見出し画像

CRO(Chief Revenue Officer)になるためには何が必要か


CROになるためには

最近、ありがたいことに
・CROになりたいんですけど何を学べばいいですか?
・CROを目指していきたいのですがどんなことをしてきましたか?
・CROになるためにはどういう経験を積めばいいですか?
と、オンライン/オフライン問わずご質問をいただいたり、外部の勉強会で自分のキャリアについて少しお話させていただく機会をいただくなどがありました。
僕自身は、現職スマートドライブで2019年〜2023年10月まで執行役員CROという立場で働いており(現在は執行役員 事業開発営業推進)国内だと比較的早い段階でCROという役職に就かせていただいていたのでCROに関してのご質問やご相談は以前からもいただいてましたが、最近少し増えてきたのでCROという役職が少し広まりつつあるのかなと嬉しい気持ちです。
その際のご質問やご相談はキャリアやスキルに関しての内容が多く、僕自身のキャリアとして、現職のスマートドライブ以前はセールスフォース(CRM)→マルケト(Marketing Automation)というキャリアだったことや、職務領域としてField SalesもInside SalesもPartner Salesも経験があることや、Marketo時代にはコミュニティ活動をしていたりもしたことによって、(なんとなく)広い業務経験やシステムへの理解、オペレーションマネジメント、の知識が必要だったり、その時の経験がCROとして活きたんですか?
とご質問いただくことが多いです。

オープンな場であまり過激な発言はできないので、勉強会の時にはやんわりと流してますが、本心では「そんな些細なことはどうだっていい!(心配なら勉強しろ!)」と強く思っています笑

CROに必要なことは覚悟

経験やスキルセットを"些細なこと"と表現したのは、圧倒的に&比較にならないレベルで「覚悟を決める」ということの方が重要だからです。
一口に覚悟を決めるといっても色々な覚悟がありますが、CROとして決めなければいけない覚悟は"最高のチームを作る"という覚悟です。

なぜ覚悟を決めないといけないのか

おそらく、ほとんどの方は新しい役職に就いた時や新しいプロジェクトを担当する時、チームメンバーからマネージャーレイヤーにあがったタイミングなど様々なシーンで「よし!最高のチームを作るぞ!」と覚悟をもって業務にあたっていると思います。
ただ、CROとして「最高のチームを作るぞ!」という覚悟は、それらの覚悟よりもずっと重いなと感じています。
今から3年前にbasic持田さんにインタビューいただいた時の記事ですが、

意思決定する変数が多くなり、いろいろなところが見えてきただけに、社員全員にとってベストな選択ってできないんですよね。何かを決断すればそれでプラスになる人もいればマイナスになる人もいる。それはどうしても仕方のないことだとは思いつつも、ものすごく難しいなと感じています。

上記記事より引用

マーケティング〜カスタマーケアまで一気通貫の組織に対しての意思決定をしていこうとした場合に、
全部門がチャレンジになる意思決定
一部門にとってのチャレンジになる意思決定
があるのですが、CROとして全体を見ている場合には②の意思決定回数の方が多くなってしまうので、この意思決定をし続けていくために"ブレない自分を確立する"必要があり、ブレない自分を確立するためにしっかりと時間をかけて覚悟を決めていく必要があります。
※イメージとしては、ブレない自分を確立するために覚悟を作っていくというほうが近いかもしれません。
(当然②の意思決定を①の意思決定になるように全社を巻き込んだものにすることや、②と①の連動性を作りにいくということはしますが、それでも②の意思決定の方が多くなると感じています。)

覚悟の決め方(作り方)

覚悟を決めるためには、まずは「その痛み・難しさと向き合い、痛み・難しさを具体的にイメージして、それでも乗り越えるぞという気持ちを固める」ということが必要です。
下記は、研修スライドの一部ですが、覚悟を決めるためにはまず、マネジメントの基本原則と難しさについて共通認識を持ちます。

ミドルマネジメントとマネジメントの違い
マネジメントの大きな役割 ※僕はドラッカーが好きですmm
時間が有限だから成果を出すのが難しいし、短期と中長期のバランスは本当に難しい。
人として正しい行動をし続けないといけないのがマネジメント
言葉として広まってはいるIntegrity
意思決定でより良い選択をする精度を高めるためのポイント
正しさで人は動かないのでコミュニケーションの重要性を理解する
最高のチームには厳しさも必要

この中で、マネジメントはオペレーション管理能力が必要ということや、マネジメントの仕事などについては一切触れていません。
この困難・難しさ(厳しさ)と正しく向き合うことができて初めて"自分がこれからしなければいけない覚悟はどのくらい怖いものなのか"がわかってくると思っています。
怖さの解像度が高ければ高い人ほど覚悟を決めるのが難しくなりますし、怖さの解像度が高い人というのは、チームメンバー一人一人の顔をしっかりとイメージできて、この意思決定をした時に「あ〜、Aさんは二つ返事でOKと言ってくれる、Bさんはちゃんと説明すれば頑張ってくれる、CさんとDさんには同時に伝えた方が良いか」という意思決定をした後の説明プロセスとメンバーの反応をある程度想定できるという状態です。

人によって色々な考えがあると思いますが僕は、マネジメントになる(=メンバーをリードする)ということは、メンバーの人生を背負うことだし、これまでの仕事に対する考え方・成果の出し方を180度変えないといけないと思っています。

メンバーの時は早く行ってもいいが、マネジメントは遠くに行く以外の選択はない

覚悟を決めた次にすること

最高のチームを作るぞ!と覚悟を決められたのであれば、次は「最高のチーム」がどういうものかを具体的にイメージしていきます。
そして「最高のチーム」でマネジメントをしている人物(=自分)はどのような人間じゃなければいけないのか、を考えていきます。

最高のチームとは?を言語化していくために、まずは最高のチームを一文で言えるくらいシンプルなもので作っていきます。
最高のチームの定義も様々ではあるので、参考までですが僕は「最高のチーム=社長が考えているビジョンを達成できるチーム(当然、その他の要素もありますが優先順位のトップにおいているのはこれです)」だと考えていて、
当時のスマートドライブのマーケット環境では、
・モビリティという巨大な市場を動かさなければいけない
・粘り強くアプローチをし続けることで開ける道は多い
・数の戦いでは勝てないので一人一人の地力(突破力)が重要
ということを考えていて、この状況とビジョン達成に近づくための最高のチームというのを
少数精鋭だが一人一人が個性のあるプロフェッショナルチームを
創り、大きなビジョン・遠くのゴールを目指せるチーム
と定義していました。

次に、この最高のチームというのはどういう指針で動いている人が多いチームなのか行動指針を作っていきます。
LayerXさんの羅針盤レベルまで作成できると最高ですが難しい場合にはもう少しシンプルなものでも、最高のチームがすること・どういう価値基準で動いているチームが最高なのかを言語化していきます。
下記は2021年2月当時の僕の考えていた最高のチームの条件です。
これは事業フェーズによって変わるものなので、今の事業フェーズではこれを目指す!という形で、普遍的なものではありません。

Professionalであるということはどのようなことかを定義

最高のチームを引っ張るマネジメントとは

ここまでで具体的なチーム像とチームの行動指針ができましたが、ではこのチームを引っ張るマネジメント自身はどのような指針で動いているのか、この最高のチームを引っ張っていくために、自分はどうあるべきなのかを考えて、それを全員にオープンにしていきます。
これはマネジメントから全員にオープンにするのがポイントだと思っていて、オープンにするからこそマネジメント自身に規律が生まれるというのもありますが、メンバーが「この人はこういう考えのもとマネジメントしてるんだ」というのを理解してもらうことで、なぜ今xxと言われているのか。なぜこの人はxxはOKというけどxxはNGなのか。といった意思決定の裏側を汲み取りやすくなります。
メンバーから見たときに「わかりやすいマネージャー」というのは大事な要素だと考えていて、マネージャーの価値観や意思決定の基準はどんどんとオープンにするべきと思っています。
こちらも参考までですが、僕の場合には下記のように7つの行動指針を決めて四半期のキックオフの際のアイスブレークとして発表しました。

全部で20個ちょい考えて、そこから7つの重要と考えていたものに絞り込みました

CROを目指す方に向けて

CROは役割として、最高のチームを作る&利益を最大化するということをしますが、業務内容(スタートアップフェーズの場合)としては営業をすることもあれば、事例インタビューをすることもあるし、アウトバウンドの電話をすることもあるし、顧客への謝罪訪問など、チームのために自分ができることは何でも実施していきながら、「最後はこのCROに相談すればなんとかなる!(かもしれないw)」と思ってもらうことが重要なので、
・難易度が高そうで手を上げる人が少ない仕事(大手企業との事業開発や複雑な案件とか)
・すごく泥臭くて手を上げる人が少ない仕事(リストがない状態でアウトバウンドコールしまくるとか)
・少し気が引けてしまって一歩踏み出すのに気持ちを作る仕事(謝罪とか)
こういうタイミングで「よし、俺の出番ですね!」と言って率先して動いていくことがCROに近づく道だと考えています。
※スキルセットは冒頭にも記載しましたが(勉強しろ!以上!ですw)

上記と並行してやった方が良いこととして「自らでチームを創る」ことをできれば、CROに大きく近づくのかなと考えています。
自らチームを創るという中で、絶対にやらなければいけないことは
・自社に全く興味を持っていないし転職活動もしていないスーパーエースを採用する
ことだと思っています。
ものすごく難易度が高いことですが、スーパーエースを口説くためには「会社のビジョン」「自社の存在意義」「事業環境」「自社の勝ち筋」「これからどういうチームを作ろうとしているか」「今のチームの良いところ・改善できるところ」「なぜ入社してほしいのか」「入社していただくことでのプラスポイントとチャレンジ」などなど、自社についてのあらゆることを自分の言葉で自信満々に熱意を持って伝えてはじめて、スーパーエースが耳を傾けてくれると思っています。
会社の未来-現在-過去についての情報をしっかりと理解して、自分の言葉に昇華させることで、スーパーエースを惹きつけることができて、そういったスーパーエースが入社をして最高のチームを更新し続ける。このサイクルを何度も回しながら細かな改善と大胆な意思決定を繰り返し実行して成果を大きくしていく
という難しさをしっかりと理解したうえで覚悟を決められると、役職としてのCROではなく役割としてのCROに近づけるのかなと思っています。

そのほかに5年前の記事にはなりますが、こちらにも近しい内容を記載してますので参考までにmm

おわりに

僕はドラッカーが好きでいくつか気にいっているものを記載しておきます。

・変化はコントロールできない。
 できることはその先頭に立つことだけである。
・人は誇れるものを成し遂げて、誇りを持つことができる。
・成果をあげる人とあげない人の差は才能ではない。いくつかの週間的な
 姿勢と基礎的な方法を身につけているかどうかの問題である。
・最高のキャリアは計画して手にできるものではない。自らの強み、仕事の 
 やり方、価値観を知り、機会をつかむよう用意した者だけが手にする。

ドラッカーいくつかの書籍より


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?