな香り
現在のプロジェクト
現在のプロジェクトへの課題
夢を追いかけるクリエーティブな人々にアドバイス
フレグランス業界全般の将来
先ず、はじめに自己紹介をお願いします。
私は日本生まれのアメリカ人です。コミュニケーション学の修士号を取得後、米国と日本の広告代理店と人材業界で働きました。その後、香料会社ジボダンシンガポールにて製品開発用のフレグランスコンセプトの提案を担当しました。現在は日本に戻り、とある企業で働いています。
過度のストレスにより嗅覚が衰えるという私自身の体験から、香りで私たちの生活が楽(快適)になると知り、2013年にニューヨークでProject Feliciaを設立し、その運営をしています。現在は多方面でセンサリーマーケティング(感覚マーケティング)が求められているので、香りの可能性を日々探求しています。
Project Feliciaは、ミッション「Bridge and Blend -より良い社会を創造する香りの世界-」のもと、最も人気のある「お香創作ワークショップ」をはじめとする香りのイベント、香りを活用したマーケティングと製品開発を通して、日常生活に香りを取り入れる活動「香育」(香りの教育)を活用することで、私たちの生活を豊かにするサービスを提供します。
社名のフェリシアはラテン語の「フェリックス(幸福)」に由来し、複数形のフェリシアは文字通り「幸せなもの」を意味します。 Project Feliciaは、「幸せなこと」を引き出す「プロジェクト」に取り組んでいます。
香りはあなたの人生にどのように影響を与えましたか。
今振り返ってみると、無意識のうちに私の人生は香りの影響を受けていたと思います。私は自然に囲まれた富士山の近く、緑茶畑が目の前に広がる土地で育ちました。八百屋やスーパーマーケットでは新鮮な果物を選ぶ際、母は私に果物の匂いを嗅がせていました。なぜか、母は私に匂いを嗅ぎ分ける能力があることを知っていたのでしょう。大人になってから、父が風味関連の食品メーカーのエンジニア(研究者)であることを知りました。食品が新鮮なものか腐ったものかを判断するとき、父は匂いを嗅いで判別していたことを憶えています。現在、私は遭遇するすべてのオブジェクトの匂いを嗅ぐ癖があります!
学生の頃からフレグランス業界を目指していましたか?
まったくありませんでした。 私は10代の頃から香水が好きでしたが、嗅覚が十分に敏感ではないと仕事はできないと思っていたので、フレグランス業界で働くことを考えたことはありませんでした。この業界にも調香師以外にもポジションがあることを完全に認識していなかったですね。 また、すでに広告業界で働くという夢がありましたので、大学院卒業後、すぐに広告業界に進みました。
取り組んできた興味深いプロジェクトを教えてください。
多くの同僚とは異なり、私は幸運にもマーケティングコンサルティング、国際流通、製品開発、そして今では教育に携わることができました。ですので、私は非常に多くの興味深いプロジェクトに取り組んできました。 香料会社にてマーケティングマネージャーとして働いていたときは、新製品開発において、クライアントが感覚的経験からインスピレーションを得るために
私たちが提供した五感のワークショップは、最も価値のあるものだったと思います。
日本の香り文化と世界の他の地域の香り文化の違いについて説明いただけますか?
I am hesitant to state Japan vs others comparison just because each culture has uniqueness.
それぞれの文化が独自性を持っているので、日本対他地域の比較を言及することはためらいます。
東南アジアで働いていたとき、私は香りの好みが日本の香りに強く影響され、多大なインスピレーションを受けていることを知りました。香りに特化すると、人々は育つ過程で、西洋では香水を肌に纏い、東洋では香りを空気から感じますと業界専門誌に書いたことがありました。しかしながら、2017年に日本に拠点を移した後、インドから発祥した仏教思想の一つでは、神聖な寺院に入る前に精神を浄化するためにパウダー状の香りを肌につけていることを知り、東洋でも香りを肌に纏っていたことを学びました。現在、日本の生活者は丸みを帯びているよりも自然の香りを好んでいるようです。このトレンドは世界的にも見受けられ、「自然回帰」モードの傾向にあると信じています。
好きな香りはなんですか?
率直、それを明言するのは難しいですね。私は、香りは究極のパーソナライズだと考えます。気分が変われば、好きな香りも変わります。今、好きかどうか。
とは言え、記憶を辿ると「ムスク」は高校生時代に魅了された香りです。当時の高校生は香水を身に着けていなかったのですが、ある日、ムスクの香水を着けて登校した際、教員室に呼ばれ。。。
香水の中から一番好きなものをあげるとすれば、資生堂のシャン・デゥ・クールです。テレビコマーシャルで販売告知を見た瞬間、ブティックで予約注文をしました。 1992年または93年に発売され、私の知る限り日本のみの販売。かなり前に生産は中止されました。調香師はDior Poison も手掛けたEdouard Flechier氏。昨年、Flechier氏の隣でシャンデゥクールが生まれる瞬間を目にした資生堂の調香師とお会いしました。心が震えましたね。
香りはグローンフローラル、ナチュラルで透明感がありつつ、日本の市場ではインテンスな重厚な香りです。
For me, it was not just a scent. A whole. An art. A visual image, a music, a package (bottle designed by Angela Cummings), a promotion. Everything. It really captured my senses.
私にとって、それは単なる香りではありません。 すべて。 アート、ビジュアルイメージ、音楽、パッケージ(アンジェラカミングスが設計したボトル)、プロモーション。 すべて。 すべての感覚。
現在のプロジェクトについて教えてください。
いくつかのプロジェクトが同時並行で進んでいますが、下記の2つをご案内します。
1) ベトナムの若い香水アーティストと一緒に東京でSCENT of JAPANのトークセッションを開催したところ、終日100人以上の来場者が訪れました。 日本原産の植物や花に由来する天然油と、ジャポネスクと見なされるお香の原料と完成品を展示し、和の香りに関する消費者洞察に関する調査結果を共有しました。 日本に住んでいる人と海外に住んでいる人の間には確かに違いがありますが、同時に、認識の重複も見られました。そして、香りは間違いなく文化の「Bridge and Blend」であると強く感じました。
2) 2014年以来、私は香りがどのように社会に貢献できるかを自問し続け、最終的に「香り×ヘルスケア×デジタル」のプロジェクトの構想ができました。
solution to social issues - social innovation
現在のプロジェクトを始めるときの課題は何でしたか?
私が取り組んでいるのは非常に新しい分野であり、ほとんどの人は香りについて言及されたとき、多くがアロマセラピーまたは香水を考えているため、香りがどのように社会問題を解決できるかを想像するのは難しいと感じています。 しかし、香りには何かを香付け以上のことができます。 目に見えないためからこそ、力強い。この独創的な考え方を明確にするのにしばらく時間がかかりました。
夢を追いかけたいクリエーティブな人々に何かアドバイスはありますか?
Know what you want and your worth!
自分が望むもの、自分の価値を知る。
ご自身のプロジェクトやフレグランス業界全般の将来についてどうお考えですか?
私たちの仕事は、香りとフレーバーの開発だけには留まりません。 実際、私が関与しているプロジェクトの1つは、VRコンテンツによりリアルな体験、つまり感覚的体験ができるVR / ARの香り付きデバイスです。 フレグランス業界の多くのイノベーターがAIや他のデジタルツールを採用し、他の業界の多くのイノベーターが嗅覚テクノロジーを応用しているのを見ます。今はSensory x Digitalの時代です。 信じられないかもしれませんが、匂いのデジタル化の歴史は非常に長く、1906年にはすでに存在していたのです。
連絡先を教えてください。
https://www.linkedin.com/in/hironakayama